恋は盲目 総つく
恋は盲目
嫉妬は千里眼
とはよく言ったもんだと何だか感心しながら車を走らせた。
だって、だって、だってな____
女にはプロ中のプロのはずだったのに____
色気もクソもなく、あるのは愛嬌と度胸だけって女に惚れ込んでいるんだからな。で、もってだ____会えない間にアイツがほかの男とあーだこーだしてねぇかモンモンしてんだからね。
学生の頃、アイツに惚れた男二人を、いや三人を変わりモンだなっと思ったことがあったのにだ。
だってな、普段のあいつは本当に色気もなんもねぇんだぞ。
ほらっ
「にーしーかーどー 遅い!遅い!」
てなこと言いながら、スカートを翻しガードレールをヒョイと乗り越えてくる女なんだからな。
「ったく、少しは女らしくしろ。パンツ見えんぞ」
なんて事を口にしながら、横目で本当に変化はないのかを確認してる。
「パンツチラ見せでお色気ムンムンじゃない? あっ、それにこれ見てよ。このツヤツヤ肌。もうさ、ついつい触れたくなんない?昨日泥パックした時にアーモンドオイル入れたから全身しっとりよ。ほれっ、さわってみなよ」
ニュッと白い肌を出してくる。
「わかった。わかった。取り敢えず運転の邪魔すんな」
「チェッ」
チェッじゃないぞ
抑制がきかなくなんだろうが
そんな俺の気持ちなんてのにはお構いなしに
「あっ、そう言えば東郷君が来月どうしますかって?言ってたよ」
来月?
来月ってなんだっけか?
ってか、
「……東郷がなんで牧野のとこに連絡してんだよ」
「うんっ? ただ今美味しいものクラブの会員よ」
「聞いてない!」
「うん。言ってない。と言うか、別に言う必要もなかったし」
間髪入れずに言い返して、ケラケラ笑ってやがる。
「東郷は、俺のダチだ」
「今じゃ、あたしの友達でもあるよ」
そうなんだ。俺は、女避けにコイツをパーティーに連れて行ってた。するとなぜかそこで友人知人なんてものを作りやがる。
最初は、どこの馬の骨だと眉を顰めていた西門のうるさ方も、今じゃコイツに懐柔されてやがる。
「つくしはんは、たしかに庶民の出かもしれまへんが、人柄と頭の良さ、なによりあの人脈の多さには感心しますなぁー 若宗匠も見習わねばいけまへんんなぁ」
なんて言いながらカッカッと笑ってやがる。俺が曖昧に笑えば
「つくしはんを紹介してくれちゅうお話は後をたちませんでなぁ。お勤め先でも取引相手先から息子の嫁に欲しいと引く手数多だとか」
なんて事を抜かしやがる。
だからどうしろと?一回聞いてやろうかと思っているのだが……なんだか弱味を見せるようで聞けないでいる。
てなことはさておいて、いまは東郷のことだ
「東郷も牧野もいい年なんだから無闇矢鱈に二人で出歩いてると変な噂が立つぞ。それじゃ無くても縁遠いのが余計縁遠くなっからな」
言った瞬間
「ハァッー」
溜め息とともに、牧野の眉間にシワが寄り目が細まった。
で……何やらブツブツと呟いている。
「っん? どうした?」
真顔で聞けば
「あのさ、美味しいものクラブは二人で行動しないから。それに……」
二人きりじゃないと聞いて、安堵しながら
「まぁ、クラブだしな」
なんて事を呟けば
「ハァッー 」
これ見よがしの大きな溜め息をもう一つ吐いてから、大きな目を閉じやがった。
いつもなら煩いほどの時間が嘘のように静かになった。
どうした?なんて聞ける感じでもなく、俺も無言で車を走らせる。
やがてスヤスヤと寝息を立て始めた牧野。
ムニャムニャと寝言を言っている。
色っぽくない?
