ずっとずっと 106
薫が、優しく笑って、あたしを出迎える。
「忙しいんでしょ?わざわざ駅まで来なくて大丈夫だったのに」
「早く会いたかったんだ。昨日は暇になったから仕事頑張ったしね。」
1日しか離れていないのに、早く会いたかったからって言ってくれる薫にあたしは、思わず笑ってしまう。
「うふふっ」
「っん?」
「だって、たった一日だよ?」
つくしにとっては、たった一日でも僕にとっては、つくしが居ない一日は長いんだよ。
「本当は、東京まで行こうかと思ったんだけど...しつこい男は、嫌われるかな...って」
ニッコリ笑って薫が言う。
「あたし、薫の事...嫌いになんてならないよ。」
「だったら、よかった。つくしに嫌われたら生きていけないからね。」
優しく、あたしの髪を撫でる。
なんで、このひとは、あたしなんだろう?
ずっとずっと不思議だった。
なんでも持ってる美しい男。
なんで、あたしなんだろう?
「ねぇ、薫」
「っん?」
「なんであたしなの?」
「なんでって? つくしが、つくしだからだよ。」
「じゃぁさ‥…」
つくしに、なんで司君なの?って、問いかけたら答えは出るかな?
頭の中にそんな事が浮かぶ。
「っん?」
「ともかく,つくしが好きって事だよ。お姫様」
「あ〜、またお姫様って言った」
薫があたしを抱き寄せる。
「僕ね、つくしに一目惚れしたんだ。」
「えっ?」
「今まで、出会った中でつくしが一番可愛くて、綺麗だった。それが理由。」
つくしが耳まで真っ赤になりながら。
「薫の嘘つき‥あたし美人じゃないよ」
「うーん。僕の審美眼では、つくしが一番。」
「もぉー お土産あげないよ」
「だめ。二人で食べるの。」
多分、司君、類君にとっても、つくしが一番美しい人だと思うよ。
だって、君の周りはキラキラ光り輝いているもの。
「グレンダは元気だった?」
「うん。」
「司君には会えたの?」
「えっ?」
「会ったんでしょ?」
「‥…うん。」
「あっ、責めてないから謝らないで。」
「‥…」
「帰ってきてくれただけで、いいんだ。」
そうだよね。薫が解らないワケがないんだよね。
「あたしの帰る所は、薫の所だけだよ。」
薫が、優しく微笑んで
「うん。ありがとう。」
「やっぱり‥心配させちゃってゴメンだよね。でも、ちゃんとケジメはつけたから。」
「‥片倉が勝手に君を迎えに行ったみたいで‥ゴメン。」
「ううん‥あたしこそ、勝手に新幹線降りちゃってゴメンナサイだよね。」
「それはね。でも、すぐ連絡くれたから安心してると思うよ。」
薫の肩に、頭をもたげる。薫が、優しく優しくあたしを抱きしめる。
薫があたしを求める。あたしも薫を求める。強く強く。
このまま薫を、薫だけを見て、愛していけると思った。
愛していこうと思った。
ねぇ神様、
神様は、時に意地が悪いものなんですね。
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