南の浜辺でお疲れSummer 前編 by plumeriaさま
暑い……とにかく毎日が暑い。
こんな時は何処にも出掛けずに部屋の中でエアコンの世話になって涼むのが1番…って事で隣にこいつがいて暑苦しいけど、それはまた別物。
さっきまで汗だくになってくっついていたくせに、今は俺の横で何やら真剣に調べてる。
白いタンクトップだけだから脇から少し見えてる……さっき可愛がったヤツ。
そこに手を伸ばしたら思いっきり引っぱたかれて「今日はもうダメ!!」……まだ昼過ぎなのに今日は終わりときたもんだ。
「いってぇな……それが彼氏に対してする事か!」
「だって、今探してるんだもん。だからダメ!」
貧乏でスマホが持てないなんて騒いでいたけど、誕プレで買ってやったら結構そいつで遊んでる。
何してるんだろうって覗き込んだら…調べていたのは「日本全国温泉の旅」……この季節に温泉?!
「なんだよ、温泉?お前、温泉とか行きたいのかよ」
「ん~?えっとね、何処でもいいんだけど…ほら、西門さん、今年が最後の夏休みでしょ?」
「だから?この暑いのに温泉とか出掛けたら倒れるぞ?」
「あはは!倒れないよ~!…って、あっ!ここがいい!」
「何処?……はっ?鹿児島?」
なんでこの時期に南国に行くんだかわかんねぇが牧野が指さしたのは鹿児島の指宿。
そこにある砂風呂に入りたいと言い出した。
砂風呂って……直接見たことはないがあれだろ?砂の中に顔以外を埋めて温まるって言う「砂蒸し」。
「ねぇねぇ!ほら、書いてあるよ?『砂蒸し風呂の効果は通常の温泉の3~4倍であるといわれており、デトックス効果抜群』…すごいっ!普通の温泉よりお得じゃない?」
「お得ってそういう意味か?デトックスって……牧野、そんなに溜まってんの?」
「溜まってるわよ~それなりに!えっと…『砂の中に10分ほど横たわると全身から汗が吹き出します。波打ち際で波の音を聞きながらの砂浴は贅沢そのもの』だって!どんなのかなぁ、行ってみたいなぁ…ねぇ、西門さん、行こうよ~!」
「……マジで?俺が…砂風呂?」
ちょっと考えたけど隣から子猫のような声と子犬のような目で頼まれちゃ嫌とは言えねぇ。
牧野がこんなに頼んでくることも今までなかったし、確かに最後の夏休みで来年からはどのぐらいこいつの頼みを聞いてやれるかわからねぇからな…。
「仕方ねぇな。んじゃ、今度の土曜に行くか?」
「うわあーいっ!嬉しいなぁ!」
この後牧野は何を着ていこうとか、何を持っていこうとか、何処に行こうとか大騒ぎ。
国内のこんな小さな旅行で満足か?って言えばすげぇ笑顔で「うん!満足!」……その顔、反則って事ですぐにもう1ラウンド始まった。
当然…終わった後は滅茶苦茶怒られたけど。
**
そして土曜日。
朝早くから照りつける太陽を跳ね返す勢いで牧野は西門にやってきた。
「おっはよーっ!西門さん、支度できた?」
「……元気だな、お前。このクソ暑いのに」
「うんっ!楽しみすぎて昨日は寝られなかったの!早く行こう?ねっ、早くーっ!」
そんなに嬉しいのか?海外に行くわけでも買い物するわけでもねぇのに。
そうは思うが「一緒に何処かに行けることだけで十分嬉しい!」……聞いててこっちが恥ずかしくなるようなことをあっさり言ってしまう牧野に完敗。
東京から指宿まで最短コースで約4時間、昼過ぎには俺達は指宿の海岸に立っていた。
開聞岳ってのが遠くに見えてて景色はいい。無茶苦茶暑いかと思えば東京と変わらないし、むしろ海風が気持ちいいぐらいだった。
そして早速向かったのは砂蒸し温泉。
指宿は世界で唯一砂浜で温泉が湧く場所。
池田湖周辺の地下水がマグマによって温められ、砂浜に泉脈が来ているためだとか。それで直接砂が温められるので、天然の砂蒸し温泉を楽しむことが出来るってわけ。
だが、その光景を見て俺は「げっ!」とドン引き、牧野は「すご~い!!」と大はしゃぎ。
俺が呆然としている間にこいつはすげぇ勢いで受付に走って行きやがった!
「あっ!牧野…ちょっと待て!」
「待たなーいっ!だって早く入ってみたいもん!」
「俺はパス!待っててやるからお前だけで入って来い!」
「え?西門さん入らないの?」
「……悪い、無理!」
大勢の人間が横一列に並んで砂から顔だけ出してんだ!
この俺がそんな中にこの顔を並べられるかっ!
