ずっとずっと 83
ククッ 思わず笑っちまった俺に、グレンダが
「司さん、ううん司、私は真面目に話しているの。だから真面目に聞いて」とキッと睨まれた。
「そう言えば‥…司の愛してる女性って、宝珠の奥方になる予定の方?」
いとも気軽に聞いてくる。押し黙る俺に
「私の愛してる人は、アマンダ・ジョリーと言うの」
俺は、驚きを隠せないで話しを聞く。
「司はクリスチャンでは無かったわよね?」
「あぁ‥…」
やっとの事で声を出す。
「幾らアメリカではポピュラーだと言っても、自分の妻になる女がバイセクシャルなんて驚いたかしら?」
完璧と言っていいほどの美しさで微笑みながら話す。
私も、自分がバイセクシャルなんて思いもしなかった。至ってノーマルな人間だと思っていたと。初恋の相手も初体験も至ってノーマルだったと。でも、アマンダと出逢ってしまったのだと。
「出逢った時に、電流が走ったのよ。驚いたわ。」そう言って、神々しく感じるほど美しく笑う。
グレンダが、続けて語る‥…
最初は自分の気持ちは、何かの間違いだと思ったの、だって相手は女性なのよ。でも、感じるの。この人は自分の片割れなのだと。魂の半分なのだと。アマンダといると幸せなの。世界中が輝くのよ。毎日が楽しくて楽しくてたまらないの。アマンダも自分を愛してると知った時の気持ちったら‥ うふふっ天にも昇る気持ちってこういう気持ちを言うのね。だけど、私はボズウェルの娘。小さな時から、政略結婚をする事が決められていたわ。司との縁談を受けたのもただの偶然。ふふっ、お父様には色々の策略があったのかもしれないけどね。
でも、今はあなたで良かったと思ってるわ。
だって、あなたの愛してる女性って、とってもチャーミングなんですもの。あんなチャーミングな女性を愛せる司を私は誇りに思うわ。
「報われない思いでもか?」
「えぇ、たとえ報われなくてもよ」
俺は、はじめてつくしを如何に愛してるかをグレンダに語った。
グレンダは、俺の話しを黙って聞いてくれた。
最後まで聞いたあと
「ねぇ、あなた達はいつどうやって別れたの?」
財閥の経営状態が悪くなり、もがけばもがく程、悪化の一路。
苦渋の末に選んだ政略結婚……一方的に告げた別れ。後で気が付けば……彼女の誕生日だった事を説明した。
グレンダは、額を押さえながら……
「電話一本で、一方的に別れたの?」
そう俺に聞いてくる。俺は頷き返した。
「うーん……で、彼女が待っててくれるなんて、ご都合主義の事まで考えてたの?」
「身勝手なのは重々承知だ……」
俺は項垂れながら答える。それに追い討ちをかけるように、グレンダが話す。
つくしは、愛するあなたに、ボロ布のように捨てられたと思った筈だと。しかも二十歳の誕生日の当日に捨てるなんて、正気の沙汰だと‥…つくしは、どれだけ傷付いたか想像してみろと怒られる。
つくしの事を愛する男が、傷付いた彼女を救おうとするのは、当たり前の事。憎むのは勘違い甚だしく、俺が、一番にしなければいけないのは、つくしに謝る事だと。
暫く黙って何か考えてたグレンダが
「ねぇ司、私、つくしと仲良くなってみせるわ。それに……そうだ良いこと思い付いたわ。」
そう言って笑う。
グレンダが、何を考えつくしと友人になろうとしているのかは解からねぇー
ただ一つ言えるのは、この女は、敵じゃねぇーって事だ。
俺等は、世間的には至極仲の良い婚約者として扱われるようになる。
口には出さねぇが、ババァが安堵しているのが伝わってくる。
グレンダに言うと
「司が、バカな真似したら、即刻道明寺は取り潰されちゃうからお母様も大変よね」
しれっとした顔で笑った後に
「私の人生も、かかっているのだから、ドジ踏まないように注意してね」
と釘を刺してくる。
物言いがあまりにも可笑しくて、俺が笑うと、グレンダも一緒になって笑う。
つくしと一緒になって笑い合った以来の、懐かしい感覚だ。
「なぁ、今度俺にもアマンダを紹介しろよ」
「うふふっ、もう少し待ってて頂戴。」
***
かおるちゃん達の婚約パーティーが終わってからというもの、毎日が目の回るような忙しさで過ぎていく。毎日のように、薫と2人で挨拶回りに明け暮れる。
カウチで2人で話しながら、うつらうつら寝てしまい、夜中薫に抱かれ目を覚ます。薫は時に優しく、時に乱暴にあたしを抱く。乱暴に抱いた後の薫は、とても淋しそうで、あたしは自分から薫をもう一度求める。
薫、あたしはあなたを上手に愛せてる?
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