ずっとずっと 134
薫と琉那の待つ場所に。
胸が苦しくなる。
車の中で、一人むせび泣く。
何に?
誰を思って?
わからない。
わからないけど‥胸が苦しくて、あたしはむせび泣く。
あたしの心は千々に乱れる。
紅い石榴の花が脳裏に残る。
嵐山の邸に着く。 薫と琉那があたしを出迎える。
あたしの胸はズキンっと痛む。
「ルゥがね、ママ、ママ、って大変だったんだよ」
薫が、微笑みながらあたしに告げる。
何気ない会話があたしを責める。
いっそ、罵ればいいのに、薫は優しくあたしに微笑む。
3人で、夕食をとる。
琉那があたしもう2度と、離さまいと片時も離れない。
「ルゥちゃんは、パパよりもママかな?」
薫が優しく、優しく、琉那に話しかける。
「大丈夫だよ。ママはどこにもいかないから。」
あたしの顔をみて、そうだよねと微笑む。
刹那
あたしは、薫の瞳に映る青白い炎を見た気がした。
あたしは琉那を抱き上げ、頬ずりをする。
「琉那、寝んねしようね。」
琉那を寝かしつけて、子供部屋を出ようとすると、薫が立っていた。
驚いて声が出そうになる。あたしは慌てて口を噤む。
薫があたしの手を取り無言で、2人の寝室に連れて行く。
黙ったまま、あたしの服を脱がしていく。
衣擦れの音だけが部屋に響き渡る。
全て脱がされたあたしは、薫に抱きかかえられ、浴室に連れて行かれる。
シャボンを泡立て、つま先からゆっくりと、全身を無言の侭に洗われる。
狂気に似た一時が過ぎて行く。
薫があたしに、シルク ローブを羽織らせ、丹念に髪を乾かしていく。
優しく優しく髪を梳きながら。
全てやり終えた彼は、あたしに向き直り
「はい、綺麗になった」
美しく微笑みながら
「そうそう、今日身に着けていたものは、全て捨てさせたからね」
そう言葉を続けた。
強く強く抱きしめられ、髪に、額に、頬に、唇に口づけされる。
私の身体を確かめるように愛撫する。
始終無言で、あたしを貫く、いつもよりも激しく。
いかされ続けあたしは果てる‥ 深い深い眠りの中に。
**
嵐山の邸で、ルゥと2人でつくしを待つ。
こんな長い時間、母親と離れた事のないルゥは、泣いてつくしを求める。
覚え始めた言葉で、母を呼ぶ
「‥マァマ‥ ナイ‥? 」
何度も何度も僕に聞く‥ その度に僕はルゥに言う。
「もうじき、ルゥの所に戻って来るよ」
ルゥを抱きあげ頬ずりをする。
「大丈夫だよ。ママはルゥが大好きだから。もうじき戻ってくるよ。」
神戸の邸を出て1時間は経っている。あと30分もすれば戻ってくるだろう。
君が戻って来る。
憂いを身に付け、君は戻る。
気が付いているかい?
君は、司君に会うたびに、妖艶に美しく花を咲かせる事を。
僕は、毒花に魅せられている。
ルゥが、君の側を一時も離れない。
全身で、つくしを求める。
3人で食事をとる。食事の間もルゥはつくしの膝の上から動こうとしない。
僕は、ルゥに言う
「大丈夫だよ。ママはどこにもいかないから。」
ルゥを寝かしつけた君の服を、一枚一枚脱がしていく。
君の身体を、確認する。
君を抱き上げ、身体の隅々を洗っていく。髪の先から、つま先まで、丹念に洗う。
君を抱く。何度も何度も確かめるように。君を抱く。
こんなやり方は、間違っている‥ 何度も、何度も理性が止める。
だけど、僕の理性は、僕を止められない。
僕は狂ってしまったのだろうか?
そうなのかもしれない。
だって、こんなにも苦しいのに、
司君に会ってきた君を美しいと感じてしまうのだから。
寝入るつくしに口づけを落とす。
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