ずっとずっと 146
無邪気にも見える笑顔で、俺に言う。
手を伸ばして抱きしめたくなる。琉那がいれば、それでいいそう思った。
刹那
♪♬♪♬♬
この場に不釣り合いな音をスマホが立てる。
「インディゴちゃんみたい、ちょっと出るね‥」
「えっ‥うんうん。あと‥30分くらいだと思う。うん。‥うん。解った。近くについたらまた電話するね。うん、ありがとう。」
静寂の中、車が高速を走る。
「電話‥なんだって?」
「うーーーん 森下から連絡があったみたいなの。向こうのスマホ‥GPS着いてるから、インディゴちゃんの家に置いてきたでしょ。今、寝てるっていってくれたみたいなんだけど‥…お父様が帰り迎えに行くからっていう連絡だったみたい。」
「あんたを帰さないって言ったらどうする?」俺は意地悪く琉那に聞く。
「いいよ。でもそうするなら、ずっとずっと帰さないで。じゃないと、もう2度と嶺に会えなくなるなるから。」
にっこりと琉那が笑う。
「どうする?」 琉那が、俺に真っ直ぐな視線を投げつける。
「今日のところは、送って行く。」
「うん。でも‥いつでもいいよ。嶺が一緒に行こうって言ってくれたら私は、いつでも付いていくよ。」
ミラー越しに、隣に座る琉那を見る。女の琉那が映っている。
ニッコリ笑う。女って、強い。俺が、初めてそう感じた瞬間。
琉那を手放せなくなる。 心のどこかで、思った瞬間。
「うーーん。眠くなちゃった。ふわぁっ~」
暢気に欠伸を一つして、舟を漕ぐ‥ 次の瞬間には、コテンッと寝ていて‥
俺は苦笑する。
何にも考えていないのか?そう思えてしまうくらいに、暢気な琉那。
一体‥彼女の強さや、無邪気さはどこから来るのだろう。
車は走る。音も無く‥
「琉那、琉那‥起きて」
「っん‥うーーん‥」
「あと1、2分でインディゴちゃんの家に着く。」
琉那は慌てて起きて、スマホをタップする。
「うんうん。あとちょっとで着く。うんうん。まだ?うん。ありがとう。」
「なんだって?」
「大丈夫だって。」
地下車庫に着く‥
琉那が俺を真っ直ぐに見つめて
「嶺‥あたしを憎んでもいいから、嫌いにならないで。」
そう言って、琉那が俺を抱きしめてキスをする。
バタンッ
「また連絡する。来週も会えるよね?」
そう言い残して、琉那が去っていく。
車を走らせる。途中、宝珠の車とすれ違う‥…
間一髪だったと、安堵する。
安堵した時点で、もう琉那を手放せないと思っていたのだろう。
泥の中でこそ美しく咲く花
何にも穢されないで美しく咲く花
どうかどうか 俺を救ってくれ‥…
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