愛なんていらないから02 つかつく
久しぶりにぐっすりと眠った朝。
ベッドサイドに置かれた金を見た。なんだこれは?
もう一度見ても、変わらずにそれはそこに置いてある。まぁそれはそうだ。あるものがないという方が物理的に可笑しいのだから。
それにしてもだ_____なんだこれは?
そう考えてから、ベッドから立ち上がり部屋の中を見回した。目頭を押さえて昨夜の事を思い出す。
________いつものように眠れずに、眠剤を酒で飲んでから、秘書の沖田に命じて女を用意させた。女を抱くのは吐き気がする。だが、長年続く不眠のために女を抱き性欲処理をする。倒れないた、死なないために女を抱く。 翌朝、己への嫌悪と不快感で目を覚ます。女を抱くたびに女に嫌悪を抱き、世の中に嫌気がさしていた。
なのに_____いつも感じる不快感がなく、いや不快感どころか、ぐっすりと眠ったお陰なのか、爽快感さえ感じている。日の光が身体に心地よくて太陽の下を歩きたくなった。扉を開け、プールに飛び込んだ。
バシャンッ 大きな飛沫が太陽の光を受けてキラキラと光る。身体を作り上げるための目的ではなく空の青さを、太陽の光を、冷たい水を、楽しむために泳ぐ。いつぶりの感覚なのだろうか。目いっぱいに息を吸う。
プールサイドの電話のベルが鳴って、現実に引き戻された。沖田が電話の向こうで
「おはようございます。社長、大変、大変、申し訳ございません。 昨晩、手配ミスがございましたようで、大切な会議前だと言うのに____お眠り頂けませんでしたよね。誠に誠に申し訳ございません」
「手配ミス?」
否、ちょっと待て。居たぞ確かに居たぞ。俺は昨日、女とこの部屋に入ったぞ。確かに女だった。あの女、部屋に入るや否や熱い熱いと言いながら一枚一枚服を脱いで___その時に確かに胸がこう___ん?あったか? あぁあったな。あぁ。多分______あった______筈。
「あっ、はい。大変申し訳ございません。会議が終わり次第ご用意致しますので」
「いやっ、昨晩はよく寝れたので大丈夫だ」
「えっ? あっ、はい。あぁ はい。で、では、一時間後にメープルの方にお迎えに参ります」
「あぁ」
シャワーを浴びながら昨晩の事を考える。あの変な女は本当に居たのか?夢か?はたまた幻か? いや、あの女は確かに居た。下着一枚で『眠い。寒い』そう言いながら俺のシャツの中に頭半分潜り込む形で寝やがった。眠くて、寒いならベッドに潜れ。怒鳴ろうが何だろうが、あの女、目を覚ますどころか、益々、俺のシャツに潜り込んできやがった。猫みたいな奴だったな……思わず笑みが溢れて、自分で自分に驚いてから、理解した。こんなに穏やかでいられるのは、ぐっすり眠れた恩恵だと。その日から三日間は何をしても新鮮で喜びに満ちていた。あぁ、漲る活力って奴だ。眠るって素晴らしい。
ちらりと、あの女にもう一度会いたい……一瞬、そんな考えが過ぎって、そんな事あるわけないと己の思いを押し込めた。一度関係を持った女には、二度と会わないようにしている。どの女とも一回切りだ。まぁ、あの女とは一緒に寝ただけどな。
半月後
あの時の俺を殴ってやりたいほどに後悔している。あぁ後悔してる。
熟睡のチャージが切れた一週間後、いつものように眠剤を酒で飲み、手配した女を抱いた。いつもならやってくる眠りは訪れず、嘔吐した。一睡も出来ずに朝を迎え、痛む頭と不快感を抱え、出社した。その夜も、次の夜も同じことを繰り返し、俺の身体は、全てのことに限界を迎え一週間後にぶっ倒れた。
最低限の眠りしか取れずに目覚めた俺の第一声は
「あの女を、あの女を探せ」
だった。

牧野を見つけられるのか?
ベッドサイドに置かれた金を見た。なんだこれは?
もう一度見ても、変わらずにそれはそこに置いてある。まぁそれはそうだ。あるものがないという方が物理的に可笑しいのだから。
それにしてもだ_____なんだこれは?
そう考えてから、ベッドから立ち上がり部屋の中を見回した。目頭を押さえて昨夜の事を思い出す。
________いつものように眠れずに、眠剤を酒で飲んでから、秘書の沖田に命じて女を用意させた。女を抱くのは吐き気がする。だが、長年続く不眠のために女を抱き性欲処理をする。倒れないた、死なないために女を抱く。 翌朝、己への嫌悪と不快感で目を覚ます。女を抱くたびに女に嫌悪を抱き、世の中に嫌気がさしていた。
なのに_____いつも感じる不快感がなく、いや不快感どころか、ぐっすりと眠ったお陰なのか、爽快感さえ感じている。日の光が身体に心地よくて太陽の下を歩きたくなった。扉を開け、プールに飛び込んだ。
バシャンッ 大きな飛沫が太陽の光を受けてキラキラと光る。身体を作り上げるための目的ではなく空の青さを、太陽の光を、冷たい水を、楽しむために泳ぐ。いつぶりの感覚なのだろうか。目いっぱいに息を吸う。
プールサイドの電話のベルが鳴って、現実に引き戻された。沖田が電話の向こうで
「おはようございます。社長、大変、大変、申し訳ございません。 昨晩、手配ミスがございましたようで、大切な会議前だと言うのに____お眠り頂けませんでしたよね。誠に誠に申し訳ございません」
「手配ミス?」
否、ちょっと待て。居たぞ確かに居たぞ。俺は昨日、女とこの部屋に入ったぞ。確かに女だった。あの女、部屋に入るや否や熱い熱いと言いながら一枚一枚服を脱いで___その時に確かに胸がこう___ん?あったか? あぁあったな。あぁ。多分______あった______筈。
「あっ、はい。大変申し訳ございません。会議が終わり次第ご用意致しますので」
「いやっ、昨晩はよく寝れたので大丈夫だ」
「えっ? あっ、はい。あぁ はい。で、では、一時間後にメープルの方にお迎えに参ります」
「あぁ」
シャワーを浴びながら昨晩の事を考える。あの変な女は本当に居たのか?夢か?はたまた幻か? いや、あの女は確かに居た。下着一枚で『眠い。寒い』そう言いながら俺のシャツの中に頭半分潜り込む形で寝やがった。眠くて、寒いならベッドに潜れ。怒鳴ろうが何だろうが、あの女、目を覚ますどころか、益々、俺のシャツに潜り込んできやがった。猫みたいな奴だったな……思わず笑みが溢れて、自分で自分に驚いてから、理解した。こんなに穏やかでいられるのは、ぐっすり眠れた恩恵だと。その日から三日間は何をしても新鮮で喜びに満ちていた。あぁ、漲る活力って奴だ。眠るって素晴らしい。
ちらりと、あの女にもう一度会いたい……一瞬、そんな考えが過ぎって、そんな事あるわけないと己の思いを押し込めた。一度関係を持った女には、二度と会わないようにしている。どの女とも一回切りだ。まぁ、あの女とは一緒に寝ただけどな。
半月後
あの時の俺を殴ってやりたいほどに後悔している。あぁ後悔してる。
熟睡のチャージが切れた一週間後、いつものように眠剤を酒で飲み、手配した女を抱いた。いつもならやってくる眠りは訪れず、嘔吐した。一睡も出来ずに朝を迎え、痛む頭と不快感を抱え、出社した。その夜も、次の夜も同じことを繰り返し、俺の身体は、全てのことに限界を迎え一週間後にぶっ倒れた。
最低限の眠りしか取れずに目覚めた俺の第一声は
「あの女を、あの女を探せ」
だった。
牧野を見つけられるのか?
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