明日咲く花

花より男子の2次小説になります。

ずっとずっと 27

鼻歌歌いながら、ご機嫌で家に帰ったあたしを待ち受けていたのは…

あたしよりも 舞い上がったパパとママだった。

パッパッパカパーン♪♪♪ パフッパフ
「パパとママと進は引っ越す事になりましたーーーー。」
パパからの衝撃の一言。

「えっ”” またクビ?」

「…うふふっ それが違うのよぉ~ パパのお勤めする会社ね合併されてね今までよりも大きな会社になるらしいの。でね な、なんと九州に栄転になりましたーーーー」 
今にも踊りそうなママ。ってか完璧踊ってるね…

「進は進で九州の大学で行きたい所があるらしくってね。3人で九州に行こうか思ってるのよ。今日付けで辞令が出て、15日から九州なの。お給料も今よりも随分と上がるみたいだから仕送りもちゃんと出来るから心配しないでね」
ママは、ものすごーくウキウキしてる。

「そっかーー あっバイトしてるからそんなに沢山仕送りいらないよ。進の為に使ってあげて。あとちょっとで引っ越しだとママ達忙しくなるね」

「それがね、楽々パック頼んで良いんですって~ もう楽ちん楽ちん。社宅も完備されてるしね。ただねちょっと早めに行かなきゃいけないから来週には私達は九州に行くんだけど、つくし大丈夫? ‥…取りあえず3月いっぱいはココでそのまま生活は出来る様にはなってるんだけど…進も授業日数が足りてるらしいし、編入高のレベルが高いみたいだから早めに勉強したいみたいだから一緒に連れて行っちゃおうかと思ってるんだけど‥…」

「そっかーーー わかった。全然大丈夫だよママ」
そうは言ったものの、学生寮は今からは空きはないだろうし‥…
明日お昼休みにでも不動産屋さんに聞いてみなきゃなぁー

「パパ 昇進おめでとうね。パパ今の仕事すごく合ってるみたいだから本当に良かったね。」
「つくしぃーーーーー」
嬉しそうに抱き着いてくるパパ。 

ちょっとだけ離れた期間もあったけど、今までずーっと一緒だったパパ達と別れるのはとっても淋しい...
それでも、お人よしなパパが無理なく、いや反対にイキイキとして働ける今の職種は得難い。そんなパパに心配させないように沢山の笑顔で見送る事を決心した。



後期休みのあたしは、OLさんのようによく働いている。
今日も朝から電車に揺られ、ジュエルに出社する。いつもの如く隠密に。
一番乗りしたあたしは、朝の用事をあらかた済ませた後、つぅ爺が来るまで駅で入手した不動産物件の情報誌を見る事にした。
ペラペラめくりながら、どこか良いところないかなぁ―――と、真剣に探していると

「しぃちゃん 何を真剣に見ておるのかのぉーー」
つぅ爺が後ろに立っていてビックリした。

「ひょっ!おはようございます。今お茶お煎れしますね」
ビックリして思わず大きな声が出てしまった。
慌てて、つぅ爺にお茶を煎れに行く。
つぅ爺の好きな玉露を丁寧に丁寧に煎れる。


机の上に広がった雑誌をマジマジと眺めるつぅ爺。
「柏木これはどういう事かのぉー」
「しぃ様が、物件をお探しなのではありませんかね?」

「つぅ爺、柏木さん お茶が入りました~。」
3人で日向ぼっこしてるかのようにお茶を飲む。
就業時間の前の3人の日課に、いつの間にかなっている。

お茶をすすりながら
ジュエルって世界的企業なんだよね? って、いつも思うほど会長室の空気は穏やかで。

でも、この会社どこの系列企業を見ても業績が良いんだよねーー
つぅ爺から渡される資料を見ると、ジュエル本社グループ、各関連企業どこをとっても軒並み優良企業だ。

つぅ爺 祥子サロンに行ったり、此処でお茶飲んだりばっかりで...いつ仕事してんの?状態なんだけどなぁー 余程、他の役員や社員が優秀なんだろうなぁ~ なんて事をぼんやり考えてた。

「しぃ、しぃちゃん おーい...しぃちゃん」
「オョッ」
遠くにいってたあたしを呼び戻す現実社会のつぅ爺の声。

「す、すみません。はい何でしょうか?」
「アハハッ お昼の事でも考えてたか? 今日は“多神楽” で、東雲達と会食じゃよ。」
「東雲会長達とですか〜 それは楽しみです。」


「ところで、 しぃちゃん 住宅情報誌とは?」
「はい。住宅の情報が載っている雑誌です。実物ご覧になられますか?」

「そうではないぞ。なぜにしぃちゃんが朝から見ておるのか聞いておるのじゃよ。」
「はぁ。実は父が栄転になりまして、一人暮らしをする事になりましたので目を通しておりました。」

「ん?一人暮らしかぁ...そうかぁ ふむぅ」
何やら考え込んでるつぅ爺なので、話を切り上げPCと向かい合い資料整理を行っていく。

一通り資料整理を終えると、プレゼン資料を渡される。 疑問点や問題点を列挙し、改善点を示唆する。どのプレゼン資料も一見何の問題を感じないものばかりなので、この2点を挙げ、尚且つ改善点を考えるのは非常に難しい作業だ。最終チェックは勿論柏木さんに入れて頂き、その後つぅ爺に渡されるのだが、この処柏木さんが忙しいからなのか?チェック無しでつぅ爺に渡される様になってきたので、益々気が抜けない状態だ。
普段は優しいつぅ爺も、この作業においては鬼と化したんじゃないかと思う程手厳しいのだ。

意識を集中し、真剣に資料と向き合っていると
「しぃちゃん。しぃちゃん。おーいしぃちゃん」
あたしを呼ぶ声

「は、はい。何でしょうか?」
「先ほどの件だが、社宅に入りなさい」
「えっ”” バイトに社宅なんてあるんですか?...普通ないですよね‥…お断りします。」
「だったら、筒井の邸に住みなさい。」
「いやいや。それは困ります。」

「だったら、社宅に入りなさい。社宅と言っても同じマンションにジュエルの社員はいない所だから安心しなさい。」
「正式なジュエルの社員でもないあたしが、そ、そ、そんなお世話になるワケにはいきませんって。」


「しぃちゃんに渡しておる資料はかなり重要なものじゃから、セキュリティのしっかりとしたマンションじゃないと逆に会社が困るのじゃけどなぁ」
断れないようなもっともな理由をつけて迫ってくる。つぅ爺...

あぁぁ あたしとしたことが…迂闊に住宅情報誌なんて読んでる場合じゃなかった。なんて、思っても後の祭りだ。
つぅ爺邸か、社員寮かの二者択一で迫られ状態に陥っている。ヒョー
なおも迫ってくるつぅ爺

「で、で、では、社宅でお願い致します。」
言うが早いが、柏木さんが契約書とペンをいつもの様に持ってくる。有無を言うのも許されずサインしなさい状況だ。

朝からの少しの間に、既に用意されていたようだ。恐るべしチームワークだ。

「大方の家具や日用品は揃えて置くんで、身の回りのものだけで引っ越して来なさい。今日中には準備が整うじゃろうから、明日からでも大丈夫じゃよ。」
「はぁぁ。」
もう至れり尽くせり状態だ。

「しぃちゃん 儂は儂の都合を押し付けておるんじゃから遠慮はせんように。それとじゃジュエルで働いている事を知らない者を呼ぶ時様に、近くにワンルームマンションを用意しとおくので、そこをダミーに使えばよい。」

何もかもお見通しのような発言だ。

いいや…何もかもお見通しだったのだろう。
よく考えれば、目の前の人は 世界的大企業の ジュエルグループ総帥 筒井栄 だったのだから‥身の回りに置く人間の素性や交友関係を知らない訳ないのだから。

あたし、世の中をまだよく理解してなかった子供だったんだね。




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