Tea for Two 10 司つく

殺人的に可愛い女が、俺の隣で寝息をたてている。
うーーーん。可愛い。触れたい。そう思う。
触れちゃうか俺？
なんて思うけど、イヤイヤそりゃフェアじゃねぇだろうよ。と我慢する。


牧野の寝顔を見ながら、今日の事を反芻する。
楽しい一日だったなぁなんて事を柄にもなく思う。

ゴードンとの会食‥ククッ、まさかのラーメンとはなぁー
ぜってぇーに、他の奴らじゃそんな話しになんねぇよな。

だけんどよぉー　あの【　金さん　】とか言うラーメン屋の主人。
どっかで見覚えある顔なんだよなぁ？　どこだっけかな？
それにしても‥あのラーメンとか言う食いもんは旨かった。

牧野と一緒のもん食ってると思うと、余計にうめぇっつーのを差し引いても旨かった。
こいつと居ると色んな感情っつーのか？それが花開くんだな。うんうん。


それにしても‥…こいつよく寝んな。
俺の前で、こんなに無防備に女が寝てる姿を俺は初めてみたぜ。

頭がガクンッとなっては、ぷるぷるしてやがる。
俺はそっと、牧野の近くに寄り添って人間枕っつぅのか？になってやる。
カクンカクンなりながら、俺の肩にもたれ掛かってくる。

マジ可愛い。クゥッーーー　


静寂を破って、運転手の早瀬が俺に聞いてくる。
「司様‥大変申し訳ございませんが、どちらまでお送りしたら宜しいでしょうか？」
そう聞かれ、はたと考え込む。
会社か？　時計を見る。もう10時だ。誰もいねぇだろう。
牧野の家か？　俺はこいつの家は知らねぇ

じゃぁ起すか？　いやいやそんな勿体ねぇ。しかも明日は休みだ。
どうせなら、ずっと一緒に居てぇ。そんな不埒な考えが頭に浮かぶ‥

だけんどよぉー、俺のマンションじゃヤベェよな。
うーーーん。そうだ、そうだ。

「世田谷の屋敷に行ってくれ。」早瀬に指示を出す。
「畏まりました。」

車は進路を変え、屋敷を目指す。

＊＊＊

「うーーーーーーん」

俺様‥ただ今　シンキングタイム中。

「司様‥どうされますか？」
早瀬が俺に聞いてくる。たしかこいつ今日女房と結婚記念日だとかなんとか言ってたよなぁ。

「あぁ、お前はもう帰っていいぞ。屋敷に花が用意してあっから、持ってけ」

俺がそう告げると‥早瀬が目をウルウルさせながら、「ありがとうございます。ありがとうございます」を繰り返している。
こんなに目一杯の礼を言われて嫌になる奴なんていねぇだろう？まぁ、俺もそうだな。

ってか、吉野は今までこんな情報を俺に寄越した事なかったのになんでいきなりだ？
うーーーん。先週は鏑木商事の社長宛に俺の名で花を贈った。一筆添えてな
吉野‥　いつからそんな気遣いの吉野になったんだ？

そんな事をつらつら考えながら、車庫で時間を潰してたが、こいつ一向に起きる気配はねぇ。
揺すってみたが、「うーーん」とか言いながら、手を払いのけやがった。
どうしたもんか？　俺はやっぱりまだまだシンキングタイム。

好きな女の寝顔を堪能出来るっつーのは、悪くねぇ。ってか、幸せだ。
惚けた顔しながら眠る女を、惚れ惚れした顔で眺める俺。

くくっ、ホントてこの女にかかると、俺様も形無しってやつだよな？
だけんど、すげぇ可愛いんだ。

ちょこっとちょこっとだけ触ってみっか？
邪な考えを持った瞬間

コンコンッ　コンコンッ　杖でガラス窓を叩く奴がいる‥
タマが、ニタリと笑ってやがる‥

仕方ねぇから、牧野を抱きかかえ車を降りて、タマが用意した客間に牧野を寝かせた。
一風呂浴びてから、客間を覗く。

まだ寝てやがる。すげぇーな。マジ起きねぇ。
もうしばらく寝かしておくか、腰掛けていたベットから立ち上がろうとしたら

パチッ　眠り姫が目を覚ましやがった。

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