明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

猫 04

20211129232711485.jpeg



ニャォーン
猫が鳴いた。


陽だまりの中、ムゥを膝に抱えたつくしが微睡んでいる。ムゥもくるりと丸まり幸せそうに眠っている。総二郎の唇が柔らかな笑みを作る。




事の切っ掛けは、大々的な区画整理だった。色々あって、ずっと半家猫だったムゥを何故か西門で面倒見ることになったのだ。
最初は勿論つくしやワタル、その他諸々のムゥの出没場所だった家の住人が引き取ると言ったのだが、つくしは一人暮らしの上に出張で家を空ける事が多いので却下。ワタルはずっとオファーしていた仕事が決まってジャカルタに。ここら一帯の大地主でムゥのお昼寝先の堺の爺様は、放浪癖のある爺様で月の半分以上は家に居ないので却下。朝ご飯先の森の婆ちゃんは新しく引っ越す先がオートロックの超高級マンション、夕ご飯先の田端さんと小暮さんは、田端さんは息子さんが住むアメリカに、小暮さんは娘さん夫婦が住む京都への引っ越しが決まっていたので却下。

今までの地区から比較的近く、誰かしら家人が居て、庭が広い。そんな西門の家に白羽の矢が立った。一茶も猫の俳句を詠んだじゃないと言うつくしの説得力のあるんだがないんだかよくわからない説得で総二郎が了承し、実は猫好きの家元夫人と後援会奥方の聡子夫人がタッグを組んで、猫が苦手の家元を説得して晴れて西門邸で預かる事が決まった。まぁ預かると言っても……すっかりムゥに籠絡された家元がムゥを手放さなかったのだが……それはそれであとの話。

何はともあれムゥを西門で預かることが決まって、ムゥの立ち寄り先に名を連ねていたつくしと、ムゥの朝ご飯先だった森の婆ちゃんが、ムゥが落ち着くまでの世話人に任命された。つくしと森の婆ちゃんは、ムゥを通しての茶飲み友達らしく仲が良かったので、二人連れ立って西門に訪れることもしばしばあった。

森の婆ちゃんは、世話好きで優しくて朗らかなよく笑う楽しい人だ。ムゥが西門に慣れてからも時間があればやってきては、西門の誰かとお茶をして帰って行く。

珍しく総二郎の時間がポカリと空いていた。総二郎は、森の婆ちゃんを見つけると声をかけた。

「若の淹れてくれたコーヒーなんて中々飲めるもんじゃぁないねぇ。長生きはしてみるもんだね。うーんイケメンさんが淹れてくれるコーヒーは格別だねぇ」

なんて言いながら、縁側でちんまりしながらコーヒーを飲む。

「つくしちゃんは又出張かい?」

「えぇ そんなこと言ってましたね」

「あの子もよく働く子だよ。やっぱりウチの会社に欲しかったねぇ」

「森さんのですか?」

「あぁ、今は息子に殆どを任せてるけどね。まだ幾つかの会社はやってるんだよ。
道明寺だっけ?あそこの会社の最終面接をやめたて聞いた時、これ幸いと何度か誘ったんだよ。ウチだけじゃなくて、堺の爺様も珍しく熱心に誘ってたねぇ。
ウチはそれ程でもないけど、堺の爺様の会社は道明寺に勝るとも劣らない財閥会社だったんだけどねぇ。
でも、つくしちゃん頑なに、もう一度自力で頑張ってみますって言ってねぇ 断られちゃったんだよ。
最初の頃はさ、どこか辛そうな顔してたんだけど、だんだんしっかりした顔になってきてね。朝から晩までバイトしてお金貯まったら起業してたんだよ。凄いよね。最初は地方の隠れた名産品を扱う小さなネットショップから初めて、今じゃ色んな業種の社長さんだものね。
あの子さ、ウチらとの繋がりを絶対に使わないんだよ。お商売やってる子にしたら絶対に欲しい繋がりだろうにだよ。ウチでお茶してた時にさぁ、息子夫婦が丁度やってきて、そこでお互い知っててね、そこで初めてウチの会社と取り引きがあるって知ったんだよ。息子らが帰った後にね、アタシに言ってくれれば、一発でOK出したのに欲がないねー。使えるもんはなんでも使わなきゃだめじゃないかいって言ったら、ニコニコ笑ったあとに……ビジネスで知り合った方との繋がりはしっかり使わせて頂いてます。アタシ結構強かなんで森社長にも沢山ご紹介頂いています。って言って笑ったんだよ」

「そうなんですね……牧野らしいですね」

「あぁ、そうだね。懐こいのに、媚びない子だよ」

「えぇ」

「そう言えばさぁ、若とつくしちゃんはどうなってるんだい?」

「どう……とは?」

「いやだね。そのまんまの意味だよ。ほらっ、若は本当の若様だろっ。いざ結婚したいなんてなった時にさ、色々と問題が出てくるだろ。だからね、その時は、ムゥ友達として協力させて貰いたいと思ってね」

