修羅 16 総つく
Sunny Spot が新しく出した トータルビューティーサロン。
頭の先から、爪先までをモットーに美しく磨き上げ、着飾る店。
全身エステから始まり、ネイル、ヘアー、メイク、香りのお洒落からトータルファッションまで各々の専門家が磨きあげてくれるのだ。
ビル1棟丸々 美の競演。
店に着く、待ち構えていたように,サロンの総責任者洋子さんが出て来る。
衣服を脱ぎ取られ、専用ガウンを羽織ってるとはいえ、紙パン一枚のなんとも心ともない姿。
ガウンの下のキスマークが昨夜の情事を物語っている様で羞恥に包まれる。
「では、つくしさん‥本日は私が担当させて頂きます。」
洋子さんは、桜子が見つけ出した凄腕エステシャン。洋子さんの腕に、桜子が惚れて惚れて惚れ込み出させたお店。当初、パトロンとして資金提供だけ申し付けたらしいのだが、あたし達3人と飲み交わすようになり、是非直営店としてSunnySpot のフラッグショップをと懇願され、複合型のトータルビューティーのサロン出来上がったんだ。
朝一番でぶち込まれたあたし‥ 6時間後‥ 眩いばかりに美しい女にと変貌を遂げていた。
洋子さんが、
「うふふっつくしさん、いかがですか?」嬉しそうに聞いてくる。
「いかがも何も‥あたしイケテルよ。洋子さん、凄い。」
鏡に映るあたしは、美しい。
百瀬会長ご夫妻が、サロンの奥で待っていらっしゃる。
振袖に身を包んだあたしを見た瞬間、
圭子夫人が「つくしちゃん、可愛い、いややわ可愛い」
を連発して下さって、なんだかとても、こそばゆい気持ちに包まれる。
圭子夫人は,桜子の近親にあたるのだが、お子さんのいないお二人は、
桜子同様、あたしと滋さんまでとても可愛がってくださるのだ。
SunnySpotの良き相談者でもあり、主要株主でもある。
「ほんまや。つくしちゃん可愛いなぁ~。なぁ、おケイちゃん」
「ほんに~楽しみやねぇ。」
嬉しそうに微笑むお二方とお茶を飲み、さてそろそろと連れられいかれたのは 料亭 信濃路
信濃路の女将が嬉しそうに、嬉しそうにあたし達3人を迎えて下さる。
後ろから、滋さんのご両親がひょっこりと顔を出す。
「つくしちゃん、こっちこっち」 そりゃぁ、まぁ嬉しそうに嬉しそうに手招きする。
あれよあれよの御見合い話で、何にも考えずにココまできてしまったのだけど‥‥
「あ、あのぉ‥」あたしには好きな人がいます‥そう切り出そうとした時
「そうそう、滋から今日の御見合い相手は聞いてるかな?」
「まだですが‥」
「あらっ、滋ちゃんたら。もうね~」
恭子ママが口を開きかけた瞬間‥ 女将が来客を告げる。
***
西門会館で、いくつかの決められら仕事をさばく。
家元から、連絡が入り、夕刻会食が入ったので待機するように言われる。
3つ紋の略礼装に着替えるように、用意が整えられている。
どこぞのお偉いさんとの会食なのか?
事務長に聞いても、秘書の大野に聞いても要領が得ねぇ
迎えの車には、家元と何故か家元夫人までもが乗り込んでいて、何となく重苦しい雰囲気の中、車が走る。
待ち合わせ場所に到着すると、女将が嬉しそうな顔で出迎える。
「若宗匠お待ち申しあげておりました。」耳許で女将が囁く。
女将に案内され、長い長い廊下を歩く。
家元が、口を開く
「総二郎、今日の御相手は西門にとって大変大切な方なので、くれぐれも粗相のないように」
そう念を押される。
そりゃ誰だ?
そう口を開きかけた瞬間、襖が開かれ、部屋に通される。
俺の目の前に広がる光景は‥
どこかで、フクロウの鳴き声がした気がした。
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