明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

ネクタール 01 つかつく

どこで買ったんだ?

みんな同じような没個性のリクルートスーツの中で、黒のスーツの女だけが際立って冴えなく感じてテレビモニターを凝視した。

人事部長が

「牧野さんは、インターン生の中でみとても優秀なようですが、我が社を受けられた志望動機をお教え下さい」

ルーチンワークのように、用意された質問の一つを目の前の女に聞いている。
四角四面の面白くもなんともない定型文のような答えが返ってくる筈だった。

「二十歳の誕生日は御社のプシュケで祝いました。味はもちろんですが、蜂蜜酒ネクタルにプシュケなんて、なんて」

へぇーー ネクタルが神々の酒って知ってやがんだ。この女、神話好きか?

「安直なのかしらと」

質問した人事部長が声を裏返し

「……安直…です……か?」

「はい。それが「それがっ」

人事部長は、まるで急かすかのように、牧野という女の言葉に同じ言葉を被せた。

「あっ、はい。とてもわかりやすくて素敵だなって手に取ったんですが、一口飲んだあと、何もなかった……いいえ、最悪だった二十歳の誕生日が特別で幸せなものに変化を遂げてました」

そう言い切ると、牧野という女はとてつもなくいい笑顔で笑った。

予想外のその笑顔に、モニターの前でドクンっと胸が高鳴って

「エッ」

思わず声が出てた。

突然大きな声を出した俺に、秘書の蟹沢が驚いた顔してコッチを見た。

「ゴホンッ」

咳払いをして何食わぬ顔をした。

牧野という女はフワリともう一度笑った。

フワリ?
そうとしか表現出来ない笑い顔だった。

その日は一日中、地味で冴えない牧野という女の笑い顔が頭にちらついた。

「フンっ へんな女だった」

声に出して地味で冴えない牧野という女を頭の中から追い出そうとするのに、ヤツのフワリが中々消えねぇで、無理矢理目を閉じて、ベットに横たわった……いつのまにか寝ていたようで、起きたら外が明るくなっていやがった。クソダリィ朝がまたやって来たかとうんざりしたが、窓を開ければ、太陽って奴がやけにキラキラ光ってて、小鳥が楽しそうに歌ってやがって……って、おい、俺

