ずっとずっと 126
お腹の膨らみが、神々しさを醸し出す。
美しく愛おしい僕の妻。
何度も何度も、こうやって惚れ直してしまうんだろう。
「つくし、良く似合ってるね。とっても綺麗だよ。」
僕は君の手をとり、車に乗り込む。
僕の永遠のお姫様。可愛い可愛い僕のお姫様。
皆が口にするだろう。
相変わらずお似合いだと。
ふっ、そうだよね、僕等はこの3年、どこに行くのも何をするのも一緒だった。
鴛鴦夫婦。それが僕等だった。いいやこれからも、人はそう見るだろうし、そう呼ぶ事だろう。
君は、運命には逆らえないから。
インディゴちゃんに、話したら一言
「あんた、バカやね‥」
そう言われたっけ。
自分でもバカだなって、思ってる。わざわざ逢瀬を認めるんだからね。
自分の知らないところで、思い合っている2人を感じるよりも、心が楽なんだ。
つくしを見る。
初めて出逢った君は、可愛いらしい少女だった。2度目に逢った君は、花が開くように美しくなっていた。君と出逢ってから、ずっとずっと君だけを想って、君だけを見つめて生きている。この先もずっとずっと、君だけを愛していくんだろうな。
君が、小首を傾げ僕を見る。
そんな何気ない仕草も可愛いな~と思う。
大きな瞳。長く濃い睫毛。美しい黒髪。吸い付くような白く美しい肌。華奢な身体。全てが僕の愛するもの。
彼女の吐息さえ僕の愛するもの。
触れられる幸せを噛みしめながら君の手をとり、指先に口づけをする。
5本の指一本一本に、口づけを落とす。
車が会場に着く。
***
嶺が生まれ、グレンダのたっての希望で俺等は日本を離れた。
あれから3年‥ 日本支社の梃入れの為に,再び日本に戻って来た。
宝珠との仕事は続いている。今の道明寺財閥は、3年前よりも大きく成長している。
これも全て、LucyJewellの、宝珠の影響だ。
経営は安定したのに、雁字搦めの柵の中に落とされた。 絶対服従。って奴だな。
「ふっ」
あいつに、宝珠に、言われた言葉を思い出す。
「彼女を手放してくれてありがとう。司君が、紙切れのようにつくしを捨て去ってくれたお陰だよ。」
「司君、忘れないで下さいね。つくしを最初に手放したのは君だっていう事を。」
あの日から、俺の頭の中をリフレインし続ける言葉‥
その度に、やり直せねぇ人生って奴を目の当たりにする。
愛する女を選ばなかった自分の愚かさを思いしる。
俺の贖罪は、たった一つ
生涯、つくしを愛し続けることだ。
この気持ちは、隠して生きていく。
俺が選んだ人生の花を咲かせるために。
あいつの幸せのために。
願わくば、あいつの笑った顔が見てぇ
全てを包みこむような、あいつの笑い顔
グレンダと嶺が、俺に笑顔を向ける。
嶺が俺を呼ぶ。
「パパ~ こっちこっち」
嶺を真ん中に、歪んだ俺等の関係。
案外、幸せな俺等の関係
”Mi vida loca”
どうせ狂ってるなら、思う存分楽しもうってか
あははっ、そうだよな。
俺は、つくしに出会ったあの日から、あいつに狂い続けてる。
あいつと一つになれた夜を思い出す。
俺の半身をやっと手に入れたと思ったあの日‥
永遠に続くと思ったあの日‥
幸せは、あっけねぇー それを俺は知っている。
嶺だけは、本当の幸せっつーものを手にさせてやりてぇ‥
こいつには、生まれながらに数奇な運命っつーもんを背負わしている。
俺とグレンダのエゴで作られ、産まれた。
ふっ、でもよぉ 不思議なもんでよ
ガキなんて愛せねぇって、思ったんだけどよ、こいつに会った瞬間に、
あぁ、俺等は家族になる宿命だったんだって感じたんだよな。
俺がつくしを愛し、宝珠もつくしを愛したのが、宿命だとしたら‥
俺と嶺が親子になるのも宿命だって感じたんだ。
「パパ~ コレ」
嶺の小っちぇー掌に、あめ玉が一つ握られている。
「あい。あげりゅ」
物思いに耽ってる俺を心配して、あめ玉を一つ俺にくれる嶺。
「あぁー。サンキュウな。」
嶺を片手で抱き上げ、俺は歩く。
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