「お坊ちゃまだなぁ!」ってブツブツ言いながら受付に行き、しばらくしたら首にタオルを巻いた牧野が浴衣姿で出てきた。しかし何故かモジモジしてる。まだ何もしてないのに既に顔が真っ赤……。
そんなんで砂風呂に入っていいのかよ?って思って近づいた。
「どうしたんだよ。なんでそんなに赤いんだ?もう逆上せてんのか?」
「ち、違うよ。この浴衣の下…な、何もつけてないから」
「……そう言うもんなのか?」
「そ、そうらしいの」
「でも、すげぇ汗かくんだろ?浴衣の中……砂入んないのか?」
「え?えっと……入るから10分たって砂から出たらすぐに洗い流してお風呂に入るらしいの」
「……へぇ」
「なんで笑ってんのよ!」
「あぁ!お前の砂風呂の場所、特別に向こうに用意してもらったから」
「へっ?そうなの?」
他の奴らが入った砂に牧野を入れると思うか?
そしてこんなおっさんに砂を掛けさせる訳にもいかねぇから、砂を掛けるのも出してやるのも……俺。
牧野が浴衣に着替えてる間に誰も使ってない場所を頼んでおいたから。
そこに行くと汗をかきながらおっさんが牧野が寝る場所を掘ってくれたから礼を言って俺と交代。
「そこに寝ろ」って言うと浴衣の前を押さえながら内股でその穴に寝そべって…タオルで首を巻いて準備は完了。
「何処から掛けて欲しい?」
「は?そんなの足の方からでしょ!やだっ…悪戯しないでよ?」
「そうだなぁ…こことか?」
「きゃあああーっ!」
砂をさらさらと太股辺りに掛けたら浴衣の上なのに妙な感覚があるらしくて足をバタバタさせた。馬鹿なヤツ…何も履いてないくせに。
「ここは…やっぱり後がいい?」
「ああっ!だから足からって言ってるじゃないのっ!」
今度は必死に持ってる浴衣の胸辺り……そこにボスッと砂を落とすと上半身を起こしたから既に浴衣が着崩れてる。
くくっ……面白い!
からかってばかりだと後が大変だろうから、今度は真面目に砂を掛けてやった。
砂が身体に掛かる度に「あぁっ……うわっ……ひぃ~!」って変な声ばっかあげて埋まる前からモゾモゾが止まらない。
完全に埋まったら今度は顔だけ出してるから、それを上から見下ろしたらすげぇ変な顔で睨んでる。
「ちょ、ちょっと!何も出来いからって変な事考えてないでしょうねっ!」
「……別に?」
「あ、あんまり顔を近づけないでっ!」
「そんなに興奮すると汗がもっと噴き出るぞ?」
「あっ!あの……だからっ……その」
「煩いヤツだな…やってみたかったんだろ?」
10分……耐えられるのか?こいつ
こんな時は何処にも出掛けずに部屋の中でエアコンの世話になって涼むのが1番…って事で隣にこいつがいて暑苦しいけど、それはまた別物。
さっきまで汗だくになってくっついていたくせに、今は俺の横で何やら真剣に調べてる。
白いタンクトップだけだから脇から少し見えてる……さっき可愛がったヤツ。
そこに手を伸ばしたら思いっきり引っぱたかれて「今日はもうダメ!!」……まだ昼過ぎなのに今日は終わりときたもんだ。
「いってぇな……それが彼氏に対してする事か!」
「だって、今探してるんだもん。だからダメ!」
貧乏でスマホが持てないなんて騒いでいたけど、誕プレで買ってやったら結構そいつで遊んでる。
何してるんだろうって覗き込んだら…調べていたのは「日本全国温泉の旅」……この季節に温泉?!
「なんだよ、温泉?お前、温泉とか行きたいのかよ」
「ん~?えっとね、何処でもいいんだけど…ほら、西門さん、今年が最後の夏休みでしょ?」
「だから?この暑いのに温泉とか出掛けたら倒れるぞ?」
「あはは!倒れないよ~!…って、あっ!ここがいい!」
「何処?……はっ?鹿児島?」
なんでこの時期に南国に行くんだかわかんねぇが牧野が指さしたのは鹿児島の指宿。
そこにある砂風呂に入りたいと言い出した。
砂風呂って……直接見たことはないがあれだろ?砂の中に顔以外を埋めて温まるって言う「砂蒸し」。
「ねぇねぇ!ほら、書いてあるよ?『砂蒸し風呂の効果は通常の温泉の3~4倍であるといわれており、デトックス効果抜群』…すごいっ!普通の温泉よりお得じゃない?」
「お得ってそういう意味か?デトックスって……牧野、そんなに溜まってんの?」
「溜まってるわよ~それなりに!えっと…『砂の中に10分ほど横たわると全身から汗が吹き出します。波打ち際で波の音を聞きながらの砂浴は贅沢そのもの』だって!どんなのかなぁ、行ってみたいなぁ…ねぇ、西門さん、行こうよ~!」
「……マジで?俺が…砂風呂?」
ちょっと考えたけど隣から子猫のような声と子犬のような目で頼まれちゃ嫌とは言えねぇ。
