いつかあなたと陽だまりで 3 司つく
プッープー
車のクラクションが鳴っている
あたしは、ハッとしてお腹を庇う。
つくし‥しっかりしろ。この子を守れるのは、あんただけなんだから。
あたしは、あたしに発破をかける。
あたしの、宝物。
全てを、司さえも捨てる決心をしたあたしの宝物。
司と再び結ばれてから、
ううん。そんな綺麗な言葉じゃない‥愛人、そう愛人になってから、ピルで避妊をしてきた。
司の愛人になった時に、最低限のルールとして、子供は作らないと、あたしは誓いをたてた。
その代わり、司の司の時間を少しだけあたしに分けて下さいと。
五ヶ月月前‥
そうあれは、司の長期出張中の出来事だった。
夜中に鳴った、進からの突然の電話
「姉ちゃん‥父ちゃんが父ちゃんが‥」
不義理をしていたあたし。
久しぶりに聞いたのが、パパの事故の連絡‥
突然の出来事に、ママは心労で倒れた。
あたしは、仕事と、パパとママの看病に明け暮れた。
忙しさと、司が出張中で、久しく会ってない事も手伝って、飲み忘れていたピル。
突然帰ってきた司に、いつものように抱かれた。
その日から、３ヶ月半。
お腹の中の子は明日で17週に入る。
気が付いたのは最近。
フッ‥嘘だよね。この子がお腹に宿ってすぐにわかった。
女の勘なのかな？
もしかしたらって？ 試すのが怖くて結局使えなかった妊娠検査薬。
決定的になるのが怖くて、病院にも行けなかった。駄目なママだよね。
生理が来ないのも、パパやママの看病で忙しいと、忘れた振りをした。
進の家族とパパ達の同居が決まり、慌ただしく日が過ぎるのに、あたしは委ねた。
覚悟が出来なくて、時がただ過ぎるのに、委ねた。
パパとママを送って行った後に、貧血で倒れて連れて行かれた病院で判明した。
妊娠を告げられた時‥
ゴメンね。ママ、一瞬そう一瞬だけ、司を、あなたのパパを選びそうになちゃったよ。
あなたが、ママのお腹で初めて動いた時、「一緒に幸せになろう」そう言われてる気がしたんだ。
司は、あとひと月は日本には戻らない。
あたしは、決心した。
このひと月で、あたし達の存在をこの街から、ううんこの日本から消そうと決心した。
何となく、そうじゃないかと思った頃から、両親を理由に、仕事は辞める旨を伝えていたので、今日で退職となった。有り難い事に所長が、何度も、退職ではなく休職扱いにしろと、引き止めてくれた。
住まいは、司の持ち物だから、権利書を他の持ち物と一緒に纏めて置いて出れば、なんの問題もない。
大きな家電や家具は、引き取ってもらった。
私物は全てゴミに出した。
スーツケースに、最低限の衣服を詰めこんだ。
あたしは、目の前の地図にダーツを投げた‥
「ヨシッ！ 牧野つくしダーツの旅だ。」
もう怖いものなど何もない、だってあたしは一人じゃないもの。
＊＊＊
ボスの家で食卓を囲み、マリア達の顔を眺めていたら‥あの日の事を思い出した。
マリアと生きていくと決めた日のことを。
あははっ、なんでダーツで自分の人生決めちゃうかな～？
ぷぷっ、本当に、ダーツの旅じゃぁーないよね～
過去の自分に、現在の自分が呆れて笑う。
あの後、タスクに会って、ボスと再会出来て無事になんとかこうとかやってるものの、無謀だったよねぇー。
だけど、あのダーツのお陰で、タスクと出会い、ボスと再会出来たんだとしたら、あたし、かなりラッキーって事だよね。
うふふっ そうだ～ そうだよね。あたしはついてる。
「ママ、何笑ってるの？」
「あははっ、マリアは可愛いなぁーーって」
「うふっ、ママありがとう♡」
ボスが
「そう言えば、SAKURAからの仕事を再来月から扱う事になりそうなんだけど‥」
「さっき、ボブから聞いたよ。」
「大丈夫？」
「直接は、ボブとボスが担当でしょ？」
「えぇ。そうなるわね。」
「あたしは、裏方だし。大丈夫。大丈夫。SAKURAの仕事が本決まりになったら、事務所も安泰でしょ？」
「えぇ、それはそうね。 社長が直接出てくる事は、ないから大丈夫だとは思っているのだけど‥」
「ボス、あたしのために、日本企業からの話しを断ってたら、事務所が大きくなんないよ。」
「でも、つくしもマリアも、私達にとって、とっても大切な家族なのよ。」
「ボス‥ ううん、静さん‥ありがとう。でも、それじゃぁ尚更だよ。うふっ事務所をもっともっと大きくしてお給料あげてよ。」
「もう、つくしったら。」
ボブが、タスクが、静さんが そしてマリアとジョアンが笑う。
皆で笑いあう。マリアを宿す前の10年間、あたしが捨てていた幸せだ。
司だけを愛して、司とだけ生きていくと思っていた10年だったから。
過去に、あたしが選んだ幸せ。
現在の幸せは、マリアがあたしに授けてくれた幸せ。
そう、あたしが ダーツの旅で出会ったのは、タスク と 静さん。
タスクに出会い、そして静さんと再会した時の事を、あたしは、鮮明に思い出す。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥
♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
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あたしは、あたしに発破をかける。
あたしの、宝物。
全てを、司さえも捨てる決心をしたあたしの宝物。
司と再び結ばれてから、
ううん。そんな綺麗な言葉じゃない‥愛人、そう愛人になってから、ピルで避妊をしてきた。
司の愛人になった時に、最低限のルールとして、子供は作らないと、あたしは誓いをたてた。
その代わり、司の司の時間を少しだけあたしに分けて下さいと。
五ヶ月月前‥
そうあれは、司の長期出張中の出来事だった。
夜中に鳴った、進からの突然の電話
「姉ちゃん‥父ちゃんが父ちゃんが‥」
不義理をしていたあたし。
久しぶりに聞いたのが、パパの事故の連絡‥
突然の出来事に、ママは心労で倒れた。
あたしは、仕事と、パパとママの看病に明け暮れた。
忙しさと、司が出張中で、久しく会ってない事も手伝って、飲み忘れていたピル。
突然帰ってきた司に、いつものように抱かれた。
その日から、３ヶ月半。
お腹の中の子は明日で17週に入る。
気が付いたのは最近。
フッ‥嘘だよね。この子がお腹に宿ってすぐにわかった。
女の勘なのかな？
もしかしたらって？ 試すのが怖くて結局使えなかった妊娠検査薬。
決定的になるのが怖くて、病院にも行けなかった。駄目なママだよね。
生理が来ないのも、パパやママの看病で忙しいと、忘れた振りをした。
進の家族とパパ達の同居が決まり、慌ただしく日が過ぎるのに、あたしは委ねた。
覚悟が出来なくて、時がただ過ぎるのに、委ねた。
パパとママを送って行った後に、貧血で倒れて連れて行かれた病院で判明した。
妊娠を告げられた時‥
ゴメンね。ママ、一瞬そう一瞬だけ、司を、あなたのパパを選びそうになちゃったよ。
あなたが、ママのお腹で初めて動いた時、「一緒に幸せになろう」そう言われてる気がしたんだ。
司は、あとひと月は日本には戻らない。
あたしは、決心した。
このひと月で、あたし達の存在をこの街から、ううんこの日本から消そうと決心した。
何となく、そうじゃないかと思った頃から、両親を理由に、仕事は辞める旨を伝えていたので、今日で退職となった。有り難い事に所長が、何度も、退職ではなく休職扱いにしろと、引き止めてくれた。
住まいは、司の持ち物だから、権利書を他の持ち物と一緒に纏めて置いて出れば、なんの問題もない。
大きな家電や家具は、引き取ってもらった。
私物は全てゴミに出した。
スーツケースに、最低限の衣服を詰めこんだ。
あたしは、目の前の地図にダーツを投げた‥
「ヨシッ！ 牧野つくしダーツの旅だ。」
もう怖いものなど何もない、だってあたしは一人じゃないもの。
＊＊＊
ボスの家で食卓を囲み、マリア達の顔を眺めていたら‥あの日の事を思い出した。
マリアと生きていくと決めた日のことを。
あははっ、なんでダーツで自分の人生決めちゃうかな～？
ぷぷっ、本当に、ダーツの旅じゃぁーないよね～
過去の自分に、現在の自分が呆れて笑う。
あの後、タスクに会って、ボスと再会出来て無事になんとかこうとかやってるものの、無謀だったよねぇー。
だけど、あのダーツのお陰で、タスクと出会い、ボスと再会出来たんだとしたら、あたし、かなりラッキーって事だよね。
うふふっ そうだ～ そうだよね。あたしはついてる。
「ママ、何笑ってるの？」
「あははっ、マリアは可愛いなぁーーって」
「うふっ、ママありがとう♡」
ボスが
「そう言えば、SAKURAからの仕事を再来月から扱う事になりそうなんだけど‥」
「さっき、ボブから聞いたよ。」
「大丈夫？」
「直接は、ボブとボスが担当でしょ？」
「えぇ。そうなるわね。」
「あたしは、裏方だし。大丈夫。大丈夫。SAKURAの仕事が本決まりになったら、事務所も安泰でしょ？」
「えぇ、それはそうね。 社長が直接出てくる事は、ないから大丈夫だとは思っているのだけど‥」
「ボス、あたしのために、日本企業からの話しを断ってたら、事務所が大きくなんないよ。」
「でも、つくしもマリアも、私達にとって、とっても大切な家族なのよ。」
「ボス‥ ううん、静さん‥ありがとう。でも、それじゃぁ尚更だよ。うふっ事務所をもっともっと大きくしてお給料あげてよ。」
「もう、つくしったら。」
ボブが、タスクが、静さんが そしてマリアとジョアンが笑う。
皆で笑いあう。マリアを宿す前の10年間、あたしが捨てていた幸せだ。
司だけを愛して、司とだけ生きていくと思っていた10年だったから。
過去に、あたしが選んだ幸せ。
現在の幸せは、マリアがあたしに授けてくれた幸せ。
そう、あたしが ダーツの旅で出会ったのは、タスク と 静さん。
タスクに出会い、そして静さんと再会した時の事を、あたしは、鮮明に思い出す。
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