ずっとずっと 91
「うーん。おはよう」
船上パーティーから、2週間。
あの一夜の薫の激しさも、司に抱きしめられたのも、船での事が全て夢だった様に、穏やかな生活が再び訪れている。
変わった事は、薫の激務。
TSUTSUIに顔を出すのも、時折、あたしを迎えにくるだけに変わった。
それも当たり前の事かもしれない、彼の頭脳、才覚では、教わる事も、そうそうないのだから。
バックには、つぅ爺と棗さん‥ 実践で学びながら鍛えられているのだろう。
もう一つは
「つくし、今日はブライアンとの会食だから。5時には筒井の邸に行ってね。」
「はい。」
薫の婚約者として、様々な場所へ出席すること。
今週末には、嵐山で野点が開かれる。西門さんが振る舞ってくるらしい。
滋さんも桜子も、そして優紀も来てくれる。
優紀がアタックをかけて付き合った彼‥‥ とんだ女たらしだったらしく‥とは、別れ
友達の紹介で、出会った彼とお付き合いを始め、6月に婚約する事が決まったのだ。
そのお相手が‥ な、な、なんと 京社長の甥っ子さんだったのだから、驚きだ。
まぁ、それもその筈で、よくよく聞いてみれば、紹介したのが桜子だったのだから。
なんでも、桜子に連れられ、優紀に会った千尋さん。
優紀のあまりの素直さ可憐さに、躍起になってお相手を見つけたらしい。
先週末、優紀と拓人さん。桜子と千尋さんの4人でペントハウスに来てくれた。
「もうね、千尋さんったら、次から次へと仲人ババァのようでしたのよ。」
「桜子さん、優紀ちゃんは桜子さんと違って、すれてないからね。悪い男に騙されちゃいけないと思ってね」
「あら、それでは、まるで私が、すれて男を手玉にとる悪女って事ですのね。」
「桜子さん‥」
2人の会話に皆が笑う。
何をしても、何を言っても、千尋さんは、桜子にいいように、からかわれている。
その様が、2人の仲の良さを物語っている。
拓人さんと、千尋さんは小さい頃からの友達で、
「桜子さん、千尋の悪行なら、俺いくらでも知ってますからね~困ったときは、いつでもネタ提供しますよ」
なんて、笑いながら桜子に耳打ちをしては、千尋さんに怒られている。
それを優紀が、穏やかな微笑みで見守っている。
夕方から、ナダーに会いに来た、滋さんとナダー、かおるちゃんと悠斗も合流して、嵐山の別邸で食事を楽しんだ。
食事が終わり、夜風にあたりに表に出た時に
「うふっ つくしのお陰なんだよ。」
優紀が微笑みながら、そんな事を口にした。
「拓人さんの伯父様がね、つくしの友達だったら、儂が後見人になるって。言って下さったの。」
幸せに満ちた笑顔をあたしに向け
「ありがとう。つくし。」
早く咲いた桜の花びらが一枚、風に舞う。
「つくし~ 優紀~ 亜矢さんと雪乃さんがケーキもって来てくれたよぉー」
滋さんの声がする。
**
お茶の用意をさせながら、亜矢さんが
「そうそう、今日はあなた方に、お話があって来たのよ」
雪乃さんが
「亜矢ちゃん、その前に‥」
「そうだったわね。」
優紀の方を向き
「優紀ちゃんってお呼びしていいかしら?」
「あっ、はい。」
「天海さんとの、ご婚約おめでとうね。」
「ありがとうございます。」
「お祝いと言っては、可笑しいのだけど‥宝珠で優紀ちゃんの後見としてつかせて頂こうと思うのよ。」
「えっ‥そんな‥そんな‥申し訳ないです。」
「あら、ダメかしら? 拓人君は、京社長の可愛い甥っ子さんで、優紀ちゃんは、しぃちゃんの親友なんですもの。是非そうさせて欲しいのだけど。ねっ。拓人君も宜しいわよね?」
「宜しいのでしょうか?」
「うふふっ、拓人君も、千尋君も 前回のTSUTSUIのセミナーに参加されたでしょ?未来ある若者に手を貸すのは当たり前の事よ。それに、私達の大事な大事なお嫁ちゃんのお友達なのよ。こちらからお願いさせて頂いているのよ。」
「有り難うございます。」
「こちらこそ、宜しくね。優紀ちゃん、社交界では、私が、あなたの母ですからね。あら母なんておこがましいかしら?」
茶目っ気たっぷりに亜矢さんが微笑む。
「後は、あなた方、女性陣にお願いがあるの。」
亜矢さんが美しい微笑みを携えておっしゃる。
「La Verite の正会員として、あなた方4人を推薦させて頂きたいと思っているの‥ そして、ゆくゆくは、しぃちゃんの力になって頂きたいの。」
かおるちゃんと、滋さんが驚いている。
優紀に、桜子が La Veriteの 説明をしている。優紀の下がり眉が、八の字になっている。
「かおるちゃんと桜子さんには、特に色々お願いすると思うから、出来たら来月から、祥子ちゃんと東雲夫人と共に出席をお願いして宜しいかしら?勿論、しぃちゃんもよ。」
「「「はい。」」」
「そうそう、優紀ちゃんは、お茶はやってらっしゃったわよね?着付けとお花は?」
「一通りですが‥」
「そう。なら心配ないわね。語学はたしか‥英文科でしたよね?」
「あっ、はい。」
「テーブルマナーも美しいし、ダンスは?」
「拓人さんに指示してもらっています。」
「そう。なら2週に1度で構わないわね‥」
「拓人君、優紀ちゃんを2週に一度の割合で雪乃ちゃんのお邸に通わせて頂戴な。優紀ちゃん勝手に決めてしまったけど、宜しいかしら?」
「あっ、はい。宜しくお願い致します。」
「うふっ、こちらこそ宜しくね。」
私の周りが、様々に色を付けて動いていく。
更新予定、拍手コメント返信は こちら♥をご覧下さい。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥

にほんブログ村
♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