ずっとずっと 2

Love Tukoshi って、スペル間違えてるよ。なんて笑いながら呑気に空を見上げてたおめでたいあたし。
翌日からの牧野つくしの暮らしがものすごく変化してしまうなんて思いもよらなかった。

英徳の人達からの嫉妬と蔑みの目には慣れていた。一歩外に出ればあたしの生活は自由だった。なのに翌日からの”牧野つくし”の生活には今までにはない羨望と嫉妬の目に包まれた。イニシャルになってるとはいえ私のイニシャルと学校名が公共の電波に流れたんだから。とてもじゃないけど普通の生活が送れなくなった。
どこから調べたのかバイト先や住んでる所まで他人の目にさらされる毎日。自分だけなら構わなかったのだけど、パパやママ、弟の進の生活までもがと思うといたたまれない毎日を過ごす事になった。
「つくし～玉の輿にのる試練よ～」とわざとおどけてくれる両親
「姉ちゃん気にすんなよ」と、明るく笑う進に何度心の中で謝った事だろう。

外出するのも家にいるのも落ち着かない毎日。人の噂も75日と言うけれど英徳に通い続ける”牧野つくし”じゃいつまでたっても普通の生活にもどるなんて無理かもしれない。
バイト先に満足に通えない今の状態で英徳の授業料を払い続けるのにも無理が生じる。道明寺に相談すればすぐになんとかしてくれたんだろうけれど、幼かったあたしはあいつと対等でいたいばかりに意地をはらなくてもいいところで意地をはった。

英徳から他の公立への転校、パパがママの実家の養子になる形で家族全員“星野”になる事にしたのだ。星野なんて綺麗な名前だけどお金持ちでもなんでないごくごく普通のママの実家。ただ子供のいない叔父夫婦は思いのほかに名前を継いでくれるんだと喜んでくれて、あたし達親子に住まいと仕事を世話してくれる事になった。
そんなこんなで東京を離れ、誰も知る人のいない京都に居を構える事になった高校3年の夏の始まり。



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