その距離50センチ 1 あきつく
「はぁっー ごめんねぇ 待った?」
なんてことを言いながら、水を一気飲みすんだろうな。
1ミリも色っぽくなんてないのに、俺の胸は、キュンとしちゃうんだろうなっ。
そんな事を思って、苦笑する。
牧野を思う時、たまらなく愛おしさがこみ上げて来る。
自然に笑みが溢れる。
牧野に会う前の、打ち合わせは大概成功する。
今の所、ほほ9割り打者の成績だ。
に、しても‥マダムキラーの俺は?たらしの俺は?何処に行ったんだろう?
カサノヴァ、ドンファンなんて聞いて呆れるよな。
色気の1ミリもない牧野に、恋してるんだもんな。
煙草を燻らせながら、牧野を思う。
あいつ、変わんねぇよぉなー。
辛い事だって嫌な思いだって沢山してきただろうに、
相変わらずの雑草女なんだもんな。
自然に笑みが零れる。
カランコロンッ
ベルが鳴る。
牧野が息せき切って店に入って来る。
席を見渡し、軽く手をあげてる俺を見つける。
水を一気飲みしながら、ウェイトレスに向って
「アイスティーお願いします」
そう言っている。
色気の1ミリもないような、グレーのスーツ姿。
それなのに、白い首筋に、鎖骨に色気を感じる。
何が可笑しいのか、ケラケラ笑って一生懸命話してる。
その様を、何が可笑しいのか一緒に笑いながら聞いてる俺も大概滑稽だろう。
総二郎あたりが見たら、間違いなく、からかいの対象になんだろうな。
「あっ、ねぇ、双子ちゃん達元気にしてる?」
「あぁ、つくしお姉様に会いたいって言ってたぜ」
「連絡するって言っておいて」
学生時代、牧野にお願いして双子達の家庭教師をお願いしてからの仲なんだよな。
「でね、って、美作さんちゃんと聞いてる?」
「あぁー悪い悪い」
牧野は、クスリッと笑って 頬杖つきながら飲み物のんで
「ったく、またどこぞの奥様のことでも考えてた?」
イタズラを咎める目をしてる。
ヤベッ,その目‥反則だわ。
俺は、慌てて話しをそらす。
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