牧野がこんなに頼んでくることも今までなかったし、確かに最後の夏休みで来年からはどのぐらいこいつの頼みを聞いてやれるかわからねぇからな…。
「仕方ねぇな。んじゃ、今度の土曜に行くか?」
「うわあーいっ!嬉しいなぁ!」
この後牧野は何を着ていこうとか、何を持っていこうとか、何処に行こうとか大騒ぎ。
国内のこんな小さな旅行で満足か?って言えばすげぇ笑顔で「うん!満足!」……その顔、反則って事ですぐにもう1ラウンド始まった。
当然…終わった後は滅茶苦茶怒られたけど。
**
そして土曜日。
朝早くから照りつける太陽を跳ね返す勢いで牧野は西門にやってきた。
「おっはよーっ!西門さん、支度できた?」
「……元気だな、お前。このクソ暑いのに」
「うんっ!楽しみすぎて昨日は寝られなかったの!早く行こう?ねっ、早くーっ!」
そんなに嬉しいのか?海外に行くわけでも買い物するわけでもねぇのに。
そうは思うが「一緒に何処かに行けることだけで十分嬉しい!」……聞いててこっちが恥ずかしくなるようなことをあっさり言ってしまう牧野に完敗。
東京から指宿まで最短コースで約4時間、昼過ぎには俺達は指宿の海岸に立っていた。
開聞岳ってのが遠くに見えてて景色はいい。無茶苦茶暑いかと思えば東京と変わらないし、むしろ海風が気持ちいいぐらいだった。
そして早速向かったのは砂蒸し温泉。
指宿は世界で唯一砂浜で温泉が湧く場所。
池田湖周辺の地下水がマグマによって温められ、砂浜に泉脈が来ているためだとか。それで直接砂が温められるので、天然の砂蒸し温泉を楽しむことが出来るってわけ。
だが、その光景を見て俺は「げっ!」とドン引き、牧野は「すご~い!!」と大はしゃぎ。
俺が呆然としている間にこいつはすげぇ勢いで受付に走って行きやがった!
「あっ!牧野…ちょっと待て!」
「待たなーいっ!だって早く入ってみたいもん!」
「俺はパス!待っててやるからお前だけで入って来い!」
「え?西門さん入らないの?」
「……悪い、無理!」
大勢の人間が横一列に並んで砂から顔だけ出してんだ!
この俺がそんな中にこの顔を並べられるかっ!
「お坊ちゃまだなぁ!」ってブツブツ言いながら受付に行き、しばらくしたら首にタオルを巻いた牧野が浴衣姿で出てきた。しかし何故かモジモジしてる。まだ何もしてないのに既に顔が真っ赤……。
そんなんで砂風呂に入っていいのかよ?って思って近づいた。
「どうしたんだよ。なんでそんなに赤いんだ?もう逆上せてんのか?」
「ち、違うよ。この浴衣の下…な、何もつけてないから」
「……そう言うもんなのか?」
「そ、そうらしいの」
「でも、すげぇ汗かくんだろ?浴衣の中……砂入んないのか?」
「え?えっと……入るから10分たって砂から出たらすぐに洗い流してお風呂に入るらしいの」
「……へぇ」
「なんで笑ってんのよ!」
「あぁ!お前の砂風呂の場所、特別に向こうに用意してもらったから」
「へっ?そうなの?」
他の奴らが入った砂に牧野を入れると思うか?
そしてこんなおっさんに砂を掛けさせる訳にもいかねぇから、砂を掛けるのも出してやるのも……俺。
牧野が浴衣に着替えてる間に誰も使ってない場所を頼んでおいたから。
そこに行くと汗をかきながらおっさんが牧野が寝る場所を掘ってくれたから礼を言って俺と交代。
「そこに寝ろ」って言うと浴衣の前を押さえながら内股でその穴に寝そべって…タオルで首を巻いて準備は完了。
「何処から掛けて欲しい?」
「は?そんなの足の方からでしょ!やだっ…悪戯しないでよ?」
「そうだなぁ…こことか?」
「きゃあああーっ!」
砂をさらさらと太股辺りに掛けたら浴衣の上なのに妙な感覚があるらしくて足をバタバタさせた。馬鹿なヤツ…何も履いてないくせに。
「ここは…やっぱり後がいい?」
「ああっ!だから足からって言ってるじゃないのっ!」
今度は必死に持ってる浴衣の胸辺り……そこにボスッと砂を落とすと上半身を起こしたから既に浴衣が着崩れてる。
くくっ……面白い!
からかってばかりだと後が大変だろうから、今度は真面目に砂を掛けてやった。
砂が身体に掛かる度に「あぁっ……うわっ……ひぃ~!」って変な声ばっかあげて埋まる前からモゾモゾが止まらない。
完全に埋まったら今度は顔だけ出してるから、それを上から見下ろしたらすげぇ変な顔で睨んでる。
「ちょ、ちょっと!何も出来いからって変な事考えてないでしょうねっ!」
「……別に?」
「あ、あんまり顔を近づけないでっ!」
「そんなに興奮すると汗がもっと噴き出るぞ?」
「あっ!あの……だからっ……その」
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