「結婚?
あっ、いや……俺と牧野はそんな関係じゃないんで」

「おやっ そうなのかい? つくしちゃん若といる時、凄く楽しそうだし、若も他のもんといる時に出ない素の笑顔が出てるって聡子ちゃんが言うからさ……てっきり二人はできてるんだと、ムゥ仲間で話してたんだよ。
そうかい。そうかい。じゃぁまだ堺の爺様の孫は諦められないね」

「堺会長のお孫さんですか?」

「あぁ、正太郎って言う子でね、一時期、堺の爺様に頼まれてつくしちゃんの会社で丁稚してたんだよ。鼻持ちならない子だったんだけど、すっかり好青年になってね。実力至上主義の堺の中で、次代の担い手として頭角を現してるよ。
つくしちゃんには何度も断られてるし、ムゥも正太郎とつくしちゃんが居ると正太郎に邪見になるから望みはないけどね」


「ムゥが邪見だと望みがないんですか?」

「あぁ、ムゥはね縁結びの神さんの家系の猫だからね。そうじゃない相手との接触を嫌がるんだよ」

目をパチクリとした総二郎に森の婆様は


「道明寺の最終面接に行く日の邪魔をしたのはムゥだよ。まぁ、つくしちゃん自身も心のどこかでコレは違うって思ってたのかもしれないけどね、だって考えてご覧よ。あんな責任感が有る子が、最終面接すっぽかすなんて余程のことだろ?それも愛しの彼氏が将来担う会社さ。どんな目にあったところで、当日の朝に行かないなんて選択はしないね。まぁ、ムゥが盛大な邪魔をして、つくしちゃんの心をポキッと折ったのは事実だけどね」


そう言って、タイミングよくニャォーンと鳴きながら帰ってきたムゥを抱き上げ総二郎に手渡して

「じゃぁまたね ムゥちゃん 若」

と言い残して帰っていった。


総二郎はムゥを撫でながら、色々なことに思いを巡らせる。


「なぁムゥ 俺は幸せになってもいいのか?」

「ミャオン」

「ってか、俺って牧野のこと好きなのか?なぁムゥどう思うよ?」

「ミャンッ」

「そうだよな。ムゥだってこんなこと聞かれても困るよな」

「ミャオーン」
「いや、でも聞いてくれよ。ワタルさんが不在のいま、俺が相談出来るのってムゥしかいないんだよ。あっ、いつもなら牧野がいんぞ。流石に今回は牧野には相談出来ないだろ。なっ」

「ニャァー」

「俺、今日、誕生日」

「ニャァー」

「焼き鳥買ってやるからさ」

「ニャン」

「ちょっと待て。俺は、そう誕生日だ。それなのに牧野は連絡一本寄こさない。ってことはだ、俺が牧野を好きだとしても牧野は俺なんか眼中ないってことか?」

「ニャオォン」

「いや、ムゥそこは違うって鳴けな」


ムゥ相手に総二郎は自分の気持ちを吐露していく。最終的に出た答えは_____


「俺、牧野といつまでも一緒に笑いあいたい」

だった。

総二郎が答えを口にした瞬間______今まで大人しく総二郎の膝に居たムゥが起き上がり、地面に向かってピョンと跳ねた。ムゥの後ろ姿を目で追えば、視線の先には、つくしが立っていた。


つくしは少しハニカミながら

「私も、西門さんといつまでも一緒に笑いあいたい」

「なっ、なんで、お前ここに居るんだ。今日、大切な商談があるって言ってただろよ」

「出張先でねムゥの名前のパン屋さんがあったの。あんぱんが凄く美味しくって____そしたら西門さんならどんな顔して食べるかなって。一度考えたら一緒に食べたくなちゃって、それに___今日お誕生日でしょ。どうしても、おめでとうって顔見て言いたくなちゃって。速攻で商談まとめて帰って来たの」


つくしの手には、ムゥベーカーリーと書かれた袋が握られている。総二郎は裸足のまま、つくしに駆け寄り抱きしめた。




ニャォーン
ムゥが鳴いた。






にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村






お次は
12月6日11時~
2021総二郎BDあとがき


Pas de Quatre
関連記事
スポンサーサイト



4 Comments

asu  

パールさま

正太郎なら問題なし?
あははっw

麺屋オープンの際には是非ともw


腰振り……そっか残念
近くに住んでた鉄ちゃんと陽子ちゃんと
よく真似してたよw

って
えぇーーーーーーー
来年もよろしくだよ

2021/12/05 (Sun) 21:03 | EDIT | REPLY |   

asu  

るいかさま

そうそう。無事に恋が始まってホッとしてる
始まんないんじゃないとドキドキしたよ

インディゴちゃんは、ずっとずっとに出てた
うちのオリキャラなのだ。
無性愛者でつくしと仲良くなる男性だけど中女性です

2021/12/05 (Sun) 20:59 | EDIT | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2021/12/05 (Sun) 19:00 | EDIT | REPLY |   

-  

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2021/12/05 (Sun) 16:03 | EDIT | REPLY |   

Add your comment