曇天 14 あきつく
「なぁ、司‥」
あきらが俺の名前を呼んで、話し始めた。
「つくしはさぁ、ものじゃねぇんだ。貸して下さい。はいそうですかじゃねぇんだ。つくしにはつくしの意思がある。あいつがお前と話したいと思えば、話せばいい。それだけだ。」
「はんっ、余裕だな。」
ジロリとあきらを睨む。
「余裕?そんなんじゃねぇよ。ただ、俺はつくしを縛りたくはないと思ってる。つくしが、司、お前の事を好きならそれはそれでいいんだ。」
「はっ?おめぇは中途半端だよな。ガキの頃からそうだ。」
「あぁそうかもしんねぇな。でもだ、これが俺だ。つくしがあの雨の日、お前をどんだけ好きだったか知ってる。あいつがなんで俺等の前から姿を消したかも知ってる。どんだけ傷ついてどんだけ泣いたかも想像出来る。だからかな。つくしがお前をもう一度愛したとしても、良いんだ。」
カランッ‥ あきらが酒を一気に、煽る
「なぁ司は、つくしの何をそんなに憎んでんだ?」
何を? あいつは、あいつは俺が道明寺司という理由で捨てたんだ‥
「司があいつの何を憎んでるのか、よくわかんねぇけど‥あいつを憎むのは筋違いだと思うぞ」
カランッ
グラスの中で、氷の崩れる音がする。
「お前が10代だったら、つくしを憎んでもいい。だけど、あれから10年だ。俺等もいい加減良い大人だよな。だったら少し考えてみろよ。つくしの精一杯がお前と別れる事だったんじゃないかって事を。」
あきらが、落ち着いた口調で話す。こいつはいつもそうだ。
決して押し付けがましくなく、緩やかに穏やかに話す。
牧野の精一杯‥… だけど、あいつはあいつは、あの雨の日…俺を捨てたんだ。
「つくしな、曇天が苦手なんだよ。雨に降られるから、外に出るのを嫌がる。司なら何でか、わかんだろう?」
「‥」
雨の日は、牧野の事を思い出して生きてきた。
辛くて、惨めな思いを抱えて生きてきた。
俺を俺として見てくれた唯一の女。 だけど、全てがまやかしだった。
あいつは、俺を捨てた。
「つくしが、なんで司お前に別れ話を持ちかけたかしってか?」
知らねぇ、知らねぇ、 理由なんていらねぇ あいつは俺を選ばなかった、ただそれだけだ。
「理由なんて関係ねぇ あいつは俺を裏切った。」
何かを包みこむような眼差しで、あきらが俺を見る。
「そうかもな。でもそうさせたのはお前ん家だ。お前のせいじゃねぇかもしんねぇけど、自分しか見えてなかったお前のせいだ。」
カランッ 氷の音がする。
「つくしも充分過ぎる程傷ついた。ってか、今でも充分傷ついてるよ。」
牧野も傷ついてる? だったら何故なんだよ。
「つくしの傷が癒されて、幸せになれんだったら、俺は幸せかな。」
「そんなんは、綺麗ごとだろうだよ」
軽く笑って、あきらが口を開く
「綺麗ごとかもな。でも、これが俺の愛し方って、やつなのかな。」
カランッ 氷の音がする。
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♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥
BDまでにラストまで書ききれるのか? が、が、がんばるぞー
手前味噌ですが、あきら いい男だぞ
あたしは、あたしは あきらが好きだぁーーーーー
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