明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

愛なんていらないから12つかつく

デザートに心を惹かれながらも、小走りで道明寺達の後を追った。運がいいのか?悪いのか? 道明寺達は、エレベーターの前に居た。待ってる道明寺の横顔がほんのりと紅い。
うんっ? 紅い? はぁはぁーん、もしや、道明寺、桑原社長から頂いたワイン飲んだな。あれ、めっちゃ珍しいって言ってたもんね。

で、で、なんかいい気分になって、おつまみ欲しさに社員食堂に来ちゃったパターン?  えっ、それってこの会社のトップとしてどうなのよ。まかりなりにも社長よ!社長!まかりなりとか言うと語弊があるか……案外……ううん、仕事に関しては超優秀か……って、今はそういう事じゃない。おつまみ欲しさに社食に来るのはどうよって話しよ。

「うんっ、まぁ、これでいきなり踵返した事の説明もつくってもんよ」

なんて、呟いた瞬間______エレベーターを開にしてあたしを待っていた沖田室長になんとも言えないような____まるで残念な子を見るような目で見られ、道明寺には、「うっ」という声を出されたあとに一瞥された。


社長室フロア―に着くまでのエレベーターの中、沖田室長も道明寺もなぜか無言で、十数秒にも満たないはずの時間が何時間にも感じる程に長かった。


って……あたしに用事じゃなかったのか? あれっ?もしやあたし用無しなんじゃ? エレベーターから出た瞬間にそんなことを思った。だよね?用があるなら、エレベーターの中で何かしら言うよね。何も言われなかったし、これはデザート食べに戻ってもいいんじゃない?だよね。

前を歩く二人に気が付かれないように、足を後ろに動かし、もう一度エレベーターに戻ろうとした。


瞬間_____沖田室長の顔がクルリとこちらを向き


「牧野さん。悪いんですが社長室に珈琲持ってきて頂けますか」


満面の笑みを浮かべながらそう言った。



まさか珈琲の為にあたしは呼ばれた?____と思いつつも、沖田室長が浮かべる満面の笑みには逆らえずに、あたしは、無言で頷き給湯室に向かった。



「ふぅっーーー怖かった」

給湯室に入った途端、思わず口から洩れた。




❋❋❋❋❋❋❋


牧野が可愛い? 可愛いだと? なんだそれ
否定する気持ちと共に、いや、あいつ中々可愛い。と、俺の中の何かが訴えてくる。

いやいや、ちょっと待て俺。
牧野だぞ。牧野。小言満載のお節介女だぞ。やれ、朝飯は一日の活力の源で、健康の要だと朝からあぁじゃないこうじゃないとのたまわってるお節介女だ。確かに、今朝の飯は旨かった。昨日の飯も、一昨日の飯もあいつの作る飯は旨かった。いや、あいつの作る飯だけじゃなくて、あいつと一緒に食う飯は、なんでか旨い。
あいつが旨そうに食うからなのか。


瞬間


「うんっ、これでいきなり踵返した事の説明もつくってもんよ」

そんな声が聞こえて、俺は振り返る。

「うっ」

思わず変な声が出た。


踵を返した事の説明がつくって、何だそれ。
ちょっと待て。だ、だ、断じて俺はお前を可愛いなんて、特別なんて思ってない。____って、なんだ【特別】って。俺は俺の考えでフリーズする。フリーズしながらも身体は動いていたようで、いつの間にか席に座ってクルリクルリと椅子を動かしていた。

芳しいコーヒーの香りで意識が戻れば、牧野の白くしなやかに動く指。

瞬間……その指を掴みそうになっていた。

牧野は小首を傾げた後、

「お茶菓子お持ちしますか?」

そう聞いてきた。




あの日から、俺は夢を見る。白い指先が生き物のように蠢き、俺の肌を這いまわる夢を見る。

牧野の指が俺を誘う……





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2023/10/08 (Sun) 11:50 | EDIT | REPLY |   

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