ずっとずっと 76
心が愛おしいと叫ぶ‥…
**
ババァとグレンダと共に、関西空港に降り立つ。
久しぶりの日本、つくしの‥…愛する女がいる日本に降り立ったせいなのか? 朝から、胸騒ぎが止まらない。
この頃、ババァは、ボズウェル夫人、グレンダと共に La Verite のメンバーとの会食に連れ立って出かけては、機嫌良く帰ってくる。
La Verite 宝珠と筒井の奥方が率いるチャリティーを軸にした会だ。確か4つの会員に分類されているとか言ってたっけな。通常会員になるのも大変なこの会の2次会員になったとか言って喜んでたよな。
今日の婚約パーティーの主の神楽悠斗‥… 宝珠薫の親友と呼ばれる男か。
これから始まるプロジェクトにも、参加が決まっているKAGURAグループの次期後継者。
相手は、新倉かおるとかいう女。この女の名前、前にどこかで聞いた事がある気がする。どこでだったか?誰だったか?思い出せそうで思い出さない‥…
熟々(つらつら)と、考えていたら、あっと言う間にパーティー会場に到着していた。
流石KAGURAだけあって豪華絢爛な顔ぶれが集まっている。
会場の中で見知った顔を見つけては、挨拶を交わす。
今回の一番の目的は、明日のプロジェクトメンバーでの顔合わせだ。
「司さん、お義母様、ちょっと失礼致します。」
グレンダが旧友を会場内で見つけたと言って、話しかけに行っている。
俺は、ババァと2人で挨拶回りを続ける。
刹那、一筋の輝く光が見え、時間が止まる‥…
何故ここに? そんな事を考える前に、本能が、俺の身体を突き動かす。
つくしを取り戻せ。あの光を手放すなと。
つくしと視線が絡み合う。
全ての時間が止まる。
愛おしい女‥… 俺の全て。
心が叫ぶ、全て捨て去り、つくしを手に入れろと。
俺の細胞が叫ぶ、その女は、お前のものだと。
一歩前に踏み出そうとした瞬間
「司さん」俺を呼ぶグレンダの声がして、現実に引き戻された。
今すぐにでも駆け出して、つくしをこの胸の中に抱きしめたい気持ちを、ぐっと引き締め、俺はグレンダに向き直った。心を置いてけぼりにしたまま‥…
***
あいつと目があった瞬間‥…全てが止まる。
捨てられ、もう二度と傷つきたくないと思うのに、心はあいつを求める。
理性ではなく、あたしの本能が、魂があいつを求める。
司をアイシテル
共に生きていきたい
あたしの本能が、司を求める。
ドロドロと醜いあたしの心‥… 薫を愛して、宝珠の妻になると決めたのに。
もう後戻りはしないと決めたのに、あいつの香りを感じ、あいつの顔を見ただけで、全ての決意が揺らいでいる。心が叫ぶ‥…司の元に戻りたいと。
刹那‥司を呼ぶ美しい女性の声。
司がその女性の方に向きを変えた。
背中に、お前は必要ではないと書いてある様に、あたしに背を向けた。
そうだ、あたしは捨てられたんだ。あたしの居場所は司の隣にはもう無いのだと思い知る。
「しぃちゃん?しぃちゃん?」
あたしを呼ぶ、かおるちゃんの声に、はっとして振り向く。
彼女は何も言わず、あたしの手を握る。力強く手を握る。
あたしの居場所は、此処なんだ。
***
「かおるちゃん綺麗~ うふっ、悠斗デレデレだったね」
「ありがとう。うふっルゥさんもしぃちゃんにデレデレだったじゃない~」
「そ、そ、そうかな?」
その男が現れるまでは、穏やかな時が流れていた。
しぃちゃんの表情が変わる。視線の先を見ると素晴らしく綺麗な男が立っていた。
男の、しぃちゃんの、表情を垣間見て、この男が道明寺司なんだと理解する。
しぃちゃんの瞳が「この男を愛してる」 そう語っている。
道明寺司の瞳も 「この女を愛してる」 そう語っている。
「司さん」男を呼ぶ女の声。振り向き女の元に向かう男。
しぃちゃんが、何処かに消えてしまわぬように、私はしぃちゃんの名を呼び、手を握った。
私は、辺りを見回した。幸い、ルゥさんは今の光景を見ていない。
つぅ爺達も、近くにはいない‥… 私は安堵する。
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