ハート石伝説 後編 総つく
「今日は寝ねぇな。」
「ぷっ、いつもいつも寝ないよ」
「そうか?」
「あははっ、違うか。」
くだらねぇー事を話しながら、目的地に着く。
「つくしちゃーん、こっちこっち~」
手を振りながら、牧野を呼んでる。
「っと、高村陽平君。目下のアタック相手♪」
「アタックされてる?うーん。一応みのりちゃんの婚約者かと‥」
「あははっ、そうとも言うかな?」
ここにもなんだかハテナがいっぱいの女が一人。
4人で窯元を見て歩く。高村さんはとても博学で好人物だった。
不思議な事に、牧野が俺の側に居てくれると、俺の世界は、こんな風に広がりをみせていく。
魑魅魍魎渦巻きを感じてきた筈なのに、こいつが関わると何故か、温かな風が吹いてくるから不思議だ。
前を歩く女が2人。
「みのりさんも随分と不思議な女性ですが、つくしさんも随分と不思議な方ですね」
不思議? なるほどそうかそうなんだ。
「たしかにそうですよね。1+1が2にならないタイプですよね。」
「えぇ。そうですね。みのりさんと出会って、麻薬のように‥嵌ってしまってます。」
高村さんは、俺をまっすぐに見て微笑んだ。俺もつられて
「俺も、嵌ってます。つくしジャンキーです」
「じゃぁ、俺は、みのりジャンキーってやつですかね?」
ジャンキーな俺等は、2人で笑い合う。
「そうそう、つくしさん‥本丸で一生懸命何か探してませんでした?」
「あっ、はい。探してました」
「やっぱり。そうでしたか。だったら、西門さん‥」
「はい?」
「望みありで、期待大ですよ。」
それはどういう意味ですか?そう思い聞こうとした、丁度その時
「西門さーん、こっちーこっちー」
牧野が俺に声をかけてくる。
高村さんも、みのりちゃんに呼ばれ、なにか話しているな。と思ったらやって来て
「竹林亭が取れましたので、そろそろ行きましょうか」
そう言って俺等を促す。
宿についた俺等は、4人で飲めや歌えやの宴会に...
いつの間にか、牧野と高村さんが、舟を漕ぎ出している。
みのりちゃんが笑って
「陽平君、お酒弱いんですよぉー。お酒好きなんですけどね~」
「牧野と同じだ。あっ、でもこいつはこれでも強くなったのかな?」
牧野の髪を、掬って撫でた。
「若宗匠は、つくしちゃんの事好きなんですね~」
げっ、ばれたか
「ククッ 多分ですけど、気づいてないのつくしちゃんくらいじゃないですか?うちの鈍感親父様も気づいてると思いますよ。」
「えっ”」
「あんーど、つくしちゃんの気持ちに気づいてないのも、若宗匠くらいかな?」
「つくしちゃんの気持ちって?」
「うふふっ、ヒントは本丸のハート石伝説。」
それって?...聞こうとした瞬間に、高村さんを優しく、いやいやたたき起こしだした、みのりちゃん
「陽平君。起きて起きて~ ってか、起きろーはいはい。」
寝ぼけ眼の高村さんが、みのりちゃんに付き従い部屋を出ていく。
部屋に残されたのは、俺と牧野。
みのりちゃんが言ってた、つくしちゃんの気持ち‥ってなんだ?
俺は、こいつに振られたよな?
俺の一世一代のプロポーズ‥見事に断ったよな?
「一生、俺の半東さん勤めてくれ」に、速攻「嫌だ。」そう言ったよな?
そのあと、校了ミスがあっただなんだ言って、速攻帰ったよな?
つくしちゃん‥って、つくしちゃんって、牧野の事だよな?
うん。そうだ。それ以外いねぇ。 で、こいつの気持ち?
ってか、ハート石伝説ってなんだ?
本丸? 石? たしか一緒に触れとかなんとか言われて、触ったよな。
っん?っん?なんなんだ??
