曇天 18 あきつく

雨は、まだ降り続けている。
だけど、一条の光が差している。もう直き降り止むのだろう。

恋を諦めた、あの日から、雨の日が嫌いだった。
後悔という十字架を背負い生きてきた。

10年分の後悔は、どんどんどんどん膨れ上がって、だけど行き場がなくて、辛くて辛くて仕様がなかった。

雨が嫌いだった。心を冷たく打ち付ける雨が嫌いだった。


だけど‥‥

明けない夜がないように
止まない雨はない


10代の恋に、やっとやっとサヨナラが出来た。
背負っていた十字架を、墓標にする事が出来た。

あたしは、あたしの幸せを願う。
あたしは、かつて愛した男の幸せを願う。

あたしの目から、涙が零れる。
サヨナラの涙が零れる。

後悔は、もうしない。欲しいものは欲しいと立ち向かう。



あきらと出会い、あきらはあたしの中に、するりと入ってきた。
あきらに愛され、もう一度強くなりたいと願った。
愛する男のために強い自分になりたいと。


目の前に、ずぶ濡れになったあきらが立っている。

「つくし」
あたしを呼ぶ、心地好い声がする。

あたしは、愛する男に飛び込む。
両手を広げ、あきらがあたしを抱きしめてくれる。

あきらを愛してる。愛してる。
あなただけを愛してる。


＊＊＊

つくしの背を押したのに、後悔が押し寄せる。つくしを失ってしまったらどうしようと。
俺は、雨の中をひたすらに走る。

雨の中に、一条の光が差し始める。　もうじき雨が上がるのだろう。

前を向いた瞬間、愛する女の姿が見える。

「つくし」
愛する女の名を呼ぶ‥…

つくしが俺に飛び込んで来る。
両手でお前を抱きしめる。


愛してる愛してる愛してる。

もう離さない。　


雨が上がる。

雨上がりの空に　虹が出る。
美しい虹が出る。

だけど、二人の瞳にはうつらない

うつるのは、お互いの瞳だけ。



恋をなくした雨の日
愛を手に入れた雨の日


もう、曇天の空は怖くない。


fin



曇天番外編は　15時にアップします♪

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ふぅっー　間に合ったぁー
曇天にお付き合い下さって有り難うございました♡♡

淡々としたお話が書きたくて書きたくて。
なので、あまり盛り上がりはないお話しかもしれませんが‥
二人の穏やかな愛がしんしんと降り積もり、心を満たす様を
楽しんで頂けたら幸せです。


あきら君お幸せに♪　
Happy Birth Day to Akira