小っこいの 生まれた日のこと 司つく

小っこい2人の健やかな寝息が聞こえる。

チッチッチッチ‥…　時計の針が、０時20分を差す。
俺とつくしは手を繋ぎ、ベットを覗き込む。
「結、お誕生日おめでとう」
そう、2人で声をかける

３年前の丁度いま

「あけましておめでとうございます」
世の中がおめでとうを連呼する中‥…

オギャー　オギャー　
大きな産声をあげて生まれた、小っこいの。

「おめでとうございます。元気な女のお子さんです。」
お前を見た瞬間、俺は不覚にも泣いちまった。
小せぇのに、すげぇよな。ホントすげぇ。

小っこいのの、手も足もすげぇ小ちゃくて‥…そんなのによぉーしっかり爪が付いてんだぞ？
そりゃー感動して泣くよな。

「お父様、どうぞ抱っこしてあげて下さい。」
そう言われて、俺は怖々抱いた。
優しく優しく小っこいのを抱いたんだ。

ビックリするぐれぇー怖いんだよ。
だってよぉ、あんまりにも小さくて、儚くて、壊れそうでよ。
俺は、命よりも大切なもんが2つになっちまった。
つくしと居るだけで、ドキドキすんのによー
小っこいのお前まで加わわっちまうんだもんなぁー　洒落になんねぇよな。
でもよ、幸せで幸せでなんねぇんだよ。

なぁ、小っこいの知ってか？
おーたんとあーたんが、どんだか小っこいのを待ってたかって？
毎日、毎日、腹に向って話しかけたんだぞ。
ババァ、いやバァバも、つくしの腹に向ってでっけー声で話しかけてたんだぞ。
ババァは、俺が見てたなんてしらねぇけどな。
覚えってか？　みんなが小っこいのを待ってるって言ってたのを。


なぁ知ってか？　つくしがお前をみた瞬間、
「司、大変大変‥…　この子、黄金の光に包まれてる」
って、言ったんだぞ。

なぁ、知ってか？　小っこいのが生まれた日
流れ星を一つ見つけたんだ‥…
俺は、小っこいのが無事に産まれます様にって、慌てて口ん中で３回唱えた。
横見たらよぉ、西田もブツブツ言ってて、目が合ったら照れてんだぞ。
俺は、マジビックリしたんだぞ。

元旦だっちゅーのによぉー　
類もあきらも滋も三条も松岡も‥…滅茶苦茶忙しい筈の総二郎まで来たんだかんな。

あいつら今日も来るって言ってたよな？
元旦そうそうって来んなよなーー

＊＊＊

「おーたん、おーたん　あけましゅてでしゅよ。はやくおきてくだしゃい。」
「結、今日は明けましての前に一つ大切な事があんだぞ。」
「うん。ちってましゅ。だからはやくおっきしてくだしゃい。みんながきましゅっよ。」


目の前を何度も何度も　タッタカタッタカ‥…走り回る小っこいの
俺の視線を感じたのか、
「あんね、あんね、おねがいがかなうおまじないなの。」
うーーん　テーブルにキンピラを置いて、ドアとテーブルの間を行ったりきたりしてやがる。
うーん　マジわかんねぇな。　

まぁ、新しい年もコイツのワケ解んねぇー言葉と行動に振り回されてやろうじゃないか。
あはっ、俺の新年の豊富？ってやつだな。

「ふぅっっ　ちゅかれたー　おーたん１００かいってどれくりゃいでしゅか？」
まだ数が数えられない小っこいの。
もしや、あのキンピラとの間を１００回行き来するのか？　そりゃー大変だ。

「結、100回まであと1回だ」
「そうでしゅか？ぐふふっ」

嬉しそうに、最後の一回だと言って、タッタカタッタカ走ってる。
何かすげぇー可愛いなぁ。
見てると、最後に、キンピラに向って両掌を合わせて、ブツブツなんか言ってやがる。
生まれたてのお前は寝てばかりだったのにな。
それが今じゃぁー走り回って、喋ってんだもんな。

身支度を終えた俺は、小っこいのを片手で抱きかかえ、ダイニングルームに向う。
いつものダイニング、翼が増え６つの椅子が並んだダイニング。
全員が揃うと、ちょっぴり窮屈なのにも関わらず、
親父もババァも誰もが、買い替えようと言わないテーブル。

ちょこりんと座ってる　結。
先ず　一発目のお祝いソング

おたんじょうび〜おめでとう〜♪　おたんじょうび〜おめでと〜♪
ゆいちゃーんにあえてうれしい♪　おたんじょうび〜〜おめでとう〜♪

里芋に、３の文字のロウソク‥…
「ふぅっ〜」
真っ赤な顔して、火を吹き消している。

目下の結の一番好きな事。
つくしの誕生日にロウソクふぅっーを見てから、焦がれ続けたロウソクふぅっー。
やっとこ、練習の成果を見せられるとあって、気合いが入りまくりらしい‥…
本番前に練習するんだと、つくしに頼み込み
「ケーキは勿体ないから、里芋にさしてならやらせてあげる」なんて、ケチくさい事言われてOKもらってたな。

