ずっとずっと 152
つくしの事を手放そうと。決心をしながら‥
カウチに腰かけ、僕はつくしの髪を梳く。
何年この動作を繰り返してきたのだろう?そんな事を考える。
彼女は、相変わらず僕のミューズで、僕の太陽だ。
幾つになろうとそれは変わらない。
何でこんなに好きなんだろう?
たまに笑ってしまうほど、僕は君に、未だに恋い焦がれている。
つくしと出逢えて、僕は幸せだった。
26年間の長い時、君を独り占めにしてきた。
そう、僕は幸せだった。
この思い出さえあれば、僕は生きていける。
どこにいようと、誰といようと。
君が幸せならそれでいい。
初めて君に恋をしたあの日のように素直にそう思った。
時折、胸は痛むかもしれない。だけど僕は君を手放そう。そう決心した。
「あのね‥僕は決心したよ」
「っん?何を決心したの?」
つくしが優しく微笑む。この笑顔が大好きだ。昔も今も
「君を自由にするよ。だから君はもう自由に羽ばたけば良い。」
君の瞳を真っ直ぐ見て、自分の決心を言えた事に安堵して僕は微笑む。
「司にはもう会わない。」
つくしが、そう言う。
思いがけない返事に
「いいの?」の言葉と共に、僕の双眼から涙が零れ落ちる。
「あたし、薫と共に年をとりたいの。」
一点の曇りのない笑顔でつくしが笑う。
僕の瞳は、つくしを見つめ続ける
「隙ありっ」彼女は笑いながら僕の額にデコピンをする。
僕は、つくしを抱きしめる。
つくしが、僕を見て微笑む。
僕は、つくしを見て微笑む。
啄むような口づけを交わす。
僕は幸福感に酔いしれる。
「薫、ありがとう。愛してる。」
つくしがそう言って、僕を抱きしめてくれる。
この夜‥
彼女の心を身体を、初めて手に入れる事が出来た幸せに僕は酔いしれた。
そして、僕の心の澱は溶けていく。
同時に、もしも、彼女が僕のもとを去りたいと言うならば、
いつでも手を放そう。そう誓った。
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