ずっとずっと 121
今日は、どんな日になるだろう?
つくしが側にいて、微笑んでくれさえいれば、僕にとっては最良の一日になる。
「つくし、つくし、朝だよ」
時計を見ながら
「う~ん。まだ早いよ」
眠た気な目をして、つくしが言う。
「うん。まだちょっと早いけど、会社に行く前に寄る所があるから支度して。」
彼女の髪を撫でながら、抱き上げて起こす。
子猫ちゃんのように、されるがままに身を任す君。
一つ一つが愛おしいと思う。
それにしても‥ くくっ 半分眠りながら、パジャマを着替えさせられてる君は‥妙齢な女性としてはどうなんだろうね?
「うーーーん。薫いま笑ったでしょ?」
こういう所は、敏感なんだよね。
「いや、いや、お姫様の事を笑ったりしませんよ。」
ちょっぴり唇を尖らせて、君が拗ねた真似をする。尖らせた唇に軽くキスをする。そのまま抱きしめたいところだけど‥我慢、我慢と自分に言い聞かせる。
朝食をとりながら、暢気な声でつくしが僕に聞いてくる
「朝から会議でも入ってたっけ?」
「うーん、会議は入ってないけど、重要案件。」
重要案件の言葉に、君の顔がキリッとした。
「インディゴ先生の所に行くんだ。」
「っん?インディゴちゃん?なんで?」
やっぱり微塵も気が付いてないのか‥
「つくし、この所凄く眠いでしょ?」
「う‥ん。」
「生理まだでしょ?」
「えっ‥ でも‥ えっ‥ そうなの?」
「多分。」
鳩が豆鉄砲食らった顔って、こういう顔なのかなぁ?なんてマジマジと見入ってしまった。
つくしを抱きかかえ、僕の膝の上に乗せ、髪を撫でる。
「大丈夫。大丈夫。落ち着いて。」
「うん。ありがとう。すこし落ち着いてきた。」
笑い方を忘れたように、ぎこちなく微笑む。
少しだけ、強くつくしを抱きしめる。
「薫って、凄いね」
何だか感心したように、つくしが呟く。
「うん。つくしマニアだからね」
僕の言葉に、つくしが笑って
「ホントだね。」
いや、いや、冗談じゃないんだけどね‥ なんて思いながら
髪の毛にキスをする。
僕と、一緒のシャンプー、パルファム なのに、つくしの香りがする。
世界で一番好きな香りだ。
「さぁ、お姫様、インディゴ先生が待っていらっしゃるから行こうか。」
彼女を促し、僕等はアイクリニックに出掛ける。
「おはよぉー」
インディゴちゃんが出迎えてくれる。
心臓がドキドキする。
お小水をとって、小窓に置くように指示を受ける。
診察室に通される。
「妊娠反応が出てるから、エコーしてみようか。」
診察台に上がり、経膣エコーを受ける。薫が手を握っていてくれる。
カーテンが開かれ、モニターを見せてもらいながら説明を受ける。
「うん。卵巣の腫れも見られないし、筋腫も無し、胎芽が見えてる。形も良いから、来週あたりに心音も見えるかな?」
「ありがとうございます。」
今にも泣きそうになりながら返事をす‥ ううん。返事をしてる薫があたしの隣にいた。
診察室に移り、インディゴちゃん、ううんインディゴ先生が
「妊娠に絶対大丈夫っていう言葉は使えないけど、臍帯過捻転は、遺伝性のものでもなんでもないから、必要以上にその事を考え込まないでね。」
そう注意を受ける。
表情を変え
「薫、ほげんすごかね。週数まであっとると」
薫に向い、ウィンクをしてる。
あたしは、ちょっぴり肩身が狭い気がして、肩を竦めた。
その様を見て、薫とインディゴちゃんが大笑いしてる。
「あんたの事は、全部薫が、把握してればよかとよ。薫は、あんたが好きで好きでしょうがなかと」
笑うしかない。けれど、心に温かな風がふく。
薫の顔をそっと見る。胎芽の映った画像をじっと見ては、ニンマリとしている。
ニンマリ具合が、余りにも可愛らしくて……ついつい、見惚れていると
「コホンッ、バカップルぶりは、家に帰ってから、二人でどうぞ」
インディゴちゃんが、ニヤニヤしながらあたし達に言う。
「ゴメン、あんまりにも可愛らしくて、ついつい、見いってた。」
「あははっ、薫じゃなかと、薫の奥さん、薫に釘付けだったと」
穴があったら入りたい……
薫が微笑みながら
「じゃあ、二人きりに早くなろうっと」
インディゴちゃんが、両手を挙げて、笑ってる。
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