ずっとずっと 97
アレンと、っん?もう一人は、司の嫁になる女?
昔からそうだけどさぁ、あんた不思議な女だよね。
総二郎と、あきらも気が付いたようで
「牧野らしいっちゃ、牧野らしいけどよぉ、あいつなんかスゲェよな‥」
「順応性があるっつーか?」
「あぁ、不思議な女だよな。」
三条が、あきれながら、それでもどこか感心した表情で、牧野を見てる
ククック‥ ホント、あんた、飽きない女だよね‥
楽し気な笑い声が聞こえ、その笑い声のあまりの心地好さに、ドアを見ると‥
先輩が、ヴァイオリン奏者のアレンと、グレンダの3人で、仲良さげに笑い合い大広間に入ってくる姿が見える。
せ、せ、先輩‥?
根っからのお人好し‥‥ あなたの心には、人を羨んだり、憎んだりする感情はないのですか?
先輩の優しさによって、私も滋さんも、友情を知り得る事が出来ました。先輩の優しく温かな光を求めて、周りに人が集まってきますし、道明寺さんも、宝珠さんも、先輩のその温かさにお惹かれになられたのでしょうけど‥
どうか、どうか‥ これ以上、あなたの進む人生に荒波を立てないようになさって下さいませね。
朗らかに楽し気に笑うつくしの声がする。
入り口を見ると‥
アレンとグレンダ?なぜ? グレンダは、司君の婚約者だよ?
君は、それでいいの?
君は、真っ直ぐに僕の元に来て
「遅くなってしまってごめんなさい。あのね‥」
グレンダが後ろから微笑みながら‥
「今つくしさんにはお話していたのですけど、京都メープルで行うアレンの演奏会に、つくしさんをお呼びしても宜しいかしら?」
小さな声でつくしが、行っても良いか僕に問う。
公衆の面前でグレンダに誘いを受け、つくしに行っても良いか聞かれれば、断る訳にもいかない。
それに、僕は知りたい。
グレンダは、何のためにつくしに近づくのか。目的は何なのか。
ここは少し泳がすしかないと腹を括る。
「グレンダ、申し訳ないけど、つくしの支度もあるので、メンバーだけ後で教えて貰えるかな?」
「えぇ、道明寺の秘書からLucyJewellにお伝えさせて頂くようにするわ。」
「手間をかけて申し訳ないが、お願いするよ。」
「では、つくしさん、またお会いしましょう。」
「えぇ、グレンダ。またね。」
つくしは、グレンダとアレンに親し気に手をふる。
桜の会は、終わりを告げる。客人を送り出す。
使用人達によって,邸の中が次々と片付けられていく。
着物を着替えに、つくしが自室に入って行く。
僕は、その間に片倉に、アレンと席を外した時のつくしの様子を聞く。
グレンダとは、パウダールームで偶然、出くわしたようだ。
その他には、特に変わった様子は見られなかったと報告を受ける。
「ご苦労。」
僕は、片倉にそう告げる。
嵐山の夜は、更けて行く。
***
翌日、グレンダから、参加者名簿が送られてくる。
雪乃お婆様に名簿を渡し、つくしの衣装を見繕ってもらう。
お婆様の事だ、衣装だけではなく、万事抜かりなく準備をして下さる事だろう。
夜毎つくしを抱きしめ、愛を囁く。
愛を囁ける人がいる事に、感謝をしながら。
彼女を抱きしめ、眠りにつく。
僕の隣にある筈の温もりが感じられずに、夜中に目が覚める。
隣にいる筈のつくしが居ない。布団が熱を失っている。
一体いつからいないのだろう?
僕の胸がドクンドクン音を立てる。
ベットから飛び降り、つくしを探す。
咲き誇る花の中に、佇む君を見つける。
今にも消えてしまいそうで、そう考えてしまう自分に悲しくなる。
つくしの側にいる権利は、未来永劫僕なのに。
月の光を背に、つくしが振り向く‥
僕は、君の肩を抱きよせ、口づけをする。
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