♪♬♪♬♪♬
若宗匠へ
今日、会食の時に、つくしちゃんに教えてあげた内容です。
ハート石伝説について‥…
青銅のハートマーク 猪目のハートよ。
城壁のハート型のツタ。
最後に、石垣のハートを探して、2人で触ると恋が成就するよ。
まぁ、そういうワケなんで‥頑張って下さい。
頑張れってことだよな。
うーーーん。だけどだだけど‥ 寝てる牧野をどうしようか?
声をかけてみようか? 「はーい。」返事だけは一人前だな。
鼻をつまんでみようか? 「うーーん」くくっ起きやしねぇな
俺は、牧野の唇を指でなぞる。「うーん‥」ちょっと色っぺぇ声がする。
たまらなくなった俺は、唇に口づけを落とす。吐息とともに唇が半分開いた。唇の中に舌を滑り込ませた瞬間、パチッ‥本当にそんな音を立てるかのように、目を覚ます牧野。
「に、に、西門さん‥な、な、なに?」
「っん?眠り姫に目を覚ますキス。」
「えっ”だ、だ、駄目だよ‥あたし達、と、と、友達‥」
「いや違う」
「えっ” じゃぁじゃぁ 弟子と師匠」
「いや違う」
「えっ” 」
「牧野、ちょっと黙れや」
俺は、牧野の浴衣の帯を解く。ハラリと着物がはだけ‥白い素肌が見える。
「綺麗だ‥」
その瞬間、俺の理性はぶっ飛んだ。
「ちょ、ちょっ、ちょっと待って」
「もう、待たねぇ」
「えっ、じゃ、じゃ、ダメ。ダメ。」
「牧野、俺の事嫌いか?」
「‥‥じゃない‥」
「じゃぁ、好きだろうよ?」
「‥‥‥」
「ハート石、一緒に触っただろうよ。」
耳まで真っ赤になって、俯いた牧野‥
「好きだ。牧野が、いや‥つくしが大好きだ‥」
「西門さん‥」
つくしが答える前に、俺はつくしの柔肌に触れる。
俺の白檀の香りと、つくしの伽羅と桂皮の香りが混ざり合う‥
つくしの身体をまさぐり、愛を囁く。
逸(はや)る気持ちを抑え、つくしの全身を愛撫する。
「ま、ま、待って‥」
「ダメだ。待てねぇー」
「あ、あ、あたし‥あの‥初めてなの‥だ、だ、だから」
「わぁった。優しくやってやる。」
「こ、こ、怖いの」
「大丈夫だ。なんも考えるな。どうしても怖くなったら、途中でやめてやるよ。だから安心しろ。」
その夜、俺はつくしを抱いた。真っ直ぐに俺を見つめる女を、俺は抱いた。
つくしの肌に、ハート型のキスマークを一つ残した。
俺らを結んでくれたハートは、つくしの身体に残る。
**
朝の陽射しを浴びながら、優雅に朝茶を頂く家元夫人。
あの二人、ハート石伝説に気がついたかしら?
総二郎さんも、案外だらしないから心配ですけど、今度ばかりは頑張るわよね?
うふふっ
つくしちゃん、いつでも西門の用意は出来ていてよ。
うふふっ
今度は、子宝神社かしらね?
**
「なぁ、俺の事好きな癖して、なんでプロポーズ断った?」
「っん?プロポーズって何?」
「‥‥一生俺の半東さんになってくれって‥言ったよな?」
「えっ〜〜 そ、そ、それって、プロポーズ???」
「‥‥‥」
誰の元にも、公平に朝は訪れる。
明けない夜はない。
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ハート石伝説♬ 各地に色々ある恋話伝説♪
ちなみに、asuhanaの住んでるところでは、
カップルで訪れちゃーいけないってのが、沢山あります。
一緒に行くと別れちゃうんですって。
カップルなら必ず訪れるような所なんですけどねー♡
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