ずっとずっと 133
ドスンッ
乱暴にチェアに腰掛ける
片倉が驚いた表情をしてこちらを見ているのが解る。
クルリとチェアを回して片倉をみると、慌てて目をそらす。
こんなにも、辛いのなら何故‥
そんなことは、他人(ひと)に言われなくとも百も承知だ。
天橋立で彼女と交わした約束だから‥そうじゃない
ただ、僕は確かめたいんだろう。
司君と逢っても、僕の元に戻ってくると言う事を。
そして、彼女に解らせたいんだろう
彼女の戻る所は、一つしかないと言う事を。
何のため? 簡単な事だ、僕の傍に居てもらうため。
だって、僕は知っているから‥彼と彼女が求め合っている事を。
だけど‥‥‥渡さない。
明日は、琉那の誕生日。君は、娘の誕生日を反故になどしない。
もうじき君は帰路につくだろう。
誰に言われなくとも、自分の意思で。
全てを先回りしてお膳立てをする。己で選んだように仕向けて行く。
これが、宝珠の、筒井の、いや僕のやり方だ。
「薫様、薫様」
片倉が僕に声をかける‥ 神戸の鵜川からの連絡が入ったと言う。
「‥…うん。わかった。今着いたんだね? そう、で、2人の様子は?」
「うん。うん。解った。絶対に塀の向こう側には出さないで。うん。そう。あぁお願いするよ。」
僕が君に与える自由など、所詮こんなもんなのかもしれない。
この事を、悠斗が知ったら‥どうするかな? ふと親友の顔を思い浮かべる。
こんな事は止めろと反対するだろうな。そして淋し気に僕を見るのだろう。
くるりとチェアを回す。
早目に仕事を終わらせ、琉那と2人でつくしを待とう。
僕等の住む家で、君の帰りを待とう。
***
当たり障りのない会話が続く。
庭に咲く花の話し、天気の話しなんてしてる。
次の会話は、今日の夕飯何にするみたいにね。
何か一つでも、綻ばせたらあたしはこの場所に立っていられなくなるから‥
斜め上を向きながら話すあんたの名前を心の中で小さく小さく呟く
「 つかさ 」
刹那
あんたが、あたしを見る。今度はあたしが斜め上を向く。
一歩下がり、花を愛でる。そしてあんたを愛でた、その時‥‥
ザクロの花が咲いているのが目に入る。
紅い紅い石榴の花が‥ 咲いている。
あたしは、目を伏せる‥
薫の思いを、自分自身の背信を、あたしは理解した。
「道明寺専務、あちらに夫から預かって参りましたお届けものがございますので‥」
司に、そう声をかける。
石榴の花があたしを責めている。プライドを持てと責めている。
きっと、庭に咲く花達は、全て意味を持たせていたんだ。
解った途端
咲き乱れる花々が、木々があたしを責めているように感じられる。
気持ちが凍り付いていく‥
気持ちとは裏腹に、初夏の爽やかな風が吹く。
花々が、木々が揺れる。
あたしを嘲笑うように‥… 花々が木々が揺れる。
ごめんなさい
あたしは呟いていた。
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♥ありがとうございます。とっても嬉しいです♥ *12月28日の誕生花=石榴の花 花言葉は自尊心(プライド)
乱暴にチェアに腰掛ける
片倉が驚いた表情をしてこちらを見ているのが解る。
クルリとチェアを回して片倉をみると、慌てて目をそらす。
こんなにも、辛いのなら何故‥
そんなことは、他人(ひと)に言われなくとも百も承知だ。
天橋立で彼女と交わした約束だから‥そうじゃない
ただ、僕は確かめたいんだろう。
司君と逢っても、僕の元に戻ってくると言う事を。
そして、彼女に解らせたいんだろう
彼女の戻る所は、一つしかないと言う事を。
何のため? 簡単な事だ、僕の傍に居てもらうため。
だって、僕は知っているから‥彼と彼女が求め合っている事を。
だけど‥‥‥渡さない。
明日は、琉那の誕生日。君は、娘の誕生日を反故になどしない。
もうじき君は帰路につくだろう。
誰に言われなくとも、自分の意思で。
全てを先回りしてお膳立てをする。己で選んだように仕向けて行く。
これが、宝珠の、筒井の、いや僕のやり方だ。
「薫様、薫様」
片倉が僕に声をかける‥ 神戸の鵜川からの連絡が入ったと言う。
「‥…うん。わかった。今着いたんだね? そう、で、2人の様子は?」
「うん。うん。解った。絶対に塀の向こう側には出さないで。うん。そう。あぁお願いするよ。」
僕が君に与える自由など、所詮こんなもんなのかもしれない。
この事を、悠斗が知ったら‥どうするかな? ふと親友の顔を思い浮かべる。
こんな事は止めろと反対するだろうな。そして淋し気に僕を見るのだろう。
くるりとチェアを回す。
早目に仕事を終わらせ、琉那と2人でつくしを待とう。
僕等の住む家で、君の帰りを待とう。
***
当たり障りのない会話が続く。
庭に咲く花の話し、天気の話しなんてしてる。
次の会話は、今日の夕飯何にするみたいにね。
何か一つでも、綻ばせたらあたしはこの場所に立っていられなくなるから‥
斜め上を向きながら話すあんたの名前を心の中で小さく小さく呟く
「 つかさ 」
刹那
あんたが、あたしを見る。今度はあたしが斜め上を向く。
一歩下がり、花を愛でる。そしてあんたを愛でた、その時‥‥
ザクロの花が咲いているのが目に入る。
紅い紅い石榴の花が‥ 咲いている。
あたしは、目を伏せる‥
薫の思いを、自分自身の背信を、あたしは理解した。
「道明寺専務、あちらに夫から預かって参りましたお届けものがございますので‥」
司に、そう声をかける。
石榴の花があたしを責めている。プライドを持てと責めている。
きっと、庭に咲く花達は、全て意味を持たせていたんだ。
解った途端
咲き乱れる花々が、木々があたしを責めているように感じられる。
気持ちが凍り付いていく‥
気持ちとは裏腹に、初夏の爽やかな風が吹く。
花々が、木々が揺れる。
あたしを嘲笑うように‥… 花々が木々が揺れる。
ごめんなさい
あたしは呟いていた。
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