小っこいの たから物 司つく
「司、行ってらっしゃい」
「ばぶぅーぶぅ」
うぅぅーー 行きたくねぇなぁーーー
今日から、俺は一週間の出張だ。
うぅーー 行きたくねぇーー
後ろ髪引かれる思いで、俺は旅立った。
***
「さぁーてっと、おーたんは、行きました。」
「あい。あーたん おーたんいきました。」
「ではっ!!」
「あい!」
翼は、タマ先輩にお任せして‥
あたしは、結と2人で、あたし達の夢の場所にこれから行くの~~♪♬
司にバレたら、大目玉どころじゃすまない。
むふっ、結と2人で今日の日を待ちわびていたのだ。
思わず、笑みがこぼれてしまう。
「結‥これは、なんと100円玉です。」
「あい。」
神妙な顔で頷く結。
「そして、これは10円玉です。」
「あい。」
あたしは、結の前に100円玉を5枚。10円玉を4枚置いてあげる。
「これは、結が翼が生まれてから、あーたんのお手伝いを沢山沢山してくれたご褒美です。」
「あい。」
結の目がキラキラキラキラ輝きだす。
「な、な、なんと540円もあります。」
司に良く似た、端正な顔立ちで、お目目をパチクリする結。
「あーたん。たいへんでしゅ。あたちおかねもちでしゅ。」
我が子ながら、あぁーなんて美しい子なんだろうと見惚れてしまう。
瞳は、あたし似なのだけれど、結は司似だ。
見間違う事なき、道明寺家の血が流れている。本当に美しい娘。
そうそう、翼なんて、司に全てが瓜二つだ。
司には、死んでも言えないが、翼の顔を見る度に、ついつい見惚れてしまう。
「あーたん?」
違う、違う、今はお惚気かましてる場合じゃなかったんだった。
「ご、ごめん‥ で、で、で」
「あい。」
「「ぐふふっ」」
2人で顔を見合わせ笑い合い、
「では、鈴ちゃんママにLineを入れましょう~」
「あい。」
朱里さん
こちら準備OK。
朱里さんの所は、快人さんどう?
♪♬♪♬
つくしちゃん
こちらも準備OK。
楓さんにも連絡はOKですか?
OK。OKです。
朱里さんのお義母様のも連絡はOK?
♪♬♪♬
もちろんOK。OK。
ものすごーく大興奮。
では、現地にて!!
送信 完了っと♪
窓の外を覗くと、お義母様が到着したようだ。
結が
「バァバァーーーーー」
嬉しそうな声を張り上げ、走りだした。
九条家4名道明寺家3名の総勢7名で、目指すは‥‥ 夢の店♪♪大型スーパー ダリア
なんで、そんな事になったかって?
あははっ、朱里さんと仲良くなった切っ掛けを、お義母様に聞かれ、最初は結と鈴ちゃんが仲良しでと誤摩化していたのだけど‥結がポロリと、ダリアの話をお義母様にしてしまったのだ。
勿論、大目玉は頂いたのだけど、お義母様も女! 大型スーパー ダリアに、とってもとっても興味を持ったのだ♪
むふふっ、で、道明寺家、九条家の男衆に用を作ってもらい、とうとう今日という日を迎えた。
♪ ダリア~ダリア~ダリア~ ダリアが楽しい♪ ダリア~ダリア~ダリア~ みんなのダリア♪
ついつい口ずさんでしまう。ダリアの歌。
「お義母様、おはようございます」
そう言いながら、お義母様の格好を上から下までチェックを入れる。
流石に、美しいマダムには、なってしまってはいるが,グリーンのVネックセーターに黒のパンツに、黒いショートコートに、髪の毛を巻き髪にチェンジした出立ちは、鉄の女には見えないだろう。
ってか、お義母様お綺麗だわっ。
「どうかしら?大丈夫?」
「ちょっと美し過ぎますが、オーケーです」
ちょっぴり頬なんて染めてるお義母様‥ あははっ、そりゃーお義父様も惚れるってもんだ。
妙な所に感心してしまった。
