レッスン 中編 総つく
「答えは?答え?」
鬼の様な形相で迫られ、無言で頷くしかなかった俺
「では、お色気レッスンお願い致します。」
この10年で身に着けたそれはそれは美しい所作でお辞儀をする牧野。
……その日から、茶道の師弟関のみならず、お色気レッスンの師弟関係が加わわった。
お色気レッスンって、なんだよ…それ??? な、俺だが本人はいたって本気だから性質が悪い。
メモ帳まで持ち出しそうな勢いで俺を観察するのに、俺のプライベート空間にちょいちょい顔を出す
いやいや、持ち出しそうじゃなくて、メモしてたよな。メモ。
本当にあいつの考えだけは理解不能だ。
まぁ、お色気レッスンなんて意味不明なんで、そんな感じでなんとなくやり過ごしてた俺。
来月あるちょいと大き目な茶会の半東を頼もうと声をかけると
「若宗匠、大変申し訳ないのですが、私にも都合がございまして…」
とかなんとか断ろうとする。
「事務局には許可はとってある。文句は言わせねぇぞ」
「……そうは言われましても、約束もきちんと守って頂けないお師匠様の所では...」
チラッと俺の顔を見上げる。
こいつの半東は非常に楽でやりやすい。一度任せてからは牧野じゃなくてはやり辛くてしょうがなくなっているので、そのまま聞き流すわけにもいかず牧野の要求を呑むことにする。
「わぁたぁよ。で、レッスンすりゃいいんだろうよレッスン!!」
「そういう事でしたら、喜んでお受けさせて頂きます。若宗匠どうぞよろしくお願い致します。で、レッスンはいつになりますでしょうか?決まりましたらご連絡頂けますと嬉しゅうございます」
慇懃無礼に笑顔を振りまく女。
ったく、この女にかかったら、どっちが師匠かわかりゃーしない。
脅されるような断り方を何度もされたらたまらないと、
事務局長と家元に相談し、牧野の部署を俺の直属の秘書に変更してもらった。
勿論、ぶぅすかぶぅすか五月蠅く言う牧野。
おぃ俺の秘書なんて世の中の大半の女が羨ましがるぞ!!
仕事として見たって充分に遣り甲斐はあんぞ!!
仕方がないから
「おぃ、レッスンの一環でわざわざ俺の秘書にしたんだぞ お前が望んだことだろうよ」
途端に相好を崩して
「そんな深い考えがあったなんて早く言ってくだされば、喜んでお受けしましたのに」
なんて言い出す始末だ。
そっか、そっかーーー 俺はこの “レッスン” って、奴を上手く使いこなせばいいんだとピンっときた。
グフフッ 牧野覚えてろよ
それから俺は、俺の出席する茶会、イベント、後援会との会食 海外出張、果ては仕事以外でも、ありとあらゆるところにあいつを連れ出した。 “レッスン” と、いう名のもとに。
激務過ぎるだ、あんたの付き合いばかりで 自由がないだのなんだの言う 牧野を、 これも “レッスン” で、俺と行動する事によって自ずとお前に色気がついてる。だのなんだの言いくるめる。さっき、あっちの野郎がお前の事チラチラ見てたような気がすんなぁーなんて言葉とともに。
「あら?そう」なんて相好崩して、簡単に騙されてるお前。
俺にはワケわかんねぇけど、お前充分色っぺーみたいで、男どもの視線がお前を舐め回す様に見てるなんて事は、ここ数年普通に目にする光景なんだよ。お前の傍にいる奴が睨みきかしてるだけだぞ。
この半年、寝る時以外は、俺にほぼ同行している牧野。自宅から通うのも面倒になってきたのか、家元夫人の執拗な勧めを断るのが面倒になったのか、西門の邸に住み始めた牧野。
内弟子達は大喜び、本邸には寄り付かなかった重鎮共も、3日に開けずやって来る。
西門本邸で茶を習いたいなんて言ってくる各界の大物達までいる始末だ。
