ずっとずっと 95
誰にもばれないように、司の横顔を盗み見る。少し痩せた? 少しだけ隈が見える‥
ねぇきちんと寝れてる? 食事はとれてる? お酒は飲み過ぎてない?
グレンダと目が合い、慌てて目を反らす‥
彼女にバレてしまった? どうしよう‥ あたしは慌ててしまいグラスを落としてしまう。
隣に居たアレンのドレスに、グラスの中に入ったワインがかかる。紅いシミが広がっていく。
「アレン‥ごめんなさい。」
「ううん。大丈夫よ。」
薫に許しを得て、嵐山のあたしの部屋にアレンを連れて行く。
メイドさんにドレスを用意してもらい、アレンに着替えをしてもらう。
「アレン、本当にごめんなさいね。」
「大丈夫よ。それよりもどうしたの?」
「う、ううん‥」
「ねぇあの後、薫にはバレなかった?」
そうだった。アレンには、光の森での出来事を知られているんだった。
「バレてたら、私は呼んでもらえなかったろうから、バレてはいないよね?」
「う、うん‥大丈夫だった。」
手早く着替えをするアレン。
アレンの右腰に、片翼のタトゥーと、”Mi vida loca”の文字
「綺麗な翼‥」
「うふっ ありがとう。」
「なぜ片翼なの?」
「あははっ、私の大事な人にの腰に、もう片方の翼が描かれているから」
「そうなんだぁ。その文字は?」
「うふふっ ミ・ヴィダ・ロカ 私の狂った人生 うふふっ、どうせ狂ってるなら思う存分楽しもうって、感じかな?」
「ふぅーん。」
「ぷっ。つくしの反応って面白いわよね。」
「そ、そ、そう?そんな事ないよ」
「あははっ、つくしって、一見、堅くて真面目なお嬢ちゃんなのに、何でも受け入れてくれるんだよね。」
ひと笑いした後に、アレンは愛する人の事を語り出した。
「私の愛する人は、女性なの。あっ、勘違いしないでね、別にホモセクシャルではないのよ。たまたま愛した人が女性だったってだけ。」
「連音とは、恋人同士ではないの?」
「連音?うふふっ、彼は私と彼女の良き理解者で、崇拝者ってところかしら?面倒だからお互いに否定はしないけど、彼にはちゃんと恋人がいるわよ。」
「とてもお似合いの2人だったから、てっきりお付き合いしてるのかと思った。」
「うふふっ、以前は、付き合ってたわよ」
さらりと、アレンが言う。
「だけど、私は彼女に出逢ってしまったから。」
「連音は納得したの?」
「うーん、どうなのかしら?ただ、彼は私の事も好きだったけど、同じように彼女の事も好きになったのよ」
「あたしには、よく理解は出来ないのだけど、連音には葛藤はなかったの?」
「連音には悪い事したかもしれないけど、私とグレンダは出逢ってしまったから‥」
「グレンダ?」
アレンの愛する相手が、グレンダ? グレンダって‥
あたしの頭の中を色々な事が駆け巡る‥
「あははっ、そう。グレンダ・ボズウェル、司の婚約者よ。」
花のような笑顔を振りまいて、アレンがさらりと言う。
「そうそう、もう一つ。私の本当の名前は、アマンダ。アマンダ・ジョリーよ。アレンはヴァイオリストとしての名前。アマンダとグレンダをもじって、連音が名付けてくれたのよ。」
色々驚く事を話すアレンは、きっと色々な葛藤をきちんと自分達の中で処理をしてきた人間なんだろう。
ねぇアレン、アレンは司には妬いたりしないの?
「っん? つくしそれって、質問?それとも一人言?」
「えっ あたし‥何か言ってた?」
「うん。しっかりとね。うふふっ、質問の答えはイエスであり、ノーでもあるわ。私が司に嫉妬するのは、グレンダとの時間を司が共有出来る事にたいしてだけ。その他で、司に嫉妬する事はないわ。」
アレンが時計を見ながら
「ねぇ、化粧室に行ってもいいかしら?」
「化粧室なら、この部屋にもあるけど‥」
「ううん。このお部屋のじゃなくて‥」
「えぇ‥別に構わないけど、変に思われるから、一度広間に戻るふりをしてからでもいい?」
「勿論、OKよ。」
部屋を出る。案の定、片倉さんがあたしとアレンの後を付いてくる。
広間が近づく頃‥
「つくし、お化粧室に寄って行きたいのだけど,案内してくださる?」
片倉さんにわざと聞こえるように、アレンがあたしに聞いてくる。
「えぇ、こちらよ。」
片倉さんが何か言いた気に、時計をチラッと見る。
時間の長さを気にしているのだろうか?
わざと見えないふりをして、アレンに付き添う。
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