いや、艶かしいほどに色っぽい。
そして思い出す。コイツに恋した瞬間を…… あの時の牧野も、泣くだけ泣いてコテンと俺の腕の中で寝た。
包み込んだその肩がビックリするほどに小さくて、コイツ……女なんだなって
次の瞬間
堪らないほどの愛おしさと劣情が襲ってきた。
アイツらの顔がちらついてブレーキをかけた。
いや違う。
牧野を失いたくなかった。ただそれだけだ。
目的地を変え、あの日二人で行った思い出の場所に車を走らせた。
眠り続ける牧野を見つめる。
白い肌が艶めかしくて、劣情を揺り起こさせる。
指を伸ばして首筋にふれる。白い肌を撫で上げ唇を輪郭に沿ってなぞる。
規則正しい吐息が指先に触れる。少し開いた唇からチロリと赤い舌が見えている。
堪らないほどの愛おしさが込み上げる。いや、狂おしいほどの情熱が俺を襲う。
気づかれないように、指先を引いた
刹那
白い腕がニュッと伸び、俺の腕を掴んだ。
ハッとして顔を見れば、漆黒の大きな瞳が俺を見て妖艶に笑った。
俺の彼女は、世界一色っぽい。
恋は盲目と笑うなら笑えばいい。
いや、是非とも笑ってくれ。それだけ敵が減るってもんだ。
嫉妬は千里眼
とはよく言ったもんだと何だか感心しながら車を走らせた。
だって、だって、だってな____
女にはプロ中のプロのはずだったのに____
色気もクソもなく、あるのは愛嬌と度胸だけって女に惚れ込んでいるんだからな。で、もってだ____会えない間にアイツがほかの男とあーだこーだしてねぇかモンモンしてんだからね。
学生の頃、アイツに惚れた男二人を、いや三人を変わりモンだなっと思ったことがあったのにだ。
だってな、普段のあいつは本当に色気もなんもねぇんだぞ。
ほらっ
「にーしーかーどー 遅い!遅い!」
てなこと言いながら、スカートを翻しガードレールをヒョイと乗り越えてくる女なんだからな。
「ったく、少しは女らしくしろ。パンツ見えんぞ」
なんて事を口にしながら、横目で本当に変化はないのかを確認してる。
「パンツチラ見せでお色気ムンムンじゃない? あっ、それにこれ見てよ。このツヤツヤ肌。もうさ、ついつい触れたくなんない?昨日泥パックした時にアーモンドオイル入れたから全身しっとりよ。ほれっ、さわってみなよ」
ニュッと白い肌を出してくる。
「わかった。わかった。取り敢えず運転の邪魔すんな」
「チェッ」
チェッじゃないぞ
抑制がきかなくなんだろうが
そんな俺の気持ちなんてのにはお構いなしに
「あっ、そう言えば東郷君が来月どうしますかって?言ってたよ」
来月?
来月ってなんだっけか?
ってか、
「……東郷がなんで牧野のとこに連絡してんだよ」
「うんっ? ただ今美味しいものクラブの会員よ」
「聞いてない!」
「うん。言ってない。と言うか、別に言う必要もなかったし」
間髪入れずに言い返して、ケラケラ笑ってやがる。
「東郷は、俺のダチだ」
「今じゃ、あたしの友達でもあるよ」
そうなんだ。俺は、女避けにコイツをパーティーに連れて行ってた。するとなぜかそこで友人知人なんてものを作りやがる。
最初は、どこの馬の骨だと眉を顰めていた西門のうるさ方も、今じゃコイツに懐柔されてやがる。
「つくしはんは、たしかに庶民の出かもしれまへんが、人柄と頭の良さ、なによりあの人脈の多さには感心しますなぁー 若宗匠も見習わねばいけまへんんなぁ」
なんて言いながらカッカッと笑ってやがる。俺が曖昧に笑えば
「つくしはんを紹介してくれちゅうお話は後をたちませんでなぁ。お勤め先でも取引相手先から息子の嫁に欲しいと引く手数多だとか」
なんて事を抜かしやがる。
だからどうしろと?一回聞いてやろうかと思っているのだが……なんだか弱味を見せるようで聞けないでいる。
てなことはさておいて、いまは東郷のことだ
「東郷も牧野もいい年なんだから無闇矢鱈に二人で出歩いてると変な噂が立つぞ。それじゃ無くても縁遠いのが余計縁遠くなっからな」
言った瞬間
「ハァッー」
溜め息とともに、牧野の眉間にシワが寄り目が細まった。
で……何やらブツブツと呟いている。
「っん? どうした?」
真顔で聞けば
「あのさ、美味しいものクラブは二人で行動しないから。それに……」
二人きりじゃないと聞いて、安堵しながら
「まぁ、クラブだしな」
なんて事を呟けば
「ハァッー 」
これ見よがしの大きな溜め息をもう一つ吐いてから、大きな目を閉じやがった。
いつもなら煩いほどの時間が嘘のように静かになった。
どうした?なんて聞ける感じでもなく、俺も無言で車を走らせる。
やがてスヤスヤと寝息を立て始めた牧野。
ムニャムニャと寝言を言っている。
色っぽくない?
いや、艶かしいほどに色っぽい。
そして思い出す。コイツに恋した瞬間を…… あの時の牧野も、泣くだけ泣いてコテンと俺の腕の中で寝た。
包み込んだその肩がビックリするほどに小さくて、コイツ……女なんだなって
次の瞬間
堪らないほどの愛おしさと劣情が襲ってきた。
アイツらの顔がちらついてブレーキをかけた。
いや違う。
牧野を失いたくなかった。ただそれだけだ。
目的地を変え、あの日二人で行った思い出の場所に車を走らせた。
眠り続ける牧野を見つめる。
白い肌が艶めかしくて、劣情を揺り起こさせる。
指を伸ばして首筋にふれる。白い肌を撫で上げ唇を輪郭に沿ってなぞる。
規則正しい吐息が指先に触れる。少し開いた唇からチロリと赤い舌が見えている。
堪らないほどの愛おしさが込み上げる。いや、狂おしいほどの情熱が俺を襲う。
気づかれないように、指先を引いた
刹那
白い腕がニュッと伸び、俺の腕を掴んだ。
ハッとして顔を見れば、漆黒の大きな瞳が俺を見て妖艶に笑った。
俺の彼女は、世界一色っぽい。
恋は盲目と笑うなら笑えばいい。
いや、是非とも笑ってくれ。それだけ敵が減るってもんだ。
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