ずっとずっと 155 final
「だめだめ~ベェッーだ」
「ったく、この強情ぶりは、誰に似たんだ?」
歩を追いかけながら、
ジロリと、お義父様が、私と嶺を睨む。
「おじいちゃまだよ?」
未來が、笑いながら、言い返す。
黒髪の大きな瞳を持つ未來。
私や、嶺ではなく、お母様に似ている娘が、花咲く笑顔で微笑みながらそう切り返している。
お義父様は、愛おしそうに未來を見つめ
「違うな。未來にそっくしだな」
そう豪快に笑い、未來の髪の毛を、くしゃくしゃにする。
「もうおじいちゃまは、すぐにそんなことばっかり言う~」
未來が、プクッ~と頬を膨らませる。
邸の中に笑い声が木霊する。
この邸に、私の両親が来る事は無い。
時折、マミーが、アレンが、インディゴちゃんが、光が、友人達が、未來に、歩に会いに訪れてくれる。
私も、父と母に会いに、嶺と未來と歩と共に、時折、京都に帰る。
お母様と、お義父様が、お二人でお会いになる事はない。
お互いにお互いの笑顔を守るため、自分の今ある暮らしを大切になさっているのだろう。
お義父様は、未來を見る時、時折遠い目をなさる。
だけど、そんな時は、決まって最後に幸せそうな微笑みを浮かべる。
それは、幸せな幸せな微笑みを浮かべる。
*****
未來が嫁ぎ、歩が道明寺の跡継ぎとして立派に育っている。
未來が嫁いだ時、二十数年ぶりに、お義父様はお母様にお会いになられた。
二人の間に、温かな風がふわっと舞い降りた気がしたのは、私だけではなかった筈だ。
父は、そっと目を外した。 父は未だに母だけを愛し、ミューズだと崇拝しているから。
***
未來の子供が生まれ、私はすっかりお祖母ちゃんになった。
孫は可愛い。そんな思いひしひしと噛みしめる毎日を送っている。
ひ孫の誕生をお義父さまは、誰よりも喜んだ。
毎週末、未來はお義父さまにひ孫の永遠(とわ)を見せにくる。
永遠と名付けたのは、お義父様だ。
永遠が来ると邸中に花が咲く。
永遠は誰の子か?と言う程にお義父様にそっくりなのに、
笑うと未來に‥‥いいえ、お母様にそっくりなのだ。
お義父様とお母様の命は一つになり脈々と受け継がれている。
***
久しぶりに京都に戻った際に、父と二人になる。
「父親としてではなくて、一人の男の頼みだと思って受け入れて欲しいんだ」
そう言って、桜色の美しい封書に入った手紙を託された。
あの日から、3年半、父の魂が天に昇っていく。
煙を見つめながら‥‥ 桜色の手紙を紐解く‥
僕が先に、この世を去ったとしても、あの二人は再び寄り添って生きる事を選ばないだろう。そんな言葉から始まっていた。
だから、お願いだ。どちらかが先にあの世に旅立った際には、分骨をしておいて、後であの二人を一緒にしてあげて欲しい。そう書かれていた。
父の考え方が正しいのか、否なのかは私には解らない。
だけど、私は,お父様の望みを叶えてあげようそう誓った。
これが、お母様をミューズと崇め、慕い、愛し続けたお父様に出来る精一杯だから。
私は、父を誇りに思う。
そして、そんな父が死ぬまで愛し続けた母を誇りに思う。
愛はエゴの塊で出来ている。
私は嶺を、未だに愛し続けている。
ずっとずっと 愛してる。
final
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あとがきという長い長いお手紙。
ずっとずっと 昼ドラ24時に、長い間 お付き合い下さいまして本当に有り難うございました。
皆さんの思い描いていた終わり方でしたでしょうか? それとも全然違った?
ずっとずっとが、遠い所に、司つく なんですよ〜、の意味はお解りになって頂けたでしょうか?
ツインソウルの二人には、やっぱり切っても切れない結びつきがあると思っているのです。
asu的には、実は充分にハピエンなのですが‥案の定甘いハピエンにはなってませんよね(笑)
だけどつくし贔屓なasuには、つくしらしい最後の決断を彼女に与えられたかなと満足しています。
そして、つくしを愛し続けた薫にも、薫らしい決断を。
坊ちゃん‥人間として充分に成長したかと思っています。
そうそう、ツインソウルってね、現世で魂が2つに別れて生まれてくるのは、
修行を早く終わらせる為なんです。
ほら一人でやるよりも2人の方が効率が良いでしょ。
***
5ヶ月近くの連載。asuは、この最後を目指してお話を書いてきました。
終わった瞬間は、もの凄ーくもの凄ーく清々して(笑)癖になりそうでした。
パチリとピースがハマった感じです。
ずっとずっと は、オリキャラ満載のお話で、
???がいっぱいになられた事だと思います。
なぜ?薫の立場になるのが類じゃダメだったの?
結構頂いた質問なのですが
これね、一番の理由は、私の類への勝手な思いなのです。
類‥ 優しいでしょ?
いつも受け皿になってくれるけど、肝心な時に手をひいちゃうでしょ?
だからなのかな、司に振られてショックを受けてるつくしを、騙して抱くなんて事をしないと思ったんです。待って待って、振り向くまで待つという選択肢はあるとしてもね。
待って待ってたら、時を逃しちゃうし、絶対に取り返しに来ちゃうんだもん。
あきらや、総ちゃん?
うーーーん 絶対にあり得ない。だって、二人の強烈な愛を見てるでしょ。
司との恋に決着を何らかの決着がついた後や、何年も経ってからなら解るけど、2人の熱烈な 情愛を見ている、幼なじみの彼等には、何らかの決定的な事が無い限り、絶対にあり得ないと思ったんです。
もしもくっ付いたとしても、つくしの気持ちが自分に100パーセントあるならまだしも、つくしと司の関係が復活したら、すぐに返しちゃうんだろうなー そう思ったんです。
だまして寝取る‥薫にとって司に似た薫りをまとい、つくしを抱く事はこのお話には必然でした。ずっとずっと消せない負い目を薫に持ってもらう為に。負い目があるから狂気が生まれ、悋気になる。
身体の誘惑に負ける。その為に始めの頃の司とつくしの逢瀬、Rを自分なりに丁寧に書いたつもりです。司に愛され、女になったつくし。少女ではない。女のつくし。
少女ではなく女だからこそ、選択した数々の事を書きたかったんです。
そして、ずっとずっと思い切れない司とつくしを書きたかった。
なので‥パーフェクト薫君に登場願いました。
もう飛び切りのハンサムで、何でも持っていて、
権力にも何にも屈しない男(ホラ、これ普段の坊ちゃんでしょ)を作ろう。そう思ったのです。
パーフェクトBOYは、パーフェクトにつくしに恋をする。寝ても覚めてもつくしが好きで好きでたまらない。そんな、相手。
好きな女性の幸せを祈りながらも、自分のエゴを出してしまう相手。悪いと思いつつも恋する事を愛する事を辞めれない。そんな人物に登場して頂きたかった。
プラスね、政略結婚‥司側からの一方的なもんばかりで、
つくしマニアの私としては片腹痛かったというのもあるので、司ん家が文句言えないくらいデッカい規模のお坊ちゃんにしようと(笑)
薫の見た目のイメージなのか? 類をイメージされてる方も多いと思いますが
類に何ものからも奪い取るという激しさを+して、
逆に、司の荒々しさをそげ落とした イメージなのです。
司と類って、正反対のようでいて、真ん中につくしを置いた時、凄く似ていると感じるんですよね〜
それと、もう一つ‥
自分を呼ぶときのの呼称が 【 僕 】 に、したかったんです。
【僕】って、【俺】と語る時よりも、何だか弱々しさ女々しさを感じません?
弱々しさ女々しさを感じるのにも関わらず、グイグイいく美しい男が書きたかったんです(笑)
僕の方が、愛を語る時に静かな狂気を感じる。そんなお話にしたかったんです。
***
長くなって来ると、お話の途中で出口を迷ってしまいそうになったり、書きたくないなぁーになったりするのですが、皆さんの拍手ポチ、ランキングポチ、コメントに、 沢山沢山励まして頂きました。
本当に本当にありがとうございました。すごくすごく、嬉しかったです。
感謝と愛をこめて
asuhana
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