明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

ずっとずっと 117

宮地行きの最終電車に乗り、発車を待っていると、やけに忙しなく動き回る女の子がいた。

チョコマカ動き回る姿が小動物みたいで何だか面白くて、見るとはなしに、ぼぉ~っと見ていたら、時計を見て、慌ててホームに出た。あら?乗り間違いなんて思っていたら、いつの間にか、戻ってきてて、戻って来たと思ったら、頭からすっぽりとコートを被って寝ていた。

終着駅に着く。乗り継ぎ列車に向うために、急ぐ人々の中に、眠りこけるさっきの女の子。コートから顔が出ていて、顔をじっくりと見ていたら、アレ?この子‥ 見たことある。うーーんなんて名前だったけかな? なんかの草、春になる‥ そうそう、つくし、つくしちゃんだわ。
あたしは、眠りこける女の子に声をかけた。
「ねぇ、ねぇ、終点だよ。ぅんと、つくしちゃんだったよね?ねぇ、ねぇ起きて」
「あっ、ありがとうございます」
そう言って、慌てて電車を降りてった。

電車を降りると、さっきの女の子が、立ちすくんでるのが見えた。
あらら、電車行ちゃったんだ。なんて思って見た。
立ちすくむ姿が、あまりにも儚気で、何か守らんといけんような気がして、声をかけとった。

「もしかして、電車行ちゃったとぉ?」
「うん‥」
「ってか、こんな遅く泊まる場所決まっとるの?」
「ううん。」

「じゃぁ、うちにお出でな」
そう誘ってた。

ちょっとばかり見知った子だからって、何年か前にバイト先で出くわしただけの子に、普段ならそんな声なんかかけやしない。
なんだか、ほっとけなくって、ついつい声をかけとったとよ。

そんな悪いです。ご迷惑おかけしちゃ申し訳ないです。なんて最初は遠慮してたけど‥
別荘について、ホットワインを出してあげたら、見事なほどにほろ酔い気分で、歌なんて唄い出した。殆どアルコールは飛んでる筈なんだけど、よっぽど弱いのねと感心してしまった。

朝ご飯を2人で食べて、あたしはゾラの散歩に出掛けた。

ゾラと散歩から帰って来たら、リビングのカウチで、幸せそうに微睡むつくしが居た。
ゾラが一直線に、つくしに向かいペロリと舐めた。ゾラの最大限の愛情表現。
「うわっ」
ビックリしながら、目を覚ますつくしに、思わず笑いが出たとよ。
不思議な子。この子がいる空間は、なんだかポワッと温かくなる。春の日だまりのように。

この子、何から逃げて来たんだろう? あたしは聞いた。
つくしは、真剣に話してくれた。

好きで好きで堪らなかった男に、ワケも教えて貰えずに振られた事。傷心のつくしを助けてくれた新しい男の事。流されるように、婚約してて、もうじき結婚する事。なのに、前の男が忘れなくて、思わず逃げて来た。そう彼女は言う。


当事者達は真剣な、でも世間には、よくあるお話。陳腐でヘビーな恋物語。
だけど‥‥この子の心が落ち着くまで、ゆっくり休ませてあげたい。そう思ったと。

あたしのいない時間、余計な事をぐだぐだ考えなくて良いように、翻訳の下訳を頼んだ。
日が暮れた頃、散歩に出掛ける。

何日目だろうか?あたし達のあとを付けてくる人影を感じたのは。あたしの事を嗅ぎ回る存在を感じたのは
つくしの事を愛する男は、ある程度の地位とお金を持っている男なんだろうと確信したと。
羽織っていたコートや、持っていたバックから、もしかしたらと漠然と感じてはいたとよ。

相手は、何を思って、つくしを自由にさせとると?
どちらにせよ。もうじきこの暮らしにも終止符を打つ日がくるとね。

つくしが
「インディゴちゃんは、辛くないの?」
そんな風に聞いてきた。真っ直ぐな瞳で。

辛いかぁ、あたしは久しぶりに考えていた。
いつの時からだっただろう、辛いとは考えないようになってたのは。
小ちゃな頃、大きくなったら、隣の家に住んでたエリカちゃんみたいに、女の子になるんだって思ってた。途中で、そりゃ無理な話なんだって解って来たけど、第2次成長が来た時には、驚いて、死のうと思ったんだっけ。