俺らがいいや、牧野がか…帰って来ると、邸のもの全部が集まって来てんじゃねえのか?ってくらい皆が集まってきて、挨拶をして、ついでに本当についでにって感じで俺にも挨拶をする。
ハァッーーーー 俺、一歩外出たら 今を時めく男の代表 で、時期家元 の 西門総二郎 なんだけどな
西門での御株は断然、俺よりも牧野に軍配が上がる。
なのにだ、なのに... 一緒に酒を呑むとあいつは
「西門 ちょっと聞いてる?? あのさぁ 未だに誰もお見合いの“お”の字も出さないんだけど。お茶も食事も誘われないぞ。真面目にお色気レッスンしてんの?」
とか何とか、しつこく絡んでくる。
「相変わらず一人で色気ムンムンに出しては、時代の寵児だ、稀代の貴公子だぁー、ったく、ズルいズルいズルい」
子供のように叫びだしたかと思えば
「またどこぞの綺麗なお姉ちゃんを沢山ひっかけてんでしょ?あっ、引っかけなくてもひっかかるかぁー」
なんて言ってる。
流石の俺も頭にきて
「オィ、俺ここ半年以上つくしちゃんが居なくて出かけたか? つくしちゃんとずーーーーーーっと一緒でそんな暇がどこにあんだよ?第一他の女とどうこうなんてここ数年ねぇぞ」
「ひょっ」
素っ頓狂な声を出す牧野。
アレ?俺何弁明してんだ。ちょっと慌てる俺。
こいつには、色気の “い” も “ろ” も 勿論 “気” も感じた事はねぇ。筈だよな。
そりゃ たまにごくたまに、 着物姿の艶やかなお前に ドレスアップしたお前に 見惚れる事はあるけどよ…
断じて断じて、色気は感じたことないよな? どうだ俺?
思考が停止する...
アレ? 俺ってもしや…
いいや男の股間(あっ、そりゃ司だ)もとい 男の沽券に係わんぞ しっかりしろ俺
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鬼の様な形相で迫られ、無言で頷くしかなかった俺
「では、お色気レッスンお願い致します。」
この10年で身に着けたそれはそれは美しい所作でお辞儀をする牧野。
……その日から、茶道の師弟関のみならず、お色気レッスンの師弟関係が加わわった。
お色気レッスンって、なんだよ…それ??? な、俺だが本人はいたって本気だから性質が悪い。
メモ帳まで持ち出しそうな勢いで俺を観察するのに、俺のプライベート空間にちょいちょい顔を出す
いやいや、持ち出しそうじゃなくて、メモしてたよな。メモ。
本当にあいつの考えだけは理解不能だ。
まぁ、お色気レッスンなんて意味不明なんで、そんな感じでなんとなくやり過ごしてた俺。
来月あるちょいと大き目な茶会の半東を頼もうと声をかけると
「若宗匠、大変申し訳ないのですが、私にも都合がございまして…」
とかなんとか断ろうとする。
「事務局には許可はとってある。文句は言わせねぇぞ」
「……そうは言われましても、約束もきちんと守って頂けないお師匠様の所では...」
チラッと俺の顔を見上げる。
こいつの半東は非常に楽でやりやすい。一度任せてからは牧野じゃなくてはやり辛くてしょうがなくなっているので、そのまま聞き流すわけにもいかず牧野の要求を呑むことにする。
「わぁたぁよ。で、レッスンすりゃいいんだろうよレッスン!!」
「そういう事でしたら、喜んでお受けさせて頂きます。若宗匠どうぞよろしくお願い致します。で、レッスンはいつになりますでしょうか?決まりましたらご連絡頂けますと嬉しゅうございます」
慇懃無礼に笑顔を振りまく女。
ったく、この女にかかったら、どっちが師匠かわかりゃーしない。
脅されるような断り方を何度もされたらたまらないと、
事務局長と家元に相談し、牧野の部署を俺の直属の秘書に変更してもらった。
勿論、ぶぅすかぶぅすか五月蠅く言う牧野。
おぃ俺の秘書なんて世の中の大半の女が羨ましがるぞ!!
