ずっとずっと 137
ルゥが、甲斐甲斐しく光の世話をする。
光を取り巻くように、自分の一番大事にしているオモチャを並べてる。
つくしと2人でこっそり覗く。
「ちょっと前まで、琉那も赤ちゃんだったのにね」
「うん。そうだね」
2人で交わす何気ない会話。
目の前の、琉那を見ながら昔の、何気ない一こまを思い出していた。
思い返すと幸せえを感じる何気ない一こま。
つくしと2人で、一心に愛し育ててきた。
好奇心が旺盛で、物怖じしない娘。
周りを愛し、愛されて育った。
悪意にあてぬ様、琉那に危害を及ばす相手を全て排除してきた。
琉那が3つの年に、光が生まれた。
僕等に、2人目が出来て、お爺様達が安堵されていたっけ。
光が生まれた時は、意外な事に女性陣よりも男性陣が双手をあげて喜んだ。
琉那一人に、LucyJwell を 背負わせる事に、不憫さを感じていたようだ。
宝珠の事を考える結婚ではなく、琉那を愛して、琉那が本当に愛する男性と恋をして未来を育んで欲しいと願ったようだ。
決して、口にはお出しになられなかったが、
つくしを手に入れてしまった事の、お爺様達の贖罪も含まれているのかもしれない。
せめて、せめて琉那だけは‥屈託の無い恋をして欲しい、そう願ったのだろう。
「‥でね、お父様、お父様。ちゃんと聞いていらっしゃる?」
「っん?あぁ、聞いてる。聞いてるよ。」
「だったら、いいかな? お母様は、お父様が了解して下されば良いとおしゃって下さったの。」
実は、聞いていなかったとは言えなく‥‥
「うん?お母様も反対してないのなら、良いんじゃないかな。」
そんな風に、返事をしていた。
承諾の返事を出した時の、琉那の瞳は、喜びに輝いていて、
今更聞いていませんでは済まないなと感じた。
「本当?本当?お約束よ。絶対だからね。お父様、大好き。大好き。もう本当に好き♪お父様有り難うございます。」
浮き足立つって、こんな風な事を言うのだろうか?な軽やかな足取りで、部屋を出て行く。
部屋を一歩出た瞬間に、
「お母さーまーー お父様OKだってぇーー」
大声を上げて叫んでいる。
思わず笑みが零れてしまう。
教育係の森下が、この光景を見たら、眉毛をピクピクさせながら怒りだすかな。
そんな事を考えていたら、扉が開き不安気な表情をした、つくしが入ってきて
「薫、本当にいいの?」そう聞いてくる。
っん? 本当にいいの?って、どう言う事だろう?
「琉那には、内緒なんだけど‥実は考え事して聞いてなかった。つくしが僕がOKだったらOKだと言うから、了解したんだけど‥」
額に手をあてながら
「うーーん。実は、薫ならダメだって言ってくれると思ってたから、薫に押し付けちゃったんだよね」
押し付けた? って、琉那は、解ってた筈‥だよね?
さては、狙ったな。
ふぅっー、と大きな溜め息をつきながら、つくしが宣言する
「琉那は,10月から日曜日は、京都散策ボランティアに入ります。」
「えっ?」
「うん。そう言う事。」
2人で顔を見合わせ 「やられたね」 と苦笑し合う。
だけど、約束は約束だ。約束は守らなければいけないと教え続けてきた事だ。
「はぁっー 瑞希ちゃんと 紅ちゃんも一緒なんだって‥」
「えっ?」
「2人とも琉那がOKだったらいいよって‥言ったみたいで‥ ただね、薫なら絶対反対する筈だって、優紀も、かおるちゃんも思ってると思うんだよね。」
不味いよな‥ 悠斗と拓人さんから苦情の電話の荒らしだよね? つくしを見れば
「はぁっー。絶対あの3人がやるって行ったら、あとの2人もだよ。」
そっか、そこの問題もあったんだった。もう一度2人で顔を見合わせて、溜め息をついていた。
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