薄々勘づいていた、両親に泣いて止められた。
「ワタルが居れば、男だろうと女だとどちらでも構わない」だから生きてくれと。
そん時からだよね、辛いとは考えないようになったのは。

あらら、自分の事じゃなくて、今はつくしとむきあわなくっちゃね。
「つくしは、何が辛いと?」
曖昧に笑うつくし。

この子の辛いは、自分自身の事じゃなかとね。
色んな気持ちが解る子で、自分本位に生きられない子だから辛いとね。

「なら、運命に流されな。ユラユラと流されてみな。」


つくしとの生活が10日ほど続いた日、つくしが悪阻のような症状を訴える。
手っ取り早く、ドラッグストアに行って、検査薬を試させる。結果は、陽性。

ドラッグストアで買い物したものなんてすぐにバレるだろう。
それに、多分、多分だけど、相手の男は、つくしが妊娠した事を知っている。そんな気がしたとよ。

相手の男が無理矢理、つくしを連れ戻す前に、つくし自身に決断をさせる事にしたと。

彼女は
「ねぇ、インディゴちゃん。もしもコール5回までで、出なかったら、あたしインディゴちゃんの所で雇ってくれないかな?」

どこで雇おうかな?なんて考えたとよ。
つくしと、つくしのお腹の子と3人で、チームインディゴ で暮らすのもわるくなかとよね~なんてね。

相手の男は、ワンコールなる前に出たっと。
きっと、今か今かと待ちわびてたとね。

確か、京都に住んでると聞いとったのに、1時間でこっちに来ると言う。 
一時間…京都からどんなに急いでも無理とよ。

きっかり一時間後、チャイムがなる。
あらら、色々な事にビックリしたと
きっかり一時間でやってきた事にも
相手の男の色男ぶりにも、
秘書だという男の只者じゃない雰囲気にも。


秘書から、多額の寄付の申し出と、主治医になって欲しいと言われたとよ。
主治医の話しは喜んで受けたけど、寄付の話しは丁重にお断りさせて頂いたと。
なんでかって?
まぁ、別にうちの病院そこそこ立派な病院だしね。
京都のは、それこそセレブ御用達の産院だから,設備も整っとるしね。
変に柵なんていらんとよ。まぁ、あたしの流儀に反してったと。

それに‥‥つくしの瞳を真っ直ぐに見つめ続けたいと思ったんよ。


次の日、診察室にやって来たつくしの顔は、驚きでいっぱいだったとね。
チカチカ動く心臓を見せたら、本当に嬉しそうにしたと。


つくし、与えられた場所で、あんたらしい花を咲かせるとよ。
あんたには、暗い顔は似合わんと。



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6 Comments

asuhana  

Re: タイトルなし

yakkoちゃん

カオちゃんだけじゃなく、滋さんも、桜子も 優紀も みんな京都で産みそう(笑)

類。ぷぷっ インディゴちゃんのお気に入り。

2016/02/13 (Sat) 23:14 | EDIT | REPLY |   

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2016/02/13 (Sat) 22:21 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

Re: こんにちはm(__)m

空色さま

つくしにとっての非常階段。正しくですね~(^з^)-☆

2016/02/13 (Sat) 13:16 | EDIT | REPLY |   

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2016/02/13 (Sat) 10:50 | EDIT | REPLY |   

asuhana  

Re: (*´ω`)っ【゚.+゚.+:。こんばんぱ.+:。】

yukikoさま

インディゴちゃん……深い人間性をもってるんですよね~(*^^*)
困った時のインディゴ参り(笑)

2016/02/13 (Sat) 07:29 | EDIT | REPLY |   

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2016/02/13 (Sat) 03:35 | EDIT | REPLY |   

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