「どう、、、しちまった」

ブルブルと首を振り脳内花畑を追い出そうとするのに……昨日まで無機質に感じてやがった全てのものに色がついてやがる。

首を傾げシャワーを浴び部屋に戻れば、いつものように飯が用意されている。いつもと違うのは、美味そうな匂いが腹を刺激してるってことだ。

朝飯を食えば、ムクムクと力が湧いてくる。

「タマ、シェフ変えたか?」

「いいえいつもと同じものですが、何か問題でもございましたでしょうかねぇ?」

「いや……ウメェ」

タマが驚いた顔しながら

「そりゃ ようございました。昨晩はグッスリとお眠りになられたようですから、それででございますかね」

そんな風に言いながら、皺だらけの顔を嬉しそうにクシャクシャにして笑いやがった。


いつもの様に、殺人的な忙しさに忙殺される筈だった。

「次、」

蟹沢に声を掛ければ、これで取り急ぎの書類は、お終いだと応えが返ってきた。
時計を見れば、今夜のパーティーにはまだ早い時間を指していた。



グゥーッ

ガキの頃以来、久々に鳴った腹の音に驚くと共に、昼飯がまだだった事を思い出し部屋を出た。

とは言え、どこに行けばいいのか皆目見当もつかねぇままに道を進んだ。

熱風のようなビル風が和らいだ瞬間


「いらっしゃいませ」

大きな噴水の前に止まってた小せぇ車から声が聞こえてきた。見ればワンコインランチとかなんとか書いてやがる。

「一個くれ」

「お飲み物はおつけしますか?」

「冷めてぇヤツならなんでもいい」

喉がカラカラだった。なのに

「何でもですか?」

使えねぇ店員がオウムのように聞き返す。

「った、使えねぇ」

店員は、眉をピクリとさせながら明らかに剣のある声で

「お茶でいいですか?」

ぶっきら聞いてきやがった。俺が頷くと

「700円になります」

財布からカードを取り出し金を払おうとした俺に

「カードは使えません」

得意げに言い切った。

「ハァッ? 怠慢だろうよ」

「常識です」

「どこの世界の常識だ」

ぜってぇ 潰してやると思った瞬間……

後ろからサッと白い手が出てきて、トレイの上に金を置き

「そこのと、あと日替わり弁当もう一個ください」

「余計なこ……」

振り向いた先には、地味で冴えない牧野という女が居て

「幸せのお裾分けっヤツなんで、どうぞ受け取ってください」

そう言って、フワリと笑いやがった。


で……なぜか地味で冴えない牧野と言う女と大きな木の下にあるベンチに腰掛けて飯を食っている。

弁当は、ビックリするぐれぇ美味くて、すげぇ勢いで食った。

「美味しいですよねー、ここのお弁当。それにしても、見てて気持ち良くなるほどの、いい食べっぷりですね」

地味で冴えない牧野という女は、フワリと笑って俺にそう言った。

「そ、そうか?」

「はいっ。とっても気持ちが良くって、幸せ倍増って感じです」

「……そういやぁ、さっき言ってた幸せのおすそ云々ってなんだ?」

「うふふっ 聞きたいですか?
どうしよっかなー うふふっ
って、聞いてくれます?」

「あぁ」

「あのですね、ずっと憧れていた会社から、なんとなんと内々定のお返事をを今しがた頂いたんです」

「…へぇ…良かったな」

「はい。
もう、嬉しくって、嬉しくって……迷惑省みず、幸せのおすそ分けさせて貰っちゃいました」

ペロリと舌を出す。

地味で冴えない牧野という女との会話は、牧野のスマホのアラームが鳴るまで続いた。

牧野は、食い終わりの空容器を一纏めにしたものを手に持ちながら

「あぁー 楽しかった!
休み時間終わっちゃうんで、そろそろ行きますね。
色々聞いてくださって本当にありがとうございました」

頭を下げた。

「あっ、いやっ 俺の方こそ……」

「じゃあ また 」

手を振りながら走り去ろうとする。

「またって いつだ?」

「えっ?」

「お、女に奢られたままじゃ股間に関わる」

「あっ、うんと それ 沽券です」

「ど、どっちでもいい。
それより、またがいつなのか教えろ」

「ハハッ 本当に良いですって」

「じゃあ、とりあえずお前の連絡先を教えろ
社会人の先輩として色々教えてやる」

「あっ、はい」

どさくさに紛れて牧野の連絡先をゲットした。

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12 Comments

asu  

さとちゃん

そうそう不二家じゃないのよ
じゃなくてっw
なんとなんとネクターも語源は一緒なんだって。

アレってあの当時、新食感だったのよねーーー
って、脱線しまくりw


股間でw
くくくっ
大笑いしちまったぜい

2018/07/13 (Fri) 15:16 | EDIT | REPLY |   

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2018/07/13 (Fri) 11:44 | EDIT | REPLY |   

asu  

スリーさん

へへ
今回のはスリーさんを思い浮かべて♫

CP違いなのにいつもありがとうねーーー♡

2018/07/12 (Thu) 20:02 | EDIT | REPLY |   

asu  

HNさん

おぉー
ありがとうです♪

くくっ
難しくないw

正しくです♡

2018/07/12 (Thu) 19:58 | EDIT | REPLY |   

asu  

まりぽんさん

うふふ
恋って素敵よねーー
全てが色づき幸せに満ち溢れる

くぅーーー
恋、始めよう

てへへ

2018/07/12 (Thu) 19:56 | EDIT | REPLY |   

asu  

りおさん

あははっ
どんなイメージよw

うふふ

2018/07/12 (Thu) 19:53 | EDIT | REPLY |   

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2018/07/12 (Thu) 19:53 | EDIT | REPLY |   

asu  

yukiちゃん

うふふ
ワンコインランチも美味しく感じる。
正しくこれぞ恋ww

2018/07/12 (Thu) 19:52 | EDIT | REPLY |   

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2018/07/12 (Thu) 17:08 | EDIT | REPLY |   

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2018/07/12 (Thu) 16:28 | EDIT | REPLY |   

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2018/07/12 (Thu) 11:59 | EDIT | REPLY |   

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2018/07/12 (Thu) 05:14 | EDIT | REPLY |   

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