明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

修羅 12 総つく

カコーン

鹿威しの音が静寂の中、響き渡る‥


「あっ、は、はい‥ それはどのような‥」

ポーカーフェイスで生きて来たあたしに、衝撃がやってくる。
こ、この人は一体全体何が言いたいのだろうか?

「あら、お答えになってなくてよ。」
鉄の女がクスリッと笑った。

ひょぉーーー あたしの中を冷たい風が吹き抜ける。
こ、こ、怖っ

「牧野さん、質問のお答えは?」

「あっ、はい。すみません‥ 何分プライペートの質問でしたので、驚いております。」

片眉がピクリと動く。
「あら、妙齢の女性がこれくらいの質問良くされるんでなくって? それに、SunnySpotの優秀な金庫番ですもの、縁談のお話なんて掃いて捨てる程いらっしゃるんじゃないかしら?」

優秀な金庫番‥そうか、あたしは 鉄の女に認められて、この質問を受けてるんだ。なんとなくなんとなく、心の中の澱が溶けていく。あたしは、初めて‥そう初めて この世界で対等に生きていって良いんだと思えた。
どうしても、抜け出せなかった、身分の違い。価値観の違い。この瞬間に変わった気がする。


あたしはニコリと笑って
「はい。愛してる人がおります。順調にお付き合いさせて頂いております。」

「あら、ご結婚は?」

結婚‥ 2文字の言葉に、あたしは睫毛を伏せる。

「まだお決まりでないのなら、司さんとの縁談も考えてみてくださらないかしら?」

司が、ニヤリと笑う。

あたしが返事を返すまえに
「わたくし、欲しいものは、最後迄あきめませんの。」
鉄の女が美しく、艶やかに微笑む。

欲しいものは、諦めない‥
そうか、欲しいものは諦めちゃいけないんだ。

あたしは、言葉を返す。
「楓社長のいまのお言葉、わたくしの矜持として受け取らせて頂きます。有り難うございます。」

「オホホッ、牧野さん‥ 司との事とは別として、SunnySupotの商品取り扱い、是非お願いするわ。出来ればNYのメープルの方にもね。あとは司に一任しますので、どうぞお願いね。では私は先に失礼致しますわね。」

西田さんと共に、鉄の女が去って行く。


カコーン‥

鹿威しの音がこだまする。


司と2人、部屋に残される。

「なぁ、俺のとこに戻って来いよ。今のお前なら、なんも臆せねぇだろうよ。俺にとっちゃぁ、やっぱり、女はお前しかいねぇんだ。お前と別れてから俺は嫌ってほど、それを噛みしめて生きてきた。」

「ありがとう。」

「ありがとうじゃねぇ、戻ってこい。」

あたしは、首を振る。
「あたしの愛してるのは、あんたじゃないから、無理だわ」

ククッと、目の前の男が可笑しそうに笑う。
「なぁ、俺、地獄のそこまでお前を追いかけるっつったの覚えってか?」
「うん。憶えてるよ。」
「今、おめぇが俺を愛してなくても、俺は構わないぜ。ぜってぇー俺に振り向かせてみせる」


変わらない。そう思う。この男は真っ直ぐにあたしを求めてくれる。
「アハハッ,ありがとう。だけど、あたしも地獄の果てまで、ううん地獄が果てても、追いかけたい男を見つけたの。」

司の瞳があたしを射抜く。
「あいつん家は、お前を簡単には認めやしねぇよ。ある意味、俺んちよりも、家柄だ素性やらに拘るかんな。」
「うん。百も承知だよ。」


「そうかぁ、承知か‥‥ おめぇ、強くなったな。 クッ、あん時お前を放さなきゃ良かったなぁ。いつか迎えにいきゃいいやなんて思わなきゃ良かったな。」

司‥ そうだったんだね。 
あの時、あたしの「別れて」の言葉に、頷いたあんたに、あたしは心の中で、傷ついてたんだよ。やっぱりあたしとあんたの仲はそんなもんなんだって。
傷ついて、傷ついて‥ いたんだよ。


「なぁ、つくし、総二郎と別れたら、いつでも俺んとこに来い。俺もババァも大歓迎すっぞ。」
「うん。」

「まぁ、なんだな。困った事があったら、いつでも言え。」
「うん。」

「俺よ、まだオメェ等の事を、祝福は出来ねぇ。」
「うん。」

「だから、俺が祝福できるくれぇ、幸せになれ。」
「うん。」


壊れる程に、かつて愛した男。やっぱり、こいつはいい男だ。

「あんたいい男だね。」
「気付くのおせぇよ。」

二人並んで料亭を出る。
司があたしを送ってくれる。

マンションのエントランスに車が着く。
車を降りようとした瞬間‥ 腕を引っ張られる

「あぁー 畜生。やっぱ、俺はお前が好きだわ。」
そう言って、司があたしを強く抱きしめて口づけをした。

「ククッ、オメェの身体は俺を求めちゃいねぇんだな」
ぽつりと呟いて、あたしの身体を離した。

「なぁ、つくし‥ 仕事は別だかんな。」

あたしは、司に大きく笑い返す。


車を降りると、総二郎が苦笑してた。

「司から、この時間にここに来いって連絡が来たんだわ」
「うん。」

「いいのか?」
「うん。」

「今なら、間に合うぞ。」
「間に合わない‥ あたしの身体は総じゃないと感じない。」

総があたしを抱きしめる。

その瞬間‥ここが自分の住むマンションのエントランスだと言う事を思い出して、顔が火照る。

「総、ゴメン‥ここ公共の場だった‥」
「気にすんな」
「いや、気になる。だって、ここあたしの家‥」
「じゃぁ、俺のトコにくりゃいい」
「くりゃ良いって‥」
「簡単な事だ、恥ずかしけりゃ俺のトコで暮らせばいい。」

そっかぁー って、一瞬頷きそうになったけど‥
いやいや、そういうワケにはいかない。

「ココ、頑張って手に入れた、あたしのお城。」
「じゃぁ、俺が来る。」

そう言って、この日から自分のマンションには帰らずに
都内にいる時は、あたしのマンションに日参してる。


あたしは、毎朝目が覚めると幸せに包まれる。
総が居る幸せ。 

手放したくない。そう願う。
明日は、西門家への取材同行が入っている‥

両手で顔をパシンと叩き、自分を鼓舞する。
つくし ファイトだ!

あたしに、覚悟は出来た。

総を立たせて、一枚一枚服を脱がせる。
総の両手を縛る。
劣情があたしの中を駆け巡る。

自由のきかない総の全身を愛撫する。 
総の顔が苦悶する。
簡単には、逝かせてあげない。
意地悪くあたしは笑う。

あたしは、あんたを骨抜きにする。
だって、あんたはあたしだけのものだから。

美しい男‥ あたしは絶対にこの男を手放さない。

あたしは、満開に花を咲かせる。幾度も幾度も花を咲かせる。

総、あんたを愛してる。 



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2 Comments

asuhana  

Re: (○´∀`)ノ゙こんにちゎ★

yuikoさま
ありがとう〜 今日のつくしは、大好きなつくしなのだ。
カッコ良いでしょ。このつくし。
何かをふっきた女は、前を向いて生きてる女は最強なのだ

2016/02/22 (Mon) 16:52 | EDIT | REPLY |   

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2016/02/22 (Mon) 15:56 | EDIT | REPLY |   

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