ずっとずっと 139
一途に一途に、お母様を愛する美しく強いお父様。
一心の愛をたおやかに受け入れる光り輝くお母様。
私の両親で良かったと何度思った事だろう。2人が、私の憧れと同時に、自慢だった。
物語の王子様とお姫様みたい。小さな時、何度そう思ったか。
お母様は、瑞希のお母様と同様、一般家庭の出自なのだけれど‥…その事について、とやかく言うものは皆無だ。今は亡き 曾祖父母に至っては、お母様を大事に大事にそれこそ自分の本当の孫のお父様よりも愛し慈しんでいた。
あーちゃまと、お母様は良く似ていらしゃって、あーちゃまが、お母様が、微笑むたびに、周りがキラキラ光り出して、誰もがそのあたたかい光の側に近寄りたくなって、人が集まる。あーちゃまと、お母様はいつでも座の中心にいらっしゃった。
小さな私は、そのキラキラが不思議で不思議で、2人の前に行くと、よく掌を広げ掴もうとしては、皆に笑われたっけ。
ゆーちゃまは、「あなたは、お母様にそっくりよ。私の宝物よ。」そう言って何度も嬉しそうに抱きしめてくれったけ。
曾祖父母には、怒られた記憶がない。光と共に、ただただ可愛がってもらった記憶だけだ。
16の年に恋をした。その恋は今も続いている。
再び出逢う、その言葉通り再び出逢い、私と彼は恋に落ちた。
何も見えなくなる程の恋をした。
何度も傷つき、傷つけ合い、周りを巻き込み傷ついて、お互いに忘れようと話し合った。
だけど‥私は彼のもので、彼は私のもの。
全てを捨てて恋をした
**
「ルゥ〜おはよう〜」
瑞希と紅が揃って私に声をかけてくる。
生きた英語を学ぼうプロジェクトで、学生通訳ボランティアを始めた私達。
もう毎週楽しくて,楽しくてたまらない。
SPの人がついてるのは‥ちょっと不満。
だけど、極力目立たないようにしてくれているので、まぁヨシとしている。
これまで断ったら、お父様に邸から出して貰えなくなるから仕方ないよね。
他の2人だって一緒。
3人まとめて幽閉されちゃうよね。クワバラクワバラだ。
そうそう、ここでの私の名前は、
宝珠琉那 では なく 筒野ルゥ
天海瑞希は、松井みずな
東雲紅は、 三瓶くれは
3人で、偽名を考える時すごく楽しかった。
いつもの呼び名が出ちゃった時に、困らない程度の偽名。
これが中々頭を悩ませた。でもサイコーに楽しかった。
私達は3人は、幼稚舎ううんもっともっと赤ちゃんの頃からの友達。
お腹の中からのお付き合い。
3人ともインディゴちゃんに取り上げてもらったんだから。
流石に、毎週通ってるのは私くらいみたいだけど、
3人でインディゴちゃんの所に行くのもしょっちゅうだ。
私はインディゴちゃんとお母様には何でも話す。
お父様には‥可愛いルゥちゃんで居たいから、ちょっぴり内緒も多いのだけどね。
瑞希のお父様は、ビックリするほどの過保護。笑っちゃうくらい。
優紀おばちゃまなんて、未だに子供扱いだったりする。
今じゃ、桜子おばちゃまと一緒に La Verite の参謀なんだけどね。
下手すれば天海のおじちゃまより‥優紀おばちゃまの方が力があるんじゃないのかな?
まぁ、おばちゃまの掌で転がされてるんだろうね。
紅のお父様は、昔、昔、かなりモテモテだったらしいのだけど、いや、いまでもキャーキャー騒がれるらしいのだけど‥… 桜子おばちゃまに首ったけ。
毎日毎日朝に昼に晩にと、連絡をいれて、桜子おばちゃまに、千尋さんしつこいですわ。と叱られている。
典型的なかかあ天下‥ここにあり。‥…だけど、その実‥桜子おばちゃまも東雲のおじちゃまに首ったけで、連絡がなければないでソワソワしてるんだけどね。
我が家のお父様‥ごたぶんに漏れず、いやいや上をいく勢いで、お母様に惚れ切っている。娘の私が見ていても恥ずかしくなってしまう程、過保護で、心配症で、蕩ける視線でお母様をいつもいつも見つめる‥ っん?いつも?‥ アレッ
何だかもどかしい思いが私を襲う。
その時、点呼の声がする。私は意識を戻す。いまはちゃんと聞かなきゃね‥
「あっ、えぇぇー」
瑞希が固まり、紅が大きな声を上げて、あたしの肩を叩く、
「きょ、恭ちゃんと、ジーナ‥えっ、えっ、な、なんでぇー えっえっ」
っん? 恭ちゃんとジーナ? あははっ、瑞希と紅ちゃんが心配で来たんだ〜
ぷぷっ、2人に自由はないわね〜 御愁傷様 チーン
なんて暢気に考えながら、頭をあげた
刹那
私は、あなたを見つけた。
刹那
あなたは、私を見つけた。
音が止み静寂の中、秋風が舞う。
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