ずっとずっと 153
熱い抱擁ってやつを交わした。
「幸せになれ」
俺が言うと
「幸せになる。でも今までも充分幸せだった。ありがとう司」
そう言ってグレンダがキスをしてきた。
「この26年間、私は司の事も愛していたわ。」
「あぁ、俺もグレンダを愛してきたよ。」
今度は、俺がグレンダを抱きしめてキスをする。
さようならのキスをする。
グレンダとアレンには、世間の目と言う茨の道が待ち受けているだろう。
だが、あいつ等は、それで構わないと言う。そんな事は糞くらえと笑う。
俺は、グレンダとアレンの幸せを祈る。
**
つくしから一通の手紙が届く。
懐かしいあいつの文字の手紙が届く
愛おしい女からの手紙が届く。
手紙が届いた瞬間。
俺は覚悟した。これはあいつからの別れの手紙なのだと。
窓辺に腰掛け、月を見ながらあいつの手紙を紐解く
司様
愛しています。いいえ愛していました。
いつか伝えようと思っていた言葉をあなたに伝え、
私は私の恋に終止符を打ちたいと思っております。
10代最後の夏、私はあなたを死ぬ程に愛し始めました。
幸せの絶頂に酔いしれ、あなたの全てに酔いしれました。
あなたは、私の半身、そう思いました。
いつか訪れるかもしれない未来を夢見て、
あなたに相応しい女になりたいと切に願いました。
20才を迎えた日、私の恋心は粉々に砕けちり、私の心は一旦死にました。
それを助けてくれたのが、救ってくれたのが、薫だったのです。
彼は、傍らで見守り続けてくれました。
あなたへの恋心を抱えたままでもいいから、そう懇願され、私は宝珠に嫁ぎました。
何度も何度も、私の心はあなたを求め、
何度も何度も、あの日に戻りたいそう願って生きてきました。
一年に一度の逢瀬をどれほど楽しみに生きてき事か。あなたに想像出来ますか?
あなたの指先に触れたい、あなたにもう一度抱かれたい何度そう思った事か。
全てを捨て、あなたと生きたい。何度そう願った事か。
琉那が嶺君と共に消え、幾度も幾度も考えました。そして出た答えは
私は、あなたを愛していたけれど、薫の事も愛してしまった。その事実でした。
あなたとの激しい愛を求めた。反面で、薫との穏やかな愛を求めて居たことに気がついたのです。
嶺君と琉那の事があって、薫は私に、羽ばたけ、そう言ってくれました。
その時、私はあなたへの恋慕さえも、私の一部だと、自分自身は、苦しみもがきながらも受け止めてくれた薫の愛に今度こそきちんと答えて生きていこう。薫と共に年老いていこう。素直にそう思えたのです。
猾い。そう思って下さい。
だけど
司、あんたをあんただけを愛していた、あたしの十代最後の夏の思いだけは、あたしの真実だけは疑わず覚えていて。
en la primavera de la vida
Había te amo con toda mi alma
Mil disculpas.
Muchísimas gracias.
Hasta la vista
宝珠つくし
つくしの笑顔を思い浮かべ涙する。
後から後から涙する。
猾いのは、俺だ。
俺が最初にお前の手を放したんだ。
決して決して離しちゃいけねぇもんを。
俺が最初に離したんだ。
お前、いますげぇいい笑顔で笑ってんだろうな。
俺の大好きな笑顔でよぉー でっけぇ笑顔でよぉ
en la primavera de la vida
あぁ、おれの青春は、お前で始まってお前で終わってんぞ。
Había te amo con toda mi alma
愛していた。いや生涯愛していくだろう。
だけど、俺はお前との愛に終止符を打つ。
Mil disculpas.
Muchísimas gracias.
ごめんなさい
ありがとう
あいつらしぃよな。
くくっ、人生で唯一愛した女に、思いっきり振られたんだな。
だけどよぉー 不思議な事に‥ 俺は清々しい思いで、いっぱいだ。
あいつの笑ってる顔を思い浮かべると、幸せで幸せでたまんねぇんだ。
なぁつくし、幸せになれよ。
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