明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

総誕イベント・愛と欲望の果て~能登でちゃぷん~第一話  by plumeria

第一話


去年の12月……つくしとお袋の罠…じゃない有り難い計画に乗って誕生日を満喫し、その後速効婚約した。
俺の知らねぇうちに作られた屋敷も、お袋が乗りたくて仕方ない車も既に準備されてるし、あとは式だけってところで問題発生。


次の年……

初釜に続いて雪見の茶事、桜の茶会に葵の茶会、アメリカでのデモンストレーションが終わったら七夕の茶事……西門のスケジュールが半年近く埋まってる。
1番早く休みが取れるのは?って考えたら8月……そんな真夏に式はイヤだという両親。

仕方なく婚約から10ヶ月も過ぎたこの秋に俺達は式を挙げた。



その結婚式の当日、つくしが身に纏ったのは尤も格式高い正礼装の白無垢。

神に仕える人の衣裳が白だったことから、邪気を払い神聖な儀式に臨むときの衣裳とされ、「白」には「純潔」「嫁いだ家の家風に染まる」という意味がある。
うちの場合は西門がつくしに染まった…ってな感じもあるが。

最高級の正絹で作られた白無垢はつくしの希望で清楚な緞子(どんす)に織られ、柄には縁起の良い鳳凰。
頭には綿帽子を被り、花嫁衣装のアクセサリーとして懐紙が入った「紙ばさみ」に豪華に装飾された「懐剣」、末広と呼ばれる扇子を差して別人のように美しくなって俺の前に現れた。


「……どうしたの?」
「いや、俺の嫁さんはすげぇ綺麗だなって思ってさ。見惚れてた訳よ」

「……バカ!仮縫いの時も仕上がった時も見たでしょ?」
「そうだけど今日は特別…抱き締めたいけどまだ無理か?着崩したら張り倒されそうだからな。でもここならいいか!」

「うわっ……!」


綿帽子で隠れてるつくしの耳元。
鬘が邪魔だったけどそこにキスしてやると、和装メイクがピンク一色に染まった。


俺は勿論、五つ紋付羽織袴。黒色の羽二重で背中と両袖・両胸の5か所に西門の家紋が入ったもの。
白に相反して黒には「何色にも染まらない」という意味があり、強い決意を象徴しているとも言われるが……俺もやっぱりつくしに染まった1人だと思う。

「よし!行くか!」
「うん!行こう!」

まるで遊びに行くみたいな掛け声で、つくしの手を取り西門を出た。




神殿に入る前、式に先立ち全員で行う手水の儀(ちょうずのぎ)。
それから参進の儀(さんしんのぎ)。神職、巫女が続き雅楽演奏者のあとに新郎新婦、両家の親、親族の順に本殿に向かう。

真横でゆっくりと歩を進めるつくしは綿帽子で顔こそ見えなかったが口元がヤケに嬉しそうに見える。
当然俺もニヤける……いやいや、今日はダメだろう!キリッとしないとな…と、顔を引き締めたが5分後にはニヤける。


少々緊張感には欠けたが、神殿に入ればそこの厳粛な雰囲気で自然と身が引き締まった。

神前に向かって右に西門、左に牧野家親族。全員に見守られ自分たちの定位置につくと、神職が俺達の前に来て修祓(しゅばつ)の儀が始まった。


『掛かけまくも畏かしこき 伊邪那岐の大神、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に
禊祓へ給ひし時に生り坐ませる祓戸大神等たち、諸々の禍事、罪、穢れ 有らむをば・・・』



つくしの目が潤むのなら判るが何でうちの両親が泣いてるんだ?
神職の声を聞きながら参列者が右側前方に視線を送り、俺はド真剣にならなきゃいけないのに自分の親を睨みつけていた。

祝詞奏上の後は三々九度の盃。
一の盃は俺からつくしへ、二の盃はつくしから俺へ、三の盃はまた俺からつくしへと夫婦の永遠を誓う儀式だ。
無理に飲まなくてもいいのに一杯目でクイッと飲むつくしに巫女の方が驚いていた……。


指輪の交換、誓詞奏上(せいしそうじょう)、親族盃の儀 …最後には神職が式を執り納めたことを神に報告し、式は終了。
その日のうちに婚姻届も提出し、俺とつくしは正式に夫婦になった。



**



そしてもうすぐ12月……誕生日まであと一週間。
今年はどうするんだろうってニヤけながらソワソワする愛妻の後ろ姿を見ていた。


「総~!ちょっとお出掛けしてくるね~」
「お?あぁ、1人でいいのか?」

「うん!1人がいい……ううん、何でもない、行ってきま~す!」
「…………おぉ」


1人がいい?って事は……くくっ、やっぱり何か探しに行くのか?
可愛いヤツだなぁ~、やる事が見え見えで!

きっと俺の誕生日プレゼントを買いに行くんだろうと思って、窓からつくしが出ていくのを見ていた。
車で行くんだろうと思ったのにそのまま門を出て行く……それが気になって何気に門まで様子を見に行った。


門から少しだけ顔を出し……ルンルンとしたつくしの後ろ姿を見る。
何故かすげぇ悪い事をしてる気分になって、もう部屋に帰ろうとしたら……そこに1台の白い車が来た。


……ん?あの車、見覚えが……

1度は向きを屋敷に戻したのに再び門にしがみつきガン見…そうしたらつくしがその白い車に近寄っていった。
そして何やら両手をあげて喜んで、急いで助手席に回って………乗った?!


そのハンドルを握ってるのは……類じゃねぇか?!!



なんで類がここに来るんだ?
まさか待ち合わせ……1人でいいって言ったのは類が居るからか?

そもそもどっちが誘ったんだ?類か?つくしか?!

待て待て!俺達はまだ新婚だぞ?!


どういう事なんだ?!つくしーっ!!



「こうしちゃ居られねぇ…………!」

俺は焦ってヘルメットを被り、バイクに跨がった!





第二話に続く!
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