すげぇ好きだわ 総つく
俺は、慌ててあいつの元に走る。
つくしは、少し慌てた様子で、涙を拭う。
「うんっ?総どうしたの?」
慌てて部屋に入ってきた俺に、そう声をかけてくる。
心配させまいとしているのか?
古い仕来りに縛られて、魑魅魍魎の渦巻く世界に、お前を巻き込んでしまったのは、やはり間違いだったのか?
俺は、お前を守り切れていない。ゴメンな。そう心の中で呟く。
だけど、お前を手放せねぇ俺を許せ。
「総、あのね‥」モジモジしながらつくしが話しを切り出す。
「あっ?なんだ?」
「あのね、あのね‥総が忙しい時に申し訳ないのだけど‥」
お前が、俯きながら話す。俺の頭に色んな思いが、去来する。
後生だから、出ていきたいとか、別れたいとか言わないでくれよ。ずっと笑って側に居てくれよな。
「あっ?」
「あのね、あのね…お義母様と、明日から一泊二日でお泊まりに行って来てもいいかな?」
お袋と二人でか?
「だ、だ、ダメかな?来月の桜野点の打ち合わせも兼ねて、あちらで中尊寺夫人や大出夫人に椎名夫人もご一緒なんだけど…二人でお留守にしたら、やっぱり困るよね…」
「お袋と二人なんて気詰まりじゃねぇのか?しかも目ギツネ婆共も一緒なんてょぉ」
俺は言葉を返す。
「えっ?なんで気詰まりなの?もう2人でお出かけなんて楽しみなんだけど‥皆さんも可愛がって下さるし。」
きょとんとした顔しながら、つくしが俺に聞き返す。まぁよ、なら良いんだけどよ。
ったくな、
「なら、楽しんで来いよ。」
「総、ありがとう」
そう言って、珍しく抱きついてくる。抱きしめ返しながら、気になってた事を問うてみる。
「なぁ、お前さっき泣いてなかったか?」
一瞬、ギクッとなるつくし。慌てて
「な、泣いてなんていないよ。ホラッ!ねっ」
ガッツポーズしながら、でっけぇ笑顔を俺にむけやがる。
俺の勘違いだったのか? そう思った瞬間‥
袂から、スマホがするりと落ちる。
その瞬間、イヤホンが外れて‥音が流れる
「あははっ‥」
罰が悪そうにつくしが笑う。
この笑い顔をする時は、他にまだ何かを隠している証拠だ。
踵を返し、逃げようとするつくしを掴まえて、羽交い締めにする。
「ちょっ、ちょっ‥」
「何隠してる?」
「な、な、何にも、隠してなんか、ないよ。」
刹那、胸元を押さえたあいつ。
つくしの手を持って、口づけして、胸元に手を差し込み、隠そうとしたものを奪い取る。
隠していたのは、5枚のチケット‥…
座卓を挟んで、お袋とつくしの2人を並べ‥チケットを座卓の上に置く。
神妙に項垂れる2人を見ていたら、笑みがこぼれそうになる。
チケットを、2人の方へ戻す。お袋とつくしがこっそり目配せをした後に、俺と親父を交互に見る。
「野点の打ち合わせ兼接待と言う事で、お出かけ下さい。」
2人が、美しい笑顔でにっこり笑う。
つくしが、お袋に似てきたのか? お袋がつくしに似てきたのか?
よく解んねぇ、なんだかよく似た笑顔でニッコリ笑う。
全く、二人揃って‥なにやってんだかな。
親父と二人で顔を見合わせ、笑い合い頷きあった。
「で、お前なんで泣いてたんだよ?」
「あははっ、チケットとれたのが嬉しくって。」
つくしもお袋も隠そうとしねぇで、言ってくれりゃぁ、チケットぐれぇ俺か親父が手配してやんぞ?ったく心配させやがって
「悲しくて泣いてたらどうしようかと思ったぞ」
つくしの肩を抱きしめる。お前がにっこり笑いながら
「総の側にいて、嬉しい楽しいはあっても、悲しいわけないじゃない」
そう、ケラケラと笑いやがる。
「なぁ、辛くなったら真っ先に俺に言えよ。黙って出て行くなんてゼッテェすんなよ」
俺の本気の懇願を、あいつは笑い飛ばして
「出てかないよ。総が出てけって言ったて出てかないよ。だって総が大好きだもん。」
だもん。って‥…あんまりにも可愛い事言うお前に‥…俺はノックアウトだ。
なぁ、つくしよぉー 俺がお前に出て行けなんて言うわけねぇだろよ。
おめぇ、俺がどんだけお前に惚れてっか知ってんのか?
「マジ、すんげぇ好きだわ」
お前の顔が桜色に染まる。
後は‥大人の時間ってやつだ。
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