Tea for Two 13 司つく
でっけぇ瞳で、俺を見上げながら、目の前の女が聞いてくる。
殺人的に可愛い女が。男心を煽る仕草で聞いてくる。
こりゃなんだ? ブルドーザー級の可愛さってやつか?
いやいや、もっとだな。
いやいや、そこじゃない。今考えるのはそこじゃないぞ。
なのに、なのに、俺はバカだ。大バカだ。
「あぁ。」なんて返事をしてたんだ。
「そうなんですかっ」
クラクラして倒れちまいそうになるような、笑顔で嬉しそうに、嬉しそうに牧野が答えやがる。俺の脳みそは。思考回路を停止して、ただただ牧野を見つめてしまったんだな。で、ただただ、牧野を喜ばせてぇーと思っちまったんだな。
はぁっーーーー
「あのぉ、司さんってどこの部署なのか、専務ご存知でいらっしゃいますか?」
牧野がそう聞いてくる。
「専務室‥」
「えっ?それって‥」
そうだ、そうだ、お前の目の前の男だ。ってな具合で最初は良い感じだったんだ。なのにだ‥
「隠密行動する人って事ですか?それって、重要機密じゃないですか‥」
なんだ、この女? 大丈夫か?
「えっ、えっ、そんな大事な機密を‥専務申し訳ないです。今のあたし聞いてません。ホント聞いてませんから。」
プルプル首を振りながら、聞いてないを連発しやがる。
いやいや、専務室っていやぁ、お前の目の前の男だとか、お前は微塵も思わねぇのか?
「なぁ、牧野‥‥」
「あっ、はい。聞いてません。聞いてません。あたし何にも聞いてません。」
あまりにも一生懸命否定する牧野を見てたら、
何だか俺‥変な事を口走ってたんだよな。
あとで、死ぬほど後悔すんだけどよぉー しゃぁねよ。言っちまったもんは。
出た言葉は戻せねぇ。これに尽きる。
いや、俺専属の秘書になるのを納得させたのは間違いじゃねぇ。
そこんとこに関しちゃぁ、我ながらよくやったと思う。
だけどだ。だけどなんだよなぁー
「いやいや、聞いたよ。だからよぉ、お前、月曜から俺直属な。」
「えっ」
目をパチクリしてやがる。
鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔してやがる。
しかも‥
就任のお祝いだと言って、フルーツシャンパンなんてのを勧めちまった。
うん。飲み口が良い酒なんだな。
「‥ウィッ‥ヒック‥ふぅーん‥専務聞いてますかぁーーーー?」
「あぁ、聞いてる。聞いてる。」
「だ、か、ら‥あたしはね‥ウィッ‥司さんを‥ですね‥ヒック‥うーん‥ムニャ‥ムニャ」
散々、管を巻いて‥寝ちまいやがった。
で、で、で‥
どうすりゃいいんだ俺‥の出来上がりだ。
はぁっー 今の俺、幸せか?不幸せか?
さぁ どっちだ!
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