明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

ずっとずっと 93

一陣の風が吹き荒れる、目の前が桜色に染まる。

司? 何故?司がここにいるの?

「司君とは、共同事業を行ってるからね。他の皆も集まるから、お呼びしたんだ。」
薫が耳許で囁く。

光の森での出来事を、思い出す。
薫の目的は、一体なに?
ただ単に、司を呼んだんじゃない事だと言うこと位、あたしにだって解る。


司の隣には、グレンダさん……相変わらず綺麗な女性。
司が馴れない着物姿のグレンダさんを労って、腰を抱き歩いてくる姿が見える。

あたしとの恋とは違う……
道明寺家が歓迎して迎えた相手。
司が、グレンダさんに向ける優しい眼差しに、嫉妬している。

あたしには、そんな資格もない癖に。
薫に言われなくても、解っている。司との未来がなかったことくらい。

司のお母さんが、西田さんと共に、二人の後ろから歩いてくる。足がすくんで、上手く前に進めない。
薫が、あたしの耳許に囁く
「君は僕の婚約者だよ。もっと堂々としていて‥」

あたしの後ろから、雪乃さんがやって来るのが、垣間見える。
その瞬間、この場から逃げ出したくなる‥ 
何もかも捨てて、何もかも忘れて、空を飛ぶ鳥のように、羽ばたきたくなる。

いっそ、逃げ出してしまおうか‥ そうしたら楽になれる。
そんな考えが頭を過(よぎ)る。

雪乃さんがあたしの名を呼び、現実に引き戻される
「しぃちゃん」



風が舞い上がり、桜吹雪の中に、一条の光と共に現れたのは、狂おしい程に愛おしい女。
振り袖姿のお前が、儚気に佇んでいる。

グレンダが囁く
「司、そんなに愛おしげに見てはダメ」
俺は、気を引き締め直し、グレンダの腰を抱く。つくしだと思いグレンダを見つめる。
「OKよ」

グレンダと共に前に進む。
ババァと西田が後ろからやって来る。

つくしが宝珠に、何やら耳打ちされて、項垂れている。

なぁ、つくし‥ そんな哀し気な顔すんな。

フッ、オメェを紙切れのように捨て去った俺が言う事じゃねぇな。
俺よぉー
グレンダに言われて、初めて気が付いたんだ。オメェをどんだけ傷つけたかって。
そんなのによぉー、 オメェが待っていてくれるのが当りメぇだと思ってたんだかんな。
ハッ,飛んだお笑い種だよな。どんだけご都合主義だっつーのな

でもな、オメェが俺にとっちゃー 生きる希望なんだよ。
オメェの存在そのものが、俺にとっての奇跡なんだよ。

だから、お願いだ。
俺の為じゃなくて構わねぇからよぉ 笑っててくれよ
オメェの笑顔が、俺の一条の光だ。
なぁ、つくし‥ 俺はオメェに、狂おしいほどに惚れてんだ。

せめてせめて、オメェの笑顔をみせてくれ。
勝手な言い草だっつーの オメェ、そう言って怒りそうだよな。
ってか、いつもの調子で怒ってくれよ。
俺にはそんな資格がねぇのは、百も承知で、そう縋りそうになる。