ってか、つくし、俺、結構稼いでんぞ？
まぁ、その辺りはあんまうるせぇ事言うと、すげぇー怒られるから、言わねえけどな。

ってか、里芋にロウソクってないよな？　
うーーん　キャンドルスタンドとかで良かったんじゃぁねぇか？

まぁ、小っこいのが笑顔の花を咲かせて喜んでるから、細けぇーことはいいやな。


＊＊＊

時計が12時を迎える頃、ぞくぞくといつもの奴らが集まってくる。
おっ、女子軍団は、今回全員男連れだ‥…　おぉーやるな

牧野家の面々もやって来る。
おっ、進に彼女出来たのか？おっ、中々の別嬪さんじゃねぇか

あきらはいつもの様に、双子＆お袋さん連れて、
総二郎は、流石にしっかりとは来れないので、あとでちょっと立ち寄るって言ってたな。

類は‥…　な、な、なんで　九条のガキ連れてやがるんだ？　
「快人さんに頼まれた‥…」
短い文のみの解答で嬉しそうに、笑ってやがる。

「あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。」
なんて、礼儀正しく‥…　ババァと親父、パパさんママさん　に挨拶していやがる。

しかもだ、しかも　小っこいのの耳元に何か囁いてやがる。
かぁっーーー　ダメだろダメだろ。
離れろ　離れろ

俺は用も無いのに、結を呼んだ。聞こえてないのか？　返事はない。
もう一度呼んでみる。
ジロリっと睨まれ
「あたちは、いまおはなしちゅうでしゅ。じゅんばんはまもってくだしゃい」
したり顔で説教垂れる。

類は肩震わせて、隣で笑ってやがる‥…
はぁぁーーーっ

＊＊＊

みんなが集まって、でっかいケーキにロウソク立てて、小さいロウソク３本に火を点けて‥
得意げに得意げに　「ふぅっつーーー」　と吹き消してる。

一斉にみんなから
「ゆーい、お誕生日おめでとう〜　３才おめでとう〜」
お祝いの言葉を言われ、プレゼントをもらって、耳まで赤くしながら喜んでる。

結、でかくなったなぁー　益々つくしに似てきたよなぁー　あぁーマジ　可愛いよなぁー
あれ、なんだろ前がぼやけんなぁー‥…　あれ，なんか前が霞んでんぞ　なんて思っていたら
つくしが、すぅっと、ハンカチを差し出した。　どうやら‥…俺、涙目になってたらしい‥…　

恥ずい。恥ずい。ひじょーに、非常に、恥ずかしい‥…　
だけどな、まぁっいいか。一年に一回だ。なっ。

俺は呟く
「結、お誕生日おめでとう！おーたんの娘になってくれてありがとう。」

つくしに囁く
「あーたん　３才おめでとう。」
つくしが俺に囁く
「おーたん　３才おめでとう。」

1月1日は結の誕生日。
つくしが、あーたんになった誕生日
俺が、おーたんになった誕生日


＊＊＊おまけ＊＊＊

「なぁ、つくし‥…結がキンピラそこに置いて100回走るってぐるぐるしてたんだけど、ありゃなんだ？」
「っん？　キンピラ？‥‥うーーーーーん」
しばらく考え込んでいたつくしが、突如、ポンッと手を打ち

「あはぁん、ぷっ。それ多分金比羅さまと勘違いしたんだと思う。ママとパパが金比羅さんに行ってきた話しをしてたから、多分それよそれ！！」

「に、しても‥…　100回かぁー」
眉間にしわ寄せ考えてたと思ったら
「あぁー　金比羅さんへのお百度参りね〜〜　うふふっ　何　お願いしたんだろうね〜」


＊＊＊オマケのオマケ＊＊＊
あたちは、きんぴらしゃまにおねがいちたの。あーたんバァバァが、あーたんに　いってたの。
「金比羅さんにも百度石があったのよ。あそこにお百度参りしたらお願い事、本当に叶いそうよね〜」

あたちは、きんぴらをみっけたときに、おねがいごとしゅることに　きめたの。

なにをおねがいちたかって？
えへへっ　みんなー　みんなーー　しゅあわせな　とちになりますよー　にだよ。
だってね、だって　あたちみんな　だいしゅき　なんだもん　♡



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このお話は
決まってるの続きになります。出来ましたら対で読んで頂けるとめっちゃ嬉しいです。


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2016年がめっちゃ幸せな一年でありますよーに♥