いつかあなたと陽だまりで 4 司つく
「フランスかぁ」類に会ってしまったらどうしよう?と考え、もう一度ダーツを投げた。2度目もフランス。
フランスに行けって事だと腹を括ったんだった。
花沢物産の支社があるフランス‥‥
無謀?と何度か考えたが、幸いこの8年会わずに済んでいる。
ふふっまさか、類もお膝元のフランスに居るとは、それも静さんの元で働いてるなんて、考えつかないかな。
だけど‥ 視線をマリアに移す。
この子は、類に会っているんだよね‥‥ ボブとジョアンと静さん3人と一緒に居たマリアを見て、静さんの子供だと勘違いしたんだっけ。
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8年前
シャルル・ド・ゴール国際空港
ビジタービザを発行してもらって、あたしは日本を旅立った、お腹の中に居たマリアと共に‥
「贅沢しちゃったなぁー」
日本から約13時間の空の旅。大奮発でビジネスクラスに乗ってきた。
10年間、真面目に働いたご褒美だ。どーんと行けで乗って来た。
胸のネックレスを残して、思いつくもの全部返してきたと思ってた。けど、この10年間の住居費‥すっかり司に甘える形になちゃったなぁー なんてぼんやり考えた。
そのお陰で、結構な額の貯金もある。
取りあえず頑張るぞー! 決意をあらたにアパートメントに向う。
**
「ふぅっー」
話す人が居ないって退屈なもんだ。
パリに着いて1週間。何かをする元気もなかったあたし。
ちょっと余裕が出て来たのか? 何もしない日々が退屈に感じ始める。
司と共に過ごして来た10年、極力親しい人を作らずに生きて来た。
それでも、仕事をしていれば色々な人とのやり取りが生まれていたんだなぁーと改めて思う。
ヨシッ
かけ声一つかけて、街に繰り出す。
うふふっ、取りあえず観光地巡りだーーー
景色を眺め、街をゆっくりと歩く。
パリのカフェでお茶なんてしてみようかしら? うふっちょっと素敵なんじゃないの~
優雅にお茶をする。
テーブルにお金を置こうとバックから、財布を取り出‥
ひゃっ、やられた。
大した金額は入ってなかったけど、ここの支払いどうしよう? 思案にくれていると‥
道を歩いている隣の部屋の住人を見つけた。
うわっ、ついてる~ うんと何って名前だったっけな?
たしかたしか、そうそう
「クラルティーさん?」あっ、疑問系になっちゃったよーって思ってると
クラルティーさんが、笑いながら近づいてきてくれる。
かくかくしかじか、理由を説明すると‥
「じゃぁ、ご馳走させて」
そう言って、お茶をご馳走してくれて、電車賃まで貸してくれる。
「ありがとうーー。あとで返しにくね」
「わざわざ良いよ。今度誰かが困ってる時にでも奢ってあげて。」
片手をあげて、その場をさるクラルティーさん。
中々、良い人ですなぁー
うん。君といるとあたしは、いつもラッキーだよ。お腹をさすって話しかける。
隣の部屋から物音がする。
あたしは、日本茶と借りたお金を持って隣の部屋を訪れる。
ピンポーン
「はーい」
「今日は、ありがとう。すごく助かりました。」
「あっ、日本茶?嬉しいありがとう‥うんと‥」
「牧野、牧野つくし」
「つくし。ありがとう。」
「僕は、ナタナエル クラルティ」
この日を境に、ナタナエル。ううんタスクとは仲良くなった。
タスクは、18才の学生さん。
「つくしは、フランスになにしに来たの?」
「ノープラン。」
「日本では、弁護士さんだったんでしょ?」
「うん。」
「じゃ、もう一度学生になって、フランスで弁護士になれば?」
フランスで弁護士? それってとても魅力的かもしれない‥ フランスの法曹界は女性がとても活躍している世界だ。
金銭的には、贅沢をしなければ何とかなる。就労をしなければ、ビジタービザも更新が可能だ。上手く受かって学生に慣れれば,学生ビザを申請出来る。学生ビザを貰えればバイトだって可能だ。
タスクの一言を切っ掛けに、あたしはフランスで弁護士を目指す事になった。
現役、大学生。しかも優秀の枕詞のつくタスク。
助けてもらってばかりだったから、タスク。
勉強の合間に、色々な話しをした。
タスクには、年の離れた腹違いのお兄さんが居る事。年が離れているので、何となく遠慮があってあまり仲がよくない事、お兄さんは、パートナーと共に弁護士事務所をしている事‥
「ねぇ、年が離れてるって、タスクのお兄ちゃんの方があたしよりも1つ下‥」
「えっ” あははっ、つくしはあんまり年上って感じしないんだよね‥」
確かに‥ いつも頼らせて貰ってるのはあたしの方だ。
「はい‥たしかに、あたしの方が沢山お世話になっております。」
2人で笑い合う。
タスクは、お腹のベベに、毎日話しかける
「ベベ、早く出ておいで~ 出て来たら僕と遊ぼうね」
誰にも祝って貰えないと覚悟していたあたしのベベ
しかも、異国の地‥ それなのに、目の前のタスクは、ベベの誕生を心待ちにしていてくれている。
縁とは異なもの味なもの
性別も、年齢も、育って来た環境も、国籍も違うあたしとタスク。
それなのに、大切な大切な友人だ。
「つくしにお願いがあるんだけど‥」
「っん?」
「来週、甥っ子の誕生日なんだ。一緒に来てくれないかな?」
タスクとの出会いが、再会を生む。
あたしの大切な人達‥
マリア、あなたはやっぱり
Tu es venard
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