ずっとずっと 122
聖がお空に帰ってしまった週数も無事に過ぎた。
薫は、もう既に親ばか発動中だ。
聖の分迄愛して行こうと決めているのだろう。
木の葉がしっかり見えて、女の子だと分った時の薫の第一声が
「嫁にはやらん」だった。
ふざけて言ってたけど、
かなり本気な目だよね。なんてインディゴちゃんと大笑いした。
4Dで見えたお顔は、薫に似てて鼻梁の高い美人さんだ。
なのに、薫と雪乃さんの2人は、あたしに似てて可愛いを連呼する。
最後には、2人で手を取り合って頷きあっている。
丁度、そんな頃だった‥ 司親子が日本に帰ってきたのは
Lucy Jewell で 開かれるパーティーに2人で参加すると聞いた時に、トクンッと胸が高鳴った。自分で自分の感情に驚いてしまった。
もうすっかり過去の出来事にしたと思っていたのに‥ もしかしたら、司に一目会えると思った瞬間‥嬉しさで胸がいっぱいになるなんて‥‥
目の前の幸せが全て、色褪せてみえるなんて‥
あたしのお腹には、愛おしい我が子がいると言うのに‥ 心が魂が司を求める。
報われない恋だったから?
どうしようもない結末だったから?
違う、そうじゃない。 あたしの心は司の心を求めてしまうんだ。
理屈じゃなくて‥司を求めてしまうんだ。
あんなに、薫を愛すると決めてこの3年以上生きて来たのに‥
聖との思い出を2人で抱えて生きてきたのに‥
なぜ‥?
あたしの心は、こんなにも弱いの‥
あたしは、あたしが厭になる。
あたしの魂は、心は、司を求めて止まない。
薫を傷つけ、全てを傷つけ、幸せなど一つも生まないと分っているのに‥
あたしは、あたしを許せないと言うのに‥
まるで、違う生き物の様に、あたしの魂は司を求める。
狂おしい程に‥司を求める。
薫の事を愛してる。それに嘘はない。あたしの身体は薫を求め疼く。
凪のような穏やかな愛に身を包み、幸せを噛みしめているのに‥
なのに、なのに、あたしの心は、魂は、司を求め続ける。
全て要らない。司が欲しいと‥訴え続ける。
戻れない。戻らない。なのになのに、あたしの心は千々に乱れる。
お腹の命がこんなにも愛おしいのに、あたしの身体は薫を求め疼くのに‥
待っているのは、破滅だけだと知っているのに、あたしの魂は、己の半身を求め続ける
司をあたしの心が求めてる。
***
聖の死を乗り越えて2人で愛を育んで来た。新しい命ももうすぐこの世に誕生する。
それなのに、それなのに、司君の名を聞いただけで、君の瞳は輝き始める。まるで幸せな恋をする少女のように。
君は、必死に隠そうとする。いや、隠したつもりなのかな……
大丈夫。大丈夫。僕は、大丈夫。自分に言い聞かせるんだ。
だって、側にいるのは、僕だから。
分かっていたのに、この三年……僕はすっかり思い上がってたよ。
君の身体は手にすることが出来ても、自由な心は、魂は、手にすることが出来ないって。
ねぇ、つくし
お腹の子を僕の手元において、君を手放してあげようか?
違うな……彼女が、お腹の中の子を手放さないと知っているから、そんな尊大なことが言えるだけなんだよね。
もし、つくしが消えたら?
僕は確実に、道明寺を潰しにかかるだろう。次に、君の……いいや今では僕の友人にもなった、彼らの事も、潰すだろう。
だって、僕は、君の一番の泣き所を知っているから。
そうすれば、君が懇願して僕のもとに帰って来ると知っているから。
猾いよね。
でも、お願いだから‥お願いだから 僕を見て。
ねぇ、つくし
僕は 此処だよ 此処にいるんだよ。
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