明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

無花果の花は蜜を滴らす16

黙ったままのあたしの下唇を万里くんの指先がなぞる。ゆっくりとゆっくりと左右になぞる。数秒の出来事の筈なのに、永遠に思えるほど長い時間…………


「ねぇ、つくし、ちゃんと答えて」


万里くんの言葉に、早く答えなきゃいけないと思うのに、カラカラに乾いた喉は、言葉を紡げない。心臓がバクバクと変な動きをしている。


「別につくしが答えないなら、それでもいいよ。あいつらに聞けばわかるしね」


万里くんの整った形の薄い唇が綺麗に弧を描いたあと


「そういえば、学園長がレポート提出と週に一度のスクーリングで良いってさ」

カラカラに乾いた喉から必死に言葉を集め

「……それは、どう言うこと?」

万里くんに聞けば

「うんっ? そんなにわかりづらかった?」


「そうじゃ……なくて……どういう意味かって聞いているの」


「うーん、だからそのままの意味。そうそうスクーリングの時は、特別室で行ってくれるってさ」


「なんで?」


「あぁ、母さんが、随分と沢山学園に寄付したからね」


「そうじゃなくて……また、あたしを閉じ込めるってこと?」


「つくし、あたしじゃないよ私だよ」


「なんで?」


「そろそろウェディングドレスのフィッティングもしなきゃね。反物の用意は何年も前から母さんがしてくてれてるしね」


万里くんは笑みを崩さず、どこか夢心地に滔々と話しを続ける。


「そうだ、籍だけでも先に入れようか。

来月には時間が空くから、その時にでもつくしのご両親の所に挨拶に伺って、同意書を頂いてこようね。

新居はどうしようか? 折角だから気分変えたいよね」


「万里くんっ」


「うんっ? 新婚の時くらい二人きりで住みたい?」


「万里くん……そうじゃなくて、学校のこと……ちゃんと答えて?」


「…………ちゃんと答えて……か……
ふっ
最初にちゃんと答えなかったのは、つくしじゃないの?」


あたしは何も言えなくなって再び押し黙る。


「ねぇ、つくし、
君が誰に恋をしたとしても、君と人生を共にできるのは俺だけだよ。ねっ

あっそうそう、スマホの中の画像、いらないのは、きちんと処分したほうがいいよ。つくしが処分出来ないって言うなら、存在ごと処分してあげようか?   
ふふっ、そんなに青くならなくてもいいよ。俺だって余計な事はしたくないからね」



万里くんは、それはそれは美しい微笑みを浮かべ、あたしの肩を抱く。
……この瞬間、あたしは初恋を葬り去ることに決めた。



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3 Comments

asu  

パールさま

そそ
大分いってるの
もっとイケイケーー


って綺麗な人は大概許される?w

2022/12/05 (Mon) 09:00 | EDIT | REPLY |   

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2022/12/03 (Sat) 23:50 | EDIT | REPLY |   

asu  

sf608さま

忘れてましたーw

2022/12/02 (Fri) 06:07 | EDIT | REPLY |   

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