ずっとずっと 23

「お前、今度はいつ来れるんだ？」

「うーーーん　前期休みになってからだから、８月に入ってからかな――」

「あと、６ヶ月かぁ、長げぇなーーーー　お前が来る前に俺が日本に行けりゃ―いいんだけどな…ったく、長げぇよなーー」
「オィ、俺がいねぇからって、他の男にキョトキョトしてんじゃーねぇぞ」

「してないっつーの。ホントあんたばっかは、心配症だよね。あたしさぁーーーそんなモテないから大丈夫だよ」

「ったく…お前ばっかはホントわかってねぇよな」


ブチブチ言い続けてる男。
この手の話しになると執拗に絡んでくるだよねーーー　で、くどくどくどくど五月蠅いんだよね。
ハァッー　大丈夫だっつぅーの　　
あんたには絶対言わないけどさぁ、いつも心配してるのはあたしの方だよ。　


「そぉ言えば、あんた西門さんの所にあたしとの事電話してしらせたでしょ？　もぉね　からかわれて大変だったんだからね。ったく、余計な事言わないでよね。わかった？」

「……なんも言ってねぇーよ　お前、カニかけられたんだよ」

「え””　あんたカニかけるって、なんの事言ってんのよ？？」
「あーー　鎌を掛ける　の事ね…」
ったく、大丈夫か道明寺ＨＤ？　大丈夫か世界経済？　
なんて呑気に考えてたら


「……そぉいやぁ、類の奴お前ん家いまだによく来んのか？」
ジロリっと睨みながら言葉に怒気を含ませ、あたしに聞いてくる

「ぅぅぅうーーん。　たまにだよ。たまに。パパとママも居るし、ご飯食べてすぐ帰ってくし」

「お前よ、いい加減よぉ　ちと考えろや。」

「えっ””　なに言ってんの？　類は友達だよ？　あんたの親友だよ？」

「だからあんだよ　類は男でお前は女なんだ。あんま心配させねーでくれよ」
「俺が此処で何のために、誰の為に頑張ってんだと思ってんだっ」

道明寺は未だに類の事は気にする。
冗談に見せながら、真剣に…　
　
「…道明寺が心配するような事、類とは何にもないよ。ホントだよ」

「ッチ　　もうお前黙ってろ」
言うが早いが、乱暴なキスをして、いつもよりも激しくあたしを求める。

「…つ、つかさ」

激情に身を任せ意識を手放す。


……　俺はこん時　大きな過ちを犯した。つまんねー嫉妬なんかをしてねぇえで、類を、他のやつらを頼ればよかったんだ。そして、もっとあいつと色々話すべきだったんだ。気づくのはずっとずっと先の事



ニューヘイブンに寄る事を、些細な事で激しく嫉妬する道明寺に、なんて説明しようかと悩んでいた。
天の助けかのように

「牧野　ワリィ　明日どおしても外せねぇ商談が入っちまって、送っていけなくなっちまった…変わりに今日は夕方からオフだっつーから、それで我慢してくれっか？」

「うん。大丈夫だよ。送られるの悲しくなるから好きじゃないし、英会話には不自由しなくなったからホント大丈夫だよ。だから気にしないで」
なんて言いつつ、逆に助かったぁーーなんて喜んでたあたし。


夕方早く帰ってきたあいつと２人でＮＹを歩く。ただ２人で歩いているだけなのに何だか楽しくって、楽しくって隣を見ると、あいつも飛びっきりの笑顔で嬉しくなる。
グイっと引き寄せられ、肩を抱かれ街を歩く。あいつの大きな胸にすっぽり収まるあたし。


肌を絡ませ愛を語る。それだけで十分だと思っていた。１０代のあたし。

恋を愛に変え、未来に繋げるためには…それだけでは不十分だったと解るのは、ずっとずっと後の事。


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