まだ気づかない14 類つく
類の顔を見た瞬間……恋に免疫のない牧野は気まずくて気まずくてたまらなくなった。
一方、類の方は……牧野が叫んだ『雪ちゃん……会いたい』という言葉に心を抉られていた。
重たい空気が二人の間を流れている。あまりの重さに耐えきれなくなった牧野は類に
「……専務、私、何か専務のお気に障るようなことしましたでしょうか?」
思い切ってぶつけてみた。
「別に」
この雰囲気が嫌で思い切って聞いたとう言うのに、あまりにも素っ気ない言葉が返ってきた。
「じゃぁ 何でそんなに機嫌が悪いんですか?」
「別に」
牧野が何を聞いても類は「別に」の言葉を口にして
「それより、もうすぐ着陸だから___ちゃんとベルトつけなよ」
それだけ言ってそっぽを向いた。大人げないと牧野は感じたが、勿論それを口に出さずにベルトを締めて、そっぽを向いた。最初にそっぽを向いた筈なのに、そっぽを向かれたことに納得がいかない類が「ふぅっーーーーーー」と大きなため息をつけば、それに負けじと牧野が「ふぅっーーーーーー」と大きなため息をつく。
「ふぅっーーーーーーふぅっーーーーーー」
「ふぅっーーーーーーふぅっーーーーーー」
「ふぅっーーーーーーふぅっーーーーーー」
止める人のいないため息合戦は、着陸するまで続けられた。
空港に降り立ち移動の車に乗った牧野は、それが昔見たことのある光景で________
「せ、専務、フィレンツェ、フィレンツェ、フィレンツェに来ちゃってます。って、出張だったんですか? えっ、資料まだですよね。あっ、もしや専務がもうすでに作ってくださってたとか?あっ、いや、専務昼寝ばっかでそんな暇ないか。_____じゃぁなんでフィレンツェ?」
「あのさ、先に言っとくけど、俺、優秀だから空いた時間に昼寝してるだけだから」
類の言葉に、渋い顔をしながら首を傾げる牧野
「はぁっー あんた本当に失礼だよね」
「______私が失礼だったら専務もですよ」
「なんで道連れ」
「秘書課のお姉様方が、私たちの事似たもの同士って言ってるのご存じじゃないんですか?」
「知るわけないよ」
「そうですよね。専務は秘書課のお姉様方とは必要最小限の事しか話しませんもんね。私なんて、専務のお世話だけじゃなくて、社外は勿論、社内でも専務の尻ぬぐいなんですよ。それなのに、ちょっと愚痴をこぼすと、『牧野さんと専務は似たもの同士だから』って笑うんですよ。ホント、この昼寝虫とどこが似てるんだぁ~って感じですよね」
「あんたさ、本人目の前に凄い言葉乱立してるよね」
「えぇーーーーーー 私、コレでも雇われ社員ですので、随分と控えめに口に出してますよ。
それよりなんで、この時期にフィレンツェなんですか?」
「雪之丞に会いたいって言ったら、フィレンツェの別荘に来て欲しいって言われたんだ」
「えっ?雪ちゃん?雪ちゃんに会えるんですか?」
「あんまり目輝かすな」
「えっ?」
「嫉妬だよ。嫉妬。」
「な、なんで雪ちゃんに、専務が嫉妬」
「それは、あんたが考えてみなよ」
しばらく百面相を続けた牧野の答えは
「あの、あの、もしかして、もしかして……せ、専務って、私のこと大好きでたまらなかったりし……ま……す?
あははっ なんちゃって なんちゃって……ですよね」
「あぁ そうだけど。何か悪い?」
類の言葉に牧野は耳まで真っ赤に染め上げてから
「うわっ 何この羞恥プレイ」
独り言のように呟いた。

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一方、類の方は……牧野が叫んだ『雪ちゃん……会いたい』という言葉に心を抉られていた。
重たい空気が二人の間を流れている。あまりの重さに耐えきれなくなった牧野は類に
「……専務、私、何か専務のお気に障るようなことしましたでしょうか?」
思い切ってぶつけてみた。
「別に」
この雰囲気が嫌で思い切って聞いたとう言うのに、あまりにも素っ気ない言葉が返ってきた。
「じゃぁ 何でそんなに機嫌が悪いんですか?」
「別に」
牧野が何を聞いても類は「別に」の言葉を口にして
「それより、もうすぐ着陸だから___ちゃんとベルトつけなよ」
それだけ言ってそっぽを向いた。大人げないと牧野は感じたが、勿論それを口に出さずにベルトを締めて、そっぽを向いた。最初にそっぽを向いた筈なのに、そっぽを向かれたことに納得がいかない類が「ふぅっーーーーーー」と大きなため息をつけば、それに負けじと牧野が「ふぅっーーーーーー」と大きなため息をつく。
「ふぅっーーーーーーふぅっーーーーーー」
「ふぅっーーーーーーふぅっーーーーーー」
「ふぅっーーーーーーふぅっーーーーーー」
止める人のいないため息合戦は、着陸するまで続けられた。
空港に降り立ち移動の車に乗った牧野は、それが昔見たことのある光景で________
「せ、専務、フィレンツェ、フィレンツェ、フィレンツェに来ちゃってます。って、出張だったんですか? えっ、資料まだですよね。あっ、もしや専務がもうすでに作ってくださってたとか?あっ、いや、専務昼寝ばっかでそんな暇ないか。_____じゃぁなんでフィレンツェ?」
「あのさ、先に言っとくけど、俺、優秀だから空いた時間に昼寝してるだけだから」
類の言葉に、渋い顔をしながら首を傾げる牧野
「はぁっー あんた本当に失礼だよね」
「______私が失礼だったら専務もですよ」
「なんで道連れ」
「秘書課のお姉様方が、私たちの事似たもの同士って言ってるのご存じじゃないんですか?」
「知るわけないよ」
「そうですよね。専務は秘書課のお姉様方とは必要最小限の事しか話しませんもんね。私なんて、専務のお世話だけじゃなくて、社外は勿論、社内でも専務の尻ぬぐいなんですよ。それなのに、ちょっと愚痴をこぼすと、『牧野さんと専務は似たもの同士だから』って笑うんですよ。ホント、この昼寝虫とどこが似てるんだぁ~って感じですよね」
「あんたさ、本人目の前に凄い言葉乱立してるよね」
「えぇーーーーーー 私、コレでも雇われ社員ですので、随分と控えめに口に出してますよ。
それよりなんで、この時期にフィレンツェなんですか?」
「雪之丞に会いたいって言ったら、フィレンツェの別荘に来て欲しいって言われたんだ」
「えっ?雪ちゃん?雪ちゃんに会えるんですか?」
「あんまり目輝かすな」
「えっ?」
「嫉妬だよ。嫉妬。」
「な、なんで雪ちゃんに、専務が嫉妬」
「それは、あんたが考えてみなよ」
しばらく百面相を続けた牧野の答えは
「あの、あの、もしかして、もしかして……せ、専務って、私のこと大好きでたまらなかったりし……ま……す?
あははっ なんちゃって なんちゃって……ですよね」
「あぁ そうだけど。何か悪い?」
類の言葉に牧野は耳まで真っ赤に染め上げてから
「うわっ 何この羞恥プレイ」
独り言のように呟いた。
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