仕事として見たって充分に遣り甲斐はあんぞ!!
仕方がないから
「おぃ、レッスンの一環でわざわざ俺の秘書にしたんだぞ お前が望んだことだろうよ」
途端に相好を崩して
「そんな深い考えがあったなんて早く言ってくだされば、喜んでお受けしましたのに」
なんて言い出す始末だ。
そっか、そっかーーー 俺はこの “レッスン” って、奴を上手く使いこなせばいいんだとピンっときた。
グフフッ 牧野覚えてろよ
それから俺は、俺の出席する茶会、イベント、後援会との会食 海外出張、果ては仕事以外でも、ありとあらゆるところにあいつを連れ出した。 “レッスン” と、いう名のもとに。
激務過ぎるだ、あんたの付き合いばかりで 自由がないだのなんだの言う 牧野を、 これも “レッスン” で、俺と行動する事によって自ずとお前に色気がついてる。だのなんだの言いくるめる。さっき、あっちの野郎がお前の事チラチラ見てたような気がすんなぁーなんて言葉とともに。
「あら?そう」なんて相好崩して、簡単に騙されてるお前。
俺にはワケわかんねぇけど、お前充分色っぺーみたいで、男どもの視線がお前を舐め回す様に見てるなんて事は、ここ数年普通に目にする光景なんだよ。お前の傍にいる奴が睨みきかしてるだけだぞ。
この半年、寝る時以外は、俺にほぼ同行している牧野。自宅から通うのも面倒になってきたのか、家元夫人の執拗な勧めを断るのが面倒になったのか、西門の邸に住み始めた牧野。
内弟子達は大喜び、本邸には寄り付かなかった重鎮共も、3日に開けずやって来る。
西門本邸で茶を習いたいなんて言ってくる各界の大物達までいる始末だ。
俺らがいいや、牧野がか…帰って来ると、邸のもの全部が集まって来てんじゃねえのか?ってくらい皆が集まってきて、挨拶をして、ついでに本当についでにって感じで俺にも挨拶をする。
ハァッーーーー 俺、一歩外出たら 今を時めく男の代表 で、時期家元 の 西門総二郎 なんだけどな
西門での御株は断然、俺よりも牧野に軍配が上がる。
なのにだ、なのに... 一緒に酒を呑むとあいつは
「西門 ちょっと聞いてる?? あのさぁ 未だに誰もお見合いの“お”の字も出さないんだけど。お茶も食事も誘われないぞ。真面目にお色気レッスンしてんの?」
とか何とか、しつこく絡んでくる。
「相変わらず一人で色気ムンムンに出しては、時代の寵児だ、稀代の貴公子だぁー、ったく、ズルいズルいズルい」
子供のように叫びだしたかと思えば
「またどこぞの綺麗なお姉ちゃんを沢山ひっかけてんでしょ?あっ、引っかけなくてもひっかかるかぁー」
なんて言ってる。
流石の俺も頭にきて
「オィ、俺ここ半年以上つくしちゃんが居なくて出かけたか? つくしちゃんとずーーーーーーっと一緒でそんな暇がどこにあんだよ?第一他の女とどうこうなんてここ数年ねぇぞ」
「ひょっ」
素っ頓狂な声を出す牧野。
アレ?俺何弁明してんだ。ちょっと慌てる俺。
こいつには、色気の “い” も “ろ” も 勿論 “気” も感じた事はねぇ。筈だよな。
そりゃ たまにごくたまに、 着物姿の艶やかなお前に ドレスアップしたお前に 見惚れる事はあるけどよ…
断じて断じて、色気は感じたことないよな? どうだ俺?
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アレ? 俺ってもしや…
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