我が家のSPでは司にバレてしまう恐れがあるので、お義母様の所の腕の立つSPを男性4名。女性2名の計6名に厳選してもらった。
目指すはダリア。ダリアにいざ参らん。
ダリアの前には、九条家の皆さん方が既に到着していた。
この計画を練るにあたり、両バァバ達はすっかりと仲良くなったようで、「楓ちゃん」「由美子ちゃん」と仲睦まじく呼び合っている。
結も鈴ちゃんも桐人君も、瞳をキラキラさせながら小さなカゴを持っている。
「きぃたん。すずたん。あたちドキドキちましゅ」
桐人君と、鈴ちゃんと、手を繋ぎ神妙な顔で話す結。
我が娘ながら、やる時やるなぁーと感心する。
こんな現場、司が見たら大変だろう。
何がって? 全部よ全部。
司にナイショで、ダリアに買い物に来てる事も、お菓子詰め放題1袋500円で張り切って袋を伸ばして入れてる姿も、結と桐人君が手を繋いでる姿も全部よ。全部。
隣を見ると、一生懸命お菓子を袋に入れてる朱里さん‥ 二人で目を見合わせ
「バレたら怒られるよねー」
「うんうん。絶対。しかも‥見てあれ」
チラッと、見ると大興奮の奥様2人が目一杯袋を伸ばして詰め込んでいる。
あははっ、笑うしかない。
もしもバレたら、司だけじゃない。お義父さんは勿論の事、快人さんにも快人さんのお父様にも、絶対に怒られる。うぅクワバラ、クワバラ。
朱里さんも同じ事を考えていたのか、「うわっ、バレたら一大事だね」2人で力無く笑い合う。
至極、満足気な表情を浮かべる、お義母様達と子供たち。
結の戦利品は、レインボー鉛筆と熊さんの握る玩具。
タオル地で出来た、鈴の入った握る玩具。
結、それって?
「あーたん、これねツバシャにあげるでしゅ」
ニコニコしながら言ってくる。
「結のが、沢山買えなくなっちゃうよ」
「いっこづちゅでしゅ」
楽しみに楽しみにしていた、ダリアでのお買い物。なのに、自分の分は一つだけで、良いなんて……
いつの間にか、お姉ちゃんになっていて
「結、今日はあーたん太腹になります」
ハテナ顔の結。
「ゆいの好きなもの10個買ってあげるから、持っておいで。」
笑って言うと
「それって、たくしゃんってことでしゅか?」
「そうよ。」
「あーたん」
大きな大きな笑顔の花を咲かせた。
結があれから選んだのは、タマ先輩おーたんを筆頭に、類、美作さん、西門さん、滋さん、桜子、優紀、そしてお屋敷の皆に配る大きなお菓子と、綺麗なシュシュ。
「あーたん。あぢがと。だいしゅき」
そう言いながら抱きついてくる。うーん、司が親バカになるの頷けるよ。
シュシュを、あたしに差し出して
「あーたん どうじょ」
なんだか、前が霞んで見えなくなった。
お義母様も目頭うるうるさせている。九条夫人が、何か頼み込んでいた。
小っちゃい結からの大きな大きな大きなプレゼント。
ありがとうね。
シュシュは、大事に大事にするね。あーたんの宝物だね。
***
一ヶ月後、道明寺、九条共同で、ショッピングモールの開発を行うことになった。
お義母様達の鶴の一声で始まった計画は、ダリアでの買い物が楽しかったからなんて、ナイショ。ナイショ。
結の優しい心に、惚れ込んだ九条夫人の思惑は、もっと、ナイショ、ナイショ
**オマケ**
「結ちゃん、将来は桐人のお嫁さんになってね」
「あい。」
こんな会話があったなんて、おーたんにはナイショ。ナイショ。
ナイショの話し。
**
「ハクッション」
「専務、お風邪でいらっしゃいますか?」
「いや‥… 誰かが、俺の噂してんのかな?」
「奥様と結様がお寂しがってらっしゃるんでしょうね。」
「おぉっー」
ナイショ ナイショ
おーたんには、ナイショ
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