いつかあなたと陽だまりで 14 司つく
昨日から何度目だろう‥
美しく聡明な少女。誰もが思わず見惚れてしまうような笑顔を持つ子。
なんて可愛らしい少女だったのだろう。無性にもう一度会いたいと思う。
司の子供が産まれたと言われ、なんの感慨もわかなかった。毎年誕生日の時にチラッと会う程度で、もう一度会いたいなど思った事などなかったのに‥
同じ年頃の少女の事が、こんなにも気になるなんて、我ながら不思議で仕様がない。
気になる事は、放っておいてはいけない。
昨日貰った名刺をみながら、三条さんに連絡をとる。
RR‥
2コール目に電話がとられる。
連絡をとったはいいが、どう話しを切り出そうかと思っていた私に「お電話、お待ち申し上げておりました。」三条さんの声がする。
この言葉の意味する事を、希望的観測で私は理解し、三条さんに懇願していた。もう一度、あの子に、マリアちゃんに会わせて欲しいと。
「本日は、藤堂の邸に遊びに行っておりますので、明日はいかがでしょうか?」そう答えが返ってくる。
私の胸は、喜びで溢れ出していた。
秘書に、7つくらいの女の子が喜びそうなものを用意してもらおうと思ったが、自分自身でプレゼントを用意しようと思い直し、空き時間を確認する。
誰かへの贈り物をこんなにも楽しんで、ましてや自分で選んで贈ろうなんて、初めてかもしれない。真っ先にマリアちゃんにプレゼントしたいと思ったのは、ウサギのぬいぐるみ。首元に水色のシルクのリボンをつけてもらう。
あれもこれもと、マリアちゃんに似合いそうなものを見つける。ラッピングをして邸宛に届けておくように手配をする。
マリアちゃんの笑顔を思い浮かべ、気持ちが凪る。久しく忘れていた幸福感に私の身体は支配される。やっぱりそうだと、私は確信をする。西田に連絡を入れる。
**
正午過ぎ、プライベート用のスマホのベルが鳴る。
ディスプレイが表示する名前に、私はほくそ笑んでいた。
先輩は、どんなに道明寺さんがお好きでも、決して戻る事を良しとはしないだろう。
ましてや道明寺さんに子供がいると知っていれば尚更だ。
10年もの長い間、仮とは言え配偶者のいらっしゃる道明寺さんと、愛を育んできた先輩は、女の情念の塊だったのだろう。
先輩は、マリアちゃんを授かった時点で、愛する人との未来を諦めたのだろう。どんなに身を焦がす程に愛していても、線を引いたのだろう。女としての愛を諦め、全てマリアちゃんに捧げると。
先輩は、変な所に頑だ。それに変な所に道徳観念が優れていらっしゃる。
それを崩すためには、楓氏の協力は不可欠だから。
私は、先輩に、マリアちゃんに幸せになって頂きたい。
大手をふってお天道様のもと歩いて頂きたい。
Je veux que vous directement à vivr
先輩、私の18年分の本気しかとお受け取り下さい。
**
「えっ、また楓おばちゃまとお会い出来るの?」
藤堂の邸から戻ったマリアちゃんに、楓氏と会う事を告げると、嬉しそうに嬉しそうに微笑む。
「退屈ではない?」
「ううん。とっても楽しみ。もっとお話がしてみたかったの。」
血とは不思議なものなのですね。鉄の女と呼ばれる女傑ともう一度会いたいと、笑顔で返すとは‥
「ねぇ桜子ちゃん、明日あの水色のワンピースを着てもいい?」
「えぇ、もちろんよ。」
「うふふっ、あのワンピースねパパからのプレゼントなの」
「パパから?」
「うん。ヒーローのパパからのプレゼント」
?で私の頭はいっぱいになる。
クスリッと可愛らしく笑ってマリアちゃんが話し出す。
「あのね‥ マリアのパパは英雄だったんだって。もうそりゃ素敵なヒーローだったんだって。でね内緒だからお写真はないんだって」
写真を見せてらあげれないマリアちゃんに、先輩が吐いた嘘。
「そうなんですの。」
「うん。でね、ヒーローだったパパは、みんなに感謝されてるから、毎年とっておきのお洋服が一つだけ届くの。」
嬉しそうに嬉しそうに話す。
「でね、毎年ママと2人で1月の終わりの日に素敵なレストランにお食事に行くの。なんでその日かは教えてくれないんだけどね。マリアが小ちゃな頃からなんだよ。」
私の頬に涙が伝う。顔を見られないように、窓辺に佇む。
道明寺さんのお誕生日、2人でお祝いしていらしゃったっんですね。
「その日はね,ヒーローのパパのお話をいっぱいいっぱいしてくれるの。そのワンピース‥幸せがいっぱいいっぱいつまったお洋服なの。」
私は涙を拭く
「それを明日着ていきたいのですか?」
「うん。楓おばちゃまね、なんだか淋しそうなお顔なさってたから、マリアの幸せをちょっぴりあげれたら、嬉しいなぁって。」
そう言って 大きく笑った。
この子を好きにならない人などいないだろう。そんな笑顔で。
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