ラブストーリー 後編 司つく

出会いは16才だった。
まったくもって、いけ好かない奴だった。

傲慢で俺様で‥って、ここは変わってないか。

俺様なのに‥　クッキー一つで大喜びする。
俺様なのに‥　あたしに首ったけ。
俺様なのに‥　あたしの為に、殴られても手一つ出さない。

色々あった。反対もされた。別れもした。
だけど行き着く先には、いつもいつも道明寺がいた。

あっ、記憶もなくしたんだよね？
あん時は、最悪だった。
これ思い出すと、ついつい司の向こう脛蹴っ飛ばしたくなるんだよね。

ボスっ
「痛っ　お、お前なにすんだ」
「‥‥」
「あんだよ」
「キスしろ」
「ったく、お前意味不明だかんなぁー」
「いいからっ」


あたしの覚悟が出来るまで、道明寺を待たせた。
あたしの覚悟が出来るまで、司も待たせた。

待つのは慣れっ子だ。俺も４年待たせちまったしな
あんたは言った。

それから８年も待たせてしまった。
毎年から、毎月、毎月から毎日言われるようになって‥
〆のセリフに
「生まれたばっかのガキが小学校卒業だぜ」
あぁ、そうか‥　あたし司をそんだけ待たせたんだ。って、思った瞬間に
ようやっと、決心がついたんだっけ。

大人になって、一緒の職場で働くようになって‥　
現実を見たあたしは、道明寺家の嫁になるって事に恐れをなしてたんだって。
怖じ気ついてどうする。あたしは　”牧野”　で　”つくし”　で　”牧野つくし”　だって。
取りあえず、やってみようって。ピースがハマった。

道明寺が好きで突っ走しってたあたしを思い出せって。発破をかけた。
10代の恋。我武者らに走った。鉄の女なんて物ともせずね。

だけどね、女になって、男の司を愛し始めたあたしは、少し奥病になった。
社会に出て、もっと奥病になった。　鉄の女の言ってた事が、悔しいけどよく解った。

だけど‥あたしは、あたしの道明寺を好きって思い、司を愛してるって思いは、手放せなかった。

道明寺HDで、我武者らに働いた。自分に自信が欲しかったから。
鉄の女が、尊敬する楓社長になった。
ようやっと、前を向いて歩けるようになった。

そんな時だよね、待ち構えてたように、プロポーズが毎月になった。
季節がくるっと一周回った頃、プロポーズが日課になった。

「おはよう。結婚しよう」
「頂きます。結婚しよう」
「おやすみ。結婚しよう」

いい加減、うるさーいって思った時に、〆のセリフで、ストンと落ちた。
「ねぇ、結婚しようか？」
返事をした瞬間、司の破顔した顔の中に、道明寺がいた。

あぁーあたし、こいつが大好きだな。
あぁーあたし、こいつと離れられないな。
改めてそう感じたんだ。

あたしの大好きだった道明寺。
あたしの愛してる司。
どっちも、
あたしが、あたしでいるために、
あたしが、あたしを作るために必要なんだって。


「なぁ、牧野」
「っん？」
「俺と出会ってくれてありがとうな」
「‥‥」

俺様なのに、道明寺なのに‥
こいつは、たまにこんなにキュンキュンするセリフを言う。

「ねぇ、つくしには言わないの？」
「言わねぇ」
「なんで？」
「つくしは、覚悟を決めた俺の女だから」
「牧野は？」
「牧野は俺の初恋。」
「何それ〜」
「そういうこった。」

「道明寺、あたしを見つけてくれてありがとうね」
「勝手にお前が飛び込んで来ただけだろ」
「プッ」

「なぁ、司にはねぇのか？」
「司は、あたしの男だから言わねぇー」
「ククッ　真似かよ」

2人で顔を見合わせ笑う。
道明寺が司が、牧野につくしにキスをする。
心底しびれるキスをする。


「司、愛してる。」
「あぁ、俺もお前を愛してる。」


あたしと司のラブストーリーは、終わらない。





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