あの男は危険だ。私の中のシグナルが危険信号を発する。
しぃちゃんを、私の大切な宝物を、紙切れのように捨てた憎い憎い男。
あの男だけは、許せない。

あの男に近づけては駄目。 
あの男は、由那を私から奪った悪魔のように、
しぃちゃんを、いいえ私の幸せを奪いにきた悪魔なのかもしれない‥

私は、笑顔でしぃちゃんと薫に近づいて行く
しぃちゃんが、私の方を振り向いて笑う。可愛らしい笑顔で笑う。

私の幸せが、筒井の宝珠の繁栄の女神がここにいる。
私は、この娘を手放しはしない。
あの男になど、くれてはやらない。


ババァと西田が追いつき、宝珠達に挨拶をしている。
「宝珠様、今日はお招きを頂きまして大変有り難うございます。」

筒井の婆さんが、ババァに向って微笑みながら
「楓さん、今日は、この子達の出逢いの花見の会ですのよ。ぜひ楽しんでいって下さいね。」
そんな話をしてやがる。

婆さんの目が一瞬、俺を睨みつけた気がする。
俺等の事を知っている? 
ククッ、知ってるに決まってるよな。
筒井の奥方様だ。知らねぇわけがねぇ

俺は、大事な孫の憎き恋敵って奴か? 
それとも可愛い孫嫁の昔の汚点って奴か?

婆さんが、ババァに向って
「そうそう、La Verite の会は、ゆくゆくは、つくしちゃんが仕切っていく事になるので、楓さんも、グレンダも是非とも力になってあげてね。」

高笑いしそうな顔で言い切って
「それでは、今日は楽しんでいって頂戴ね。しぃちゃん、薫、栄さんも棗さんも待ち構えているわよ。」

つくしの肩にそっと手を添え、大事そうに、まるで宝物でも扱うように、連れて行く‥

ババァの顔が、歪んでやがる。 
それが、ババァの本意じゃなかったとしてもだ、結果的に、自分が切り捨てた女の下に付かなきゃなんねぇんだからな。人生ってのは、何が起こるかわかんねぇよな。ババァも複雑なんだろうよ。

だがなババァ、つくしは、ババァが考えてるような嫌な女じゃないぜぇ。
誰に対しても、バカが付く程に正直で誠実な女なんだぜ。

ははっ 人生は皮肉だよな。




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8 Comments

asuhana  

Re: タイトルなし

yakkoさま

昼ドラのヒロインって、感じでしょ(笑)
なぜ、そこでそれをする〜 あぁーーだめみたいな(爆)

楓さんへの雪乃の牽制の一番の目的は、司の監視。&嫌みを少々。ってとこかな?

もともと賢い&順応性の高く、セレブキラーのつくしちゃん。
何よりも、道明寺家にとって宝だったのにね〜。

2016/01/20 (Wed) 17:31 | EDIT | REPLY |   

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2016/01/20 (Wed) 16:20 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

Re: こんにちはm(__)m

空色さま

うふふっ、きっと幸せ。(だよね?)

雪乃さん 強いっす。鉄の女よりも強いかも‥
鉄は、ある程度の力が加わるとポキッと折れちゃうけど〜 
柔軟性がある雪乃さん‥ひゃー怖いかも

2016/01/20 (Wed) 14:03 | EDIT | REPLY |   

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2016/01/20 (Wed) 11:36 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

Re: こんばんは(o`・∀・´)ノ

yukikoさま

なんだか、突然寒くなりましたもんね。
今日も風が冷たーい。

ほんと、グレンダのお陰(笑)
もっと、前に友達としてグレンダと知り合ってればねぇーーー

ずっとずっと 実は、なるべく悪い人を作りたくないんです。結果的に ”悪” に、なってしまう事があっても(笑)
雪乃さんも、善であるけど、悪でもある。
楓さんも、悪であるけど、善である。

2016/01/20 (Wed) 07:57 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

Re: タイトルなし

ワニさま
 
おはようございます。
ずっとずっと 書いてる内に、ちょっと多くなってます(笑)
当初、120話くらいで終わらす予定だったのですが、まだ幾つかのお話があるので、最後がまだ何話くらいになるかわかりません。ごめんなさいね。
あっ、早く終わらせろって?えへへっ もうちょい待ってて下さいねーーー

2016/01/20 (Wed) 07:52 | EDIT | REPLY |   

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2016/01/20 (Wed) 02:59 | EDIT | REPLY |   

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2016/01/20 (Wed) 00:41 | EDIT | REPLY |   

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