愛なんていらないから04 つかつく
「へっ?」
目の前の女は、どこから出したんだその声っていう変な声を出し、随分と間抜けな顔をしながら俺の顔とテーブルに置かれた大皿時計を交互に見ている。
「この大皿知ってんだろ? で、返事は?」
「あっ、あの返事はと言われましても_____確かに、この大皿は知っておりますが_____この大皿と今のお話と、どう関係すると仰るんでしょうか? 唐突千万と申しますか___何と申しますか」
「はっ? 何言ってんだ。至極簡単だろう。お前は俺のモノになる。報酬はお前の言い値だ。こんないい話はないだろう。断る場合は_____買春及び名誉棄損で訴える」
「はぁぁい? か、か、か、買春及び名誉棄損で、う、う、訴えるって」
俺の後ろに立っていた沖田が、目の前の女が残していった金と共に訴状と書かれた書類を置いた。
「いちOLが道明寺財閥を相手にして勝てるか? それよりも俺のモノになれ」
ニヤリと笑って書類に手を伸ばす女の手を掴み上げ、そう言えば
「はぁっ? さっきから聞いてれば、俺のモノ俺のモノって、あたしはモノではありません。訴えるならどうぞご自由になさってください。それに、あたしはあんたみたいなゲスイ男を買った覚えはない」
女は、俺の顔を射るように真っ直ぐに見た。漆黒の瞳が怒りに燃えている。その瞳に俺の意識は吸い込まれていく_________薄れいく意識の中で、何かの割れる音と女の叫ぶ声を聞いた気がした。
誰かの吐息を耳元で感じて、くすっぐったさと心地よさの中で目を覚ました。俺の腕の中に包まるように女が寝ている。黒髪から覗く頸が妙に白くて
「白いな」
そう呟けば
「違うよ。抹茶色にどどめ色の水玉だよ」
やけに鮮明な言葉が返ってくる。起きてるのか? 身体を少し離して女の顔を確認すると、目を閉じ眠っている。
「寝言か……に、しても、抹茶色にどどめ色の水玉ってなんだ」
想像して思わず吹いた。その瞬間、女は、口をほんの少し歪め、少し離れた俺の身体にくっついてきた。一度目覚めたら二度寝など出来ない俺は、無駄な時間を省こうと、女の身体を離す。今度は女の眉間に皺が寄り、いつの間にか伸びた女の手が俺のシャツを掴み、ピタリとくっついてくる。何度離れてもピタリとくっついてくるので、枕元に置かれたスマホでその様子を記録した。そして俺は穏やかな眠りについた。

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目の前の女は、どこから出したんだその声っていう変な声を出し、随分と間抜けな顔をしながら俺の顔とテーブルに置かれた大皿時計を交互に見ている。
「この大皿知ってんだろ? で、返事は?」
「あっ、あの返事はと言われましても_____確かに、この大皿は知っておりますが_____この大皿と今のお話と、どう関係すると仰るんでしょうか? 唐突千万と申しますか___何と申しますか」
「はっ? 何言ってんだ。至極簡単だろう。お前は俺のモノになる。報酬はお前の言い値だ。こんないい話はないだろう。断る場合は_____買春及び名誉棄損で訴える」
「はぁぁい? か、か、か、買春及び名誉棄損で、う、う、訴えるって」
俺の後ろに立っていた沖田が、目の前の女が残していった金と共に訴状と書かれた書類を置いた。
「いちOLが道明寺財閥を相手にして勝てるか? それよりも俺のモノになれ」
ニヤリと笑って書類に手を伸ばす女の手を掴み上げ、そう言えば
「はぁっ? さっきから聞いてれば、俺のモノ俺のモノって、あたしはモノではありません。訴えるならどうぞご自由になさってください。それに、あたしはあんたみたいなゲスイ男を買った覚えはない」
女は、俺の顔を射るように真っ直ぐに見た。漆黒の瞳が怒りに燃えている。その瞳に俺の意識は吸い込まれていく_________薄れいく意識の中で、何かの割れる音と女の叫ぶ声を聞いた気がした。
誰かの吐息を耳元で感じて、くすっぐったさと心地よさの中で目を覚ました。俺の腕の中に包まるように女が寝ている。黒髪から覗く頸が妙に白くて
「白いな」
そう呟けば
「違うよ。抹茶色にどどめ色の水玉だよ」
やけに鮮明な言葉が返ってくる。起きてるのか? 身体を少し離して女の顔を確認すると、目を閉じ眠っている。
「寝言か……に、しても、抹茶色にどどめ色の水玉ってなんだ」
想像して思わず吹いた。その瞬間、女は、口をほんの少し歪め、少し離れた俺の身体にくっついてきた。一度目覚めたら二度寝など出来ない俺は、無駄な時間を省こうと、女の身体を離す。今度は女の眉間に皺が寄り、いつの間にか伸びた女の手が俺のシャツを掴み、ピタリとくっついてくる。何度離れてもピタリとくっついてくるので、枕元に置かれたスマホでその様子を記録した。そして俺は穏やかな眠りについた。
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