ずっとずっと 96
「ハーイつくし」
見れば見るほど、綺麗な女性。
アレンが愛おしそうに、グレンダを見つめる。
グレンダが、アレンの唇に口づけを落とす。
あまりにも美しい光景に、色々なことは忘れ、うっとりと見つめてしまう。
アレンと、グレンダの二人が笑いだす。
「やっぱり、思ってた通り可愛いひと。」グレンダが、言えば
「真面目なのに、柔軟よ。」そうアレンが答える。
「あ、あの……司は、あっっ道明寺さんは、お二人の事は……あ、あの」
「知っていてよ。私も司からつくしの事聞いているしね」
「‥…」
どう答えていいのか、考えあぐねる。
少し話して解ったのは、グレンダはあたしに敵意をもっていない。
それどころか‥ とても好意的だと言う事だ。
「突然で驚いた?ごめんね。でも、司の話してくれた通りで大感激よ。」
クルクルとよく動く表情で話すグレンダはとても可愛らしい。
「っん?何か私の顔についていて?」
「えっ‥ゴメンナサイ。とっても綺麗だなって。」
「あらぁ~嬉しい♪」
「つくし、グレンダに惚れてはダメよ」
アレンが慌てるさまが、可笑しくて、こんな不思議な状況なのにも関わらず、ついつい笑ってしまう。人間って?いやいやあたしって、順応性が高い生き物なんだな。と感心してしまう。
「さて、あまり長居をしていると、あの小判鮫秘書さんが煩そうだから、そろそろいきましょうかね。グレンダも一緒にね」
「えぇ、3人で行きましょう。」
アレンとグレンダと3人で化粧室の外に出ると、片倉さんが片眉を顰める。
片倉さんは、薫に対し絶対の忠誠をもち使えている。言わば懐刀だ。
どんな汚い事も、どんな困難な事も、薫の命とあれば逆らわない男だ。
「つくし様、薫様がお待ちかねでいらっしゃいます。少しお急ぎ頂きませんと。」
片倉さんが、あたしに言う。
「ごめんなさい‥」
「あら、宝珠の使用人は、女主人になる人物に対し、指図をなさるの?」
グレンダが、美しく冷たい表情で、言い放つ。
流石、生粋のお嬢様は違うと感心してしまう。
「出過ぎた真似を致しまして、大変申し訳ございません‥」
片倉さんが、慌ててあたしに謝ってくる。
「さぁ、つくしさん、行きましょう。」
グレンダがあたしの腕に手を絡ませて、引っ張る。
アレンが、笑いを堪えている‥
不思議なひと達‥
道ならぬ恋をしている二人なのに‥
グレンダとアレンの二人には、悲壮感が漂わない。
漂ってくるのは、お互いがお互いを思いやる温かな空気。
「うふっ、つくし‥グレンダって素敵でしょ?」
「アレンの方が、もっと素敵よね?」
アレンの方が、グレンダの方が、二人はそんな事を言い合っている。
懐かしいなぁー くだらない事で言い合うのを見ていてそう感じる。
「あははっ、どっちも素敵よ」
あたしは、二人に答える。
その瞬間、あたしの頬に、二人がキスをする。
片倉さんが、眉を顰めている。
でも、そんな事も、気にならない程に楽しくなった。
「ねぇ、アレン、グレンダ‥」
「「なぁに?」」
「あたし、あなた達2人が大好きみたい。」
「「うふふっ、ありがとう」」
3人で、顔を見合わせ笑い合う。
桜の花は、あたしに多生の縁を運んでくる。
更新予定、拍手コメント返信は こちら♥をご覧下さい。
↓ランキングのご協力よろしくお願い致します♥

にほんブログ村
♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