かんぱい 司つく
うっせぇなあ、ピーチクパーチク。
ほんと、この女ばっかは、黙って人の話しを聞くって事を覚えねぇなぁー。
後ろ頭をボリボリ掻く‥
「ちょっとーー なに頭なんか掻いてんの?あんた、あたしの話ちょっとは、真剣に聞いてんの?」
かぁっーー うっせぇなぁー っんとによぉー
「おぉっ、聞いてんぞ」
「そう。じゃぁあ そういうワケで〜 お先に失礼」
「はっ?」
「だって、聞いてたんでしょ?」
「あぁ、聞いてた。」
聞いてない癖してぇ〜 まぁ、それを狙ったんだけどね。 許せ、道明寺
恨むなら、人の話し半分に聞いてる自分を恨むんだ。
あたしは、ドアの位置を確認する。ヨシッOK。
西田さんは? うんうん、今の時間は楓社長の所だからOK。
で、秘書課の室長は? さっきマリちゃんと話してた。OKOK。
ドアの前で捕まりさえしなければ、あたしはここの部署の人間じゃないからOKだよね?
うんうん。OK!OK!
道明寺のご機嫌が悪くなったら、ごめんねぇーーー
あとはお任せしました〜
ドアを開け、あたしは一目散に出口を目指す。
さすが、専務室直通エレベーターだ。待機中だよ。
うふっ、確認済みだけどねん。
一瞬、遅れてから、気が付いたのか‥ 道明寺が追いかけてくる。
間一髪‥ くぅっーーー 勝ったぁーー勝ちましたぜ親分。
最大難関脱出成功。
エレベーターは、急降下する。
チーン。1階ロビーに着く。受付嬢に見つからないように、身を縮めて受付の前をくぐり抜ける。
ここまで来たら、勝ったも同然。思わず笑みが零れる。
許せ、道明寺! また会う日まで〜
ご機嫌で道明寺HD本社ビルを出た筈なのに‥何故か、何故か、あたしは楓社長の車に乗せられている。
こんな事なら、道明寺と一緒の方が良かったんじゃないの?
いやいや、どっちもどっちかぁー
「牧野さん。」
「あっ、はい。すみません。」
「あなた、先ほどから、謝ってばかりいてよ。」
「す、す、すみません」
あっ、あははっ 苦笑いするしかない。
ってか、この状況で何を話せと‥
はぁっーー 溝鼠呼ばわりされていた頃が懐か‥しくないか。
それは、それで大変だった。ふぅーいくら気が動転してるからって、何考えてるあたし。
コホンッ
「ところで、あちらの方はどうなってるのかしら?」
あぁー やはりそこですよね。
「はぁ。」
どうもこうもありません。未だに言えずにおります。
「まさか未だって事はないですわよね?」
「す、す、すみません‥まだです。」
楓社長が眉間を押さえる。
「では、今日は何から逃げていらっしゃったのかしら?」
「あははっ、バレてましたか?」
ジロリと睨まれ
「バレるもなにも、あんな小さくなってロビーを出ようなんてみっともない。もっと堂々となさい。堂々と。」
「‥はい。」
クスッと笑い、
「まぁ、相手が野獣ですからね‥」
野獣って? あはっ、一応息子さんですよね?
「生物学的にも、戸籍上でも息子には間違いないわね。」
あはっ、もしやまた独り言聞こえてた? よね。
「で、司には、いつ仰るつもり?」
楓社長には、全てお見通しだ。あたしが中々、言い出せない事を。
「牧野さんは、まだ迷ってらっしゃるの?」
「いいえ。心はもう決まっております。」
「そう、なら早く話した方が良いわよ。」
「はい。その前に、一つお聞きしたいのですが‥」
「何かしら?」
「社長なら、どうなさいますか?」
「私?さぁどうするかしらね? ただ、長い人生の数年待てない男は要らないかしらね。」
楓社長に、そっと背中を押された気がした。
「ありがとうございます。」
NYの弁護士免許を習得するためのロースクールに通のに必要な、学生ビザを領事館に取りに来たのだ。
やっと、日本に戻ってきた道明寺に中々切り出せなかった。
タイミング悪過ぎ?なんて思いもしたけど、あいつの横であいつを幸せにするために、胸を張って生きていく為に、あたしが選んだ道だ。
学生ビザを受け取り、領事館を出ると‥道明寺が目の前に‥
全部ばれちゃったかぁ。
「おぉっ」
「うん。ごめんね」
「あぁ」
「今度は、あたしが待たせちゃうよね。」
「あぁ。これであいこだ。」
「あははっ」
こいつは時折、こっちがビックリするほどに物わかりが良い。
あたしと道明寺は手を繋ぎ2人で雑踏の中を歩く。
「なぁ、お前がNYに行く前に婚約だけしねぇか?」
「それでいいの?」
「あぁ。」
慌ただしく、婚約発表が行われる。
そしてあたしは、一人NYに旅立つ‥
筈だった‥
なぜか、何故か あたしの横に道明寺。
「お袋から、転勤辞令だ。」
辞令をヒラヒラさせながら、片頬あげて、奴が笑った。
ははっ、完敗でございます。
***
「西田、グラスを2つ持って来て頂戴」
グラスに、シャンパンが注がれる。
チン 2つのグラスが重なり合う。
乾杯!!
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後ろ頭をボリボリ掻く‥
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「おぉっ、聞いてんぞ」
「そう。じゃぁあ そういうワケで〜 お先に失礼」
「はっ?」
「だって、聞いてたんでしょ?」
「あぁ、聞いてた。」
聞いてない癖してぇ〜 まぁ、それを狙ったんだけどね。 許せ、道明寺
恨むなら、人の話し半分に聞いてる自分を恨むんだ。
あたしは、ドアの位置を確認する。ヨシッOK。
西田さんは? うんうん、今の時間は楓社長の所だからOK。
で、秘書課の室長は? さっきマリちゃんと話してた。OKOK。
ドアの前で捕まりさえしなければ、あたしはここの部署の人間じゃないからOKだよね?
うんうん。OK!OK!
道明寺のご機嫌が悪くなったら、ごめんねぇーーー
あとはお任せしました〜
ドアを開け、あたしは一目散に出口を目指す。
さすが、専務室直通エレベーターだ。待機中だよ。
うふっ、確認済みだけどねん。
一瞬、遅れてから、気が付いたのか‥ 道明寺が追いかけてくる。
間一髪‥ くぅっーーー 勝ったぁーー勝ちましたぜ親分。
最大難関脱出成功。
エレベーターは、急降下する。
チーン。1階ロビーに着く。受付嬢に見つからないように、身を縮めて受付の前をくぐり抜ける。
ここまで来たら、勝ったも同然。思わず笑みが零れる。
許せ、道明寺! また会う日まで〜
ご機嫌で道明寺HD本社ビルを出た筈なのに‥何故か、何故か、あたしは楓社長の車に乗せられている。
こんな事なら、道明寺と一緒の方が良かったんじゃないの?
いやいや、どっちもどっちかぁー
「牧野さん。」
「あっ、はい。すみません。」
「あなた、先ほどから、謝ってばかりいてよ。」
「す、す、すみません」
あっ、あははっ 苦笑いするしかない。
ってか、この状況で何を話せと‥
はぁっーー 溝鼠呼ばわりされていた頃が懐か‥しくないか。
それは、それで大変だった。ふぅーいくら気が動転してるからって、何考えてるあたし。
コホンッ
「ところで、あちらの方はどうなってるのかしら?」
あぁー やはりそこですよね。
「はぁ。」
どうもこうもありません。未だに言えずにおります。
「まさか未だって事はないですわよね?」
「す、す、すみません‥まだです。」
楓社長が眉間を押さえる。
「では、今日は何から逃げていらっしゃったのかしら?」
「あははっ、バレてましたか?」
ジロリと睨まれ
「バレるもなにも、あんな小さくなってロビーを出ようなんてみっともない。もっと堂々となさい。堂々と。」
「‥はい。」
クスッと笑い、
「まぁ、相手が野獣ですからね‥」
野獣って? あはっ、一応息子さんですよね?
「生物学的にも、戸籍上でも息子には間違いないわね。」
あはっ、もしやまた独り言聞こえてた? よね。
「で、司には、いつ仰るつもり?」
楓社長には、全てお見通しだ。あたしが中々、言い出せない事を。
「牧野さんは、まだ迷ってらっしゃるの?」
「いいえ。心はもう決まっております。」
「そう、なら早く話した方が良いわよ。」
「はい。その前に、一つお聞きしたいのですが‥」
「何かしら?」
「社長なら、どうなさいますか?」
「私?さぁどうするかしらね? ただ、長い人生の数年待てない男は要らないかしらね。」
楓社長に、そっと背中を押された気がした。
「ありがとうございます。」
NYの弁護士免許を習得するためのロースクールに通のに必要な、学生ビザを領事館に取りに来たのだ。
やっと、日本に戻ってきた道明寺に中々切り出せなかった。
タイミング悪過ぎ?なんて思いもしたけど、あいつの横であいつを幸せにするために、胸を張って生きていく為に、あたしが選んだ道だ。
学生ビザを受け取り、領事館を出ると‥道明寺が目の前に‥
全部ばれちゃったかぁ。
「おぉっ」
「うん。ごめんね」
「あぁ」
「今度は、あたしが待たせちゃうよね。」
「あぁ。これであいこだ。」
「あははっ」
こいつは時折、こっちがビックリするほどに物わかりが良い。
あたしと道明寺は手を繋ぎ2人で雑踏の中を歩く。
「なぁ、お前がNYに行く前に婚約だけしねぇか?」
「それでいいの?」
「あぁ。」
慌ただしく、婚約発表が行われる。
そしてあたしは、一人NYに旅立つ‥
筈だった‥
なぜか、何故か あたしの横に道明寺。
「お袋から、転勤辞令だ。」
辞令をヒラヒラさせながら、片頬あげて、奴が笑った。
ははっ、完敗でございます。
***
「西田、グラスを2つ持って来て頂戴」
グラスに、シャンパンが注がれる。
チン 2つのグラスが